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175 シリウスとオーロラとカタリナの物語

 珍しい来客もあった。

 まず森の郵便屋さんであるマリーさんがお見舞いにきてくれた。それから、マグお姉ちゃんの教え子でもある、よくマグお姉ちゃんのところに遊びに来る二人組の女生徒の魔法使い、メーテルリンクさんとジョゼフィーヌさんがお見舞いにきてくれた。

 二人は「私たちのことはメーテルとジョゼって呼んでね」と笑顔でメテオラに言った。

 二人はコンビを組んでいる画家の魔法使いで、あとでメテオラの絵を描かせて欲しいとメテオラに言った。

 魔法学校の先生たちもきてくれた。

 その中には珍しくホロ先生の姿もあった。ホロ先生はメテオラの個人的な魔法の師匠でもあったので、メテオラはすごく嬉しかった。

 パーシー先生がお見舞いに来てくれたとき、メテオラはカタリナのことを尋ねた。

「うーん、それがね。あれから僕も気になって、いろいろと調べたんだけど、僕が管理している孤児院はもちろん、魔法の森にも、メテオラくんの言う、そのカタリナという名前の小さな女の子の魔法使いは住んでいなかったんだ」とパーシー先生はりんごを剥きながらメテオラに言った。

「もしかして、その子、案外本物の幽霊だったりして!」と一緒にいたニコラスが冗談っぽく、楽しそうな声で言った。

「そんなことありません。第一ニコラスくんもカタリナさんと一緒にいたじゃないですか?」とメテオラがニコラスに聞くと、ニコラスはカタリナのことを見ていない、そんな女の子は知らないと今度は頭の上に疑問符を浮かべながら真顔で言った。

 実際、そのあと違う日にコロナやマシューにも同じことを聞いて見たのだけど、答えはニコラスと同じだった。

 迷子の小さな女の子の魔法使い、カタリナのことを知っていたのは、森でメテオラただ一人だけだった。

 ……あるいは、カタリナはニコラスの言う通り、本物の本物の幽霊なのかもしれないと、病室で一人になったあとで、窓の外に広がる青色の空の風景を見ながら、そんなことをメテオラは思った。


 シリウスとオーロラとカタリナの物語


 魔法学校の孤児院で暮らしている魔法使いの男の子シリウスと女の子オーロラ。

 二人はメテオラが出会った不思議な女の子、カタリナと魔法学校の地下の大図書館に無断で遊びに行ったときに出会い(迷子になった二人をカタリナは出口まで案内してくれた)、そのときの出来事をメテオラはお見舞いにきてくれたシリウスとオーロラの二人から直接、話を聞くことになる。

 このときもカタリナはほかの魔法使いたちに目撃されておらず、カタリナのことを知っているのは、今のところメテオラとシリウスとオーロラと三人だけだった。

 ちなみに空が飛べない魔法使いであるメテオラとニコラスのことをよく笑っていたのは男の子のシリウスであるが、現在は魔法の森の幽霊事件を解決したメテオラのことをシリウスは尊敬しているようだ。


 二週間の時間が経過して、メテオラはアルルさんの診療所を退院した。

 でも、その週の初めに、今度はアネットが足の怪我でアルルさんの診療所に入院することになってしまった。

 アネットはどうやら魔法学校でも家でも、ずっと頑張りすぎていて、そのせいで右足に怪我をしてしまったということだった。

 ニコラスによると、アネットはすごく落ち込んでいたらしい。

 アネットと入れ違いになる形で診療所を退院したメテオラは、まだ怪我をしたあとのアネットと顔を合わせていなかった。

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