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「幽霊の目撃情報はですね、そのほとんどが偽物のほうの幽霊の話です。つまり今、僕たちがいる地下の図書館での話ってことですね。『この偽物の幽霊』は現在、地下の図書館の書庫に向かっています。……目的は、なにかの閲覧禁止の禁呪魔法書とかですかね。

 とにかく、偽物の幽霊はこうして意外と周囲の魔法使いにその姿を見せています。でも本物は違います。

 本物の目撃情報は三つ。

 一つは幽霊の噂の発端となった去年の精霊祭での目撃情報です。その目撃者は魔法学校の教師であるモリー先生で、場所は魔法学校の十三階。二つ目は目撃者はデボラとアビーで、場所は一つ目と同じ魔法学校の最上階、十三階付近。そして三つ目が今のメテオラくんの話で、目撃者はメテオラくん本人。そして場所は魔法学校六階にある特別教室星組の中ってことになりますね。ここまではいいですか?」

「はい」とメテオラは返事をする。

 そのとき、メテオラのローブをくいくいと引っ張る誰かがいた。メテオラはマシューとの話に夢中になっているうちに、上の会の誰かがまた下りてきたのだと思って後ろを振り向いたのだけど、そこにいたのは小さな女の子の魔法使いだった。

 その女の子にメテオラは見覚えがあった。少し前、マシューに魔法樹を見せてもらった日に、魔法学校の正門のところで出会った魔法使いの女の子だ。

 ……こんな時間のこんな場所に、あの魔法使いの女の子がいる。

 この状況から考えると、この女の子はやっぱり魔法学校の中にある孤児院で暮らしている女の子なのだろう。

 それできっと夜に友達と遊んでいて、一人、迷子にでもなってしまったのかもしれない。

 女の子はメテオラの顔を見てにっこりと笑った。

「どうかしましたか?」マシューが言う。

「……いえ、なんでもありません」

 メテオラは小さな女の子の魔法使いの手を握りながらマシューに返事をする。

 マシューはその小さな変化から、メテオラの嘘を見抜いたようだったが、そのことに関してはとくに追求をしなかった。

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