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 そのころのメテオラはまだ赤ん坊だったから当時のことはあまりよく覚えていないのだけど、ソマリお兄ちゃんやマグお姉ちゃんの話によると九年前に起こったアスファロットの厄災によって、すべてが燃えて灰になってしまった古き森からこの緑豊かな新しき森に森の魔法使いたちが空渡りによって移り住んで、それから以前のようにみんなが安心して暮らせるようになるまでだいたい三年から四年くらいの年月が必要だったらしい。

 二人ともその当時のことはあまり話してくれないから詳しいことはなにもわからないのだけど、それはもうとても大変な数年間だったということだ。

 厄災を生き残っていた魔法使いたちの多くがこの森の復興期に力尽きて根源の海に帰って行き、またそれと同じくらいの数の新しい魔法使いたちが厄災を経験したことで、自分たちが見落としてしまっていた命の大切さと、魔法使いの本当の宝物がなにか、ということに気がついた魔法使いたちの愛の結晶としてこの世界に生まれ落ちてきた。

 規模は十分の一、あるいはそれ以下になってしまったけど、新しき森は古き森に負けないくらい素晴らしい森になったのだ。空渡りは成功し、魔法使いたちはその滅亡を間逃れた。

 だから結果として、アスファロットの復讐は失敗したということになるのだろう。アスファロットの厄災は『森の魔法使いたちからあらゆるものを奪ったが、本当に大切なものはなに一つとして奪えなかった』からだ。

 生まれつき魔法が使えないというとても不幸な運命に生まれ落ちた魔法使い、アスファロットが、自分を差別したすべての魔法使いたちから奪おうとしたもの……。それは厄災を生きのびた魔法使いたちの心に残り、……その種は、この新しい森で見事に開花した。

 この森で暮らしている魔法使いたちの『幸せな生活の原点』は、たぶんだけどここにある。

 それは『ソマリお兄ちゃんが信じたもの』であり、『アスファロットが信じていなかったもの』だった。

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