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181 魔法樹の輝きの中で

 魔法樹の輝きの中で


 秋の終わりごろ、メテオラは自分の家で一人で勉強をしていた。

 開けっ放しの窓から入ってくる秋風が気持ちいい。

 少しの休憩の間、そんなことをメテオラが考えていると、とんとんとドアをノックする音がした。

「はい」

 メテオラが返事をして、ドアを開けると、そこには赤毛のメイド魔法使い、べべさんが立っていた。

「こんにちは、メテオラくん。二学期定期試験トップおめでとう」と上機嫌でべべさんは言った。

「ありがとうございます」メテオラはお礼を言う。

 それからメテオラはべべさんをテーブルまで案内すると、それから温かい紅茶を二人分、淹れた。

 べべさんは魔法学校を騒がせた幽霊騒ぎの犯人として、すごく有名になった。

 その罪自体は、半分くらいは濡れ衣なのだけど、べべさんは魔法の森で有名になれたことが嬉しいと言って、とても上機嫌だった。

 マシューの持ちかけた取引も積極的に受け入れたようだ。

「今日はどんなご用ですか?」とメテオラは聞いた。

 テーブルの上にはお茶菓子として、シャルロットから差し入れてもらった、スコーンが白いお皿の上に山盛りで置いてある。

「お仕事の話だよ」

 そう言ってべべさんは一冊の魔法書をカバンの中から取り出してテーブルの上に置いた。

 その魔法書には『魔法樹の輝きの中で』というタイトルがつけられている。

 その魔法書は本好きのメテオラでも、そのタイトルを知らない本だった。

「この魔法書はなんですか?」メテオラが尋ねる。

「私の書いた本だよ。まだ書きかけだけど。それで内容は、メテオラくん。あなたのこと。これはメテオラくんのことについて私が書いたあなたの本なの。いわゆる自伝本」とべべさんはスコーンを美味しそうに頬張りながら言った。

「僕の本?」メテオラは首をかしげる。

 べべさんが魔法書を書いていること自体に疑問はない。いつもはメイドをしているけど、べべさんの生涯をかけた『魔法使いの研究は魔法書を執筆すること』なのだ。

 べべさんがあの日、偽物の幽霊のふりをして、地下の禁書保管庫に侵入しようとしたのは、ネタ本としてどうしても欲しかった禁呪魔法書があったかららしい。それだけでなく、べべさんはそれ以前にも何度か偽物の幽霊のふりをして、地下の図書館に勝手に自分の書いた魔法書を置いたりして、その魔法書を読んだ生徒たちの感想や様子のようなものを記録したりしていたということだった。

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