168 決着
決着
アスファロットの断末魔が聞こえたのは、その瞬間だった。
巨大な獣のような咆哮を聞いて、メテオラはすぐに後ろを振り返った。
そこには最初の構想通りに、アスファロットの左胸に杖を突き刺しているモリー先生の姿があった。
「……さようなら。お義父さん」とモリー先生は言った。
次の瞬間、強烈な青白い閃光が世界を埋め尽くした。
そして、その嵐の日の青い稲妻のような閃光が消えて無くなるのと同時に、アスファロットの姿も封印の間から消えていた。
モリー先生はその場にぐったりと倒れこんだ。
「モリー先生!」
メテオラはモリー先生の元まで急いで駆け寄った。その途中で足がもつれて一度、転んでしまったけど、メテオラはそんなことは全然気にしなかった。
メテオラはモリー先生の腕の中に飛び込んだ。
そこでメテオラはわんわんと泣いた。
「……こわいおもいをさせてしまって、ごめんなさい。メテオラくん」とモリー先生は言った。
それから二人はスフィンクスと合流して、二つとも閉じた状態の箱の様子を一度確認してから、封印の間の外に出て行った。
メテオラはあの不思議な女性の声のことが気になっていた。それから、モリー先生の最後の言葉のことも気になっていた。
でも結局メテオラは、そのどちらのこともモリー先生に尋ねなかった。
「アスファロットがいなくなったから、もうすぐみんなおきるとおもうわ。そうしたら、メテオラくん。いまおこったことを、しょうじきにぜんぶ、センセイたちにはなしなさい。あとはみんながなんとかしてくれるわ」と封印の間を出るときに、モリー先生は言った。
モリー先生は開かずの扉の閉めて、その前でメテオラに優しく笑いかけると、それから一人で歩き始めて、囲いとして作られた壁をひょいっと乗り越えて、ステンドグラスの上に移動した。
メテオラはモリー先生を追いかけて、壁から身を乗り出して、「モリー先生。危ないです」とモリー先生に声をかけた。




