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それはきっと僕の気のせいなんかじゃなくて、実際にソマリお兄ちゃんが僕を怖いアスファロットから守ってくれたのだとメテオラは思う。
だってこの暖かい光からは、ソマリお兄ちゃんの魔法力が確かに感じられたのだから……。
メテオラはそっと目を開く。
怖い魔法使いはソマリお兄ちゃんが追い払ってくれたのだ。
ありがとう。ソマリお兄ちゃん。
メテオラはまだまばゆい光を放ち続けている胸元の星のペンダントにそっと手をかざしながら、優しさと安心感で満たされていく心の中でソマリお兄ちゃんにお礼をいった。
メテオラの手の中で光が徐々に弱くなっていく。
そしてその光が完全に消え去るころには、メテオラの目の前には先ほどまでとわからない封印の間の風景が広がっていた。
アスファロットはその両目を閉じて、苦しそうにその体をくねらせるようにしながら、ゆっくりと後退している。
「にゃー!」
その瞬間、メテオラの胸の中にいたスフィンクスが、ローブの中から飛び出してアスファロットに飛びかかった。
しかしアスファロットは自分に噛み付いたスフィンクスをとても強い力で、強引に払い退けた。スフィンクスは空中を飛ぶようにして横方向に吹き飛ばされる。
「スフィンクス!!」
スフィンクスはそのまま壁にどん! とぶつかって動かなくなった。
メテオラはスフィンクスの元に駆け寄ろうとする。
「まちなさい。メテオラくん」
そんなメテオラをモリー先生の声が止めた。
メテオラはモリー先生を見る。
「アスファロットのねらいははこだけではありません。メテオラくん。あなたのことも、アスファロットはねらっています。だからメテオラくんは、すぐにこのへやからでていきなさい」モリー先生が言う。
「でも……」メテオラはスフィンクスを見る。
「スフィンクスのことならしんぱいしないでいい。わたしがてあてをします。……それにアスファロットのこともしんぱいしなくていい。アスファロットは、……この銀の民のいきのこりであるわたしが、しっかりとたおします!」
そう言ってモリー先生は先端に蛇の彫刻のついた魔法の杖をアスファロットに向けた。




