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 広い教室の中には大きな黒板と教壇があり、その反対側には段差のある扇状のテーブルが設置されていた。その構造自体は、ほかの教室となんら変わりなかったのだけど、ずっと使われていなかったためか、全体的に少し埃っぽかった。

 その教室の中に、今ドアを開けて入ってきたメテオラとニコラスのほかに一人の女の子の生徒がいた。その子は一人っきりで広い教室の中にいたことに不安を抱いていたようで、メテオラたちの顔を見るなりほっとした表情をすると、椅子から立ち上がって、急いでメテオラたちのところまで歩み寄っていった。メテオラたち二人の前に立って、その女の子はにっこりと笑う。

「……あの、初めまして、私、アネットって言います。今日からお二人と一緒に、この星組の教室で見習い魔法使いの卒業試験を受けるものです」アネットはそう言って、メテオラとニコラスに初めての自己紹介をした。

 メテオラたちはそんなアネットの言葉と、あとその姿を見て、とても驚いていた。自分たち以外に、星組に生徒がいたことにも驚いたが、それだけでなく、アネットはニコラスと同じく、黄金の髪と青い瞳を持つ、黄金の民の一人だったからだ。

 ……ああ、なんていうことだろう。

 と、メテオラは思った。

 この教室は普段なら存在しないはずの魔法学校特別教室星組の教室。つまりメテオラと同じような落ちこぼれの魔法使いが集まる場所なのだ。

 そんな不名誉な場所に魔法使いのエリートである黄金の民が二人もいる。これはいったいどういうことなんだろう? メテオラはそんな失礼なことを考えながら、目をぱちくりさせてニコラスやアネットを見ていた。

「……あの、やっぱりこれ、気になります?」

 アネットは自分の肩あたりで綺麗に切り揃えられてる黄金の髪をいじらしく、とても綺麗な白い指でくりくりと触った。それだけではなくて、アネットの青色の瞳には少し涙のようなものまで浮かんでいた。

 そんなアネットを見て、しまった、とメテオラは思った。でもメテオラがアネットに弁解しようとするよりも先に、ニコラスが明るい笑顔で「大丈夫だよ」とアネットに言った。

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