表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

133/184

133

 ミーティアは北の王国のお姫さまだった。

 そのことをミーティアは最初隠していたが、それはすぐにアスファロットにばれてしまった。

 アスファロットはミーティアに敬意を払ったが、ミーティアはアスファロットに自分の友達になってほしいとお願いしたので、アスファロットはミーティアのお願い通りにミーティアと友達になった。

 こうして同年代の友達ができるのは、二人とも初めての経験だった。

 ミーティアはアスファロットに人間の工房を紹介した。

 人間の工房の親方はとてもいい人だったけど、最初はアスファロットに工房の出入りを許さなかった。ミーティアがなんども説得して、親方が折れたのは三ヶ月も経ってのことだった。

 工房に通うようになると、アスファロットはその才能をすぐに開花させた。

 親方も、お弟子さんたちも、そしてミーティアもアスファロットの才能にとても驚いた。

 アスファロットは努力家で頑張り屋さんだったので、すぐに工房の人間たちと仲良くなった。こうして自分の居場所をアスファロットが手に入れるという経験をしたことも初めてのことだった。アスファロットはミーティアに本当に感謝した。

 ミーティアはとても変わった女の子だった。

 この時代、この北の王国では女性は家の仕事をすることが社会から求められていて、あまり学校に通って勉強したり、家の外で働いたりはしなかった。まして王国のお姫さまであるミーティアにはお姫さまとしての役割を演じる人形としての勤めが求められた。

 その役目をミーティアは嫌っていた。

 ミーティアはとても好奇心旺盛な女の子で、頭も良くて、とくに語学と科学にとても興味を持っていて、いつも外国語の科学書を読みながら、自作の実験室で科学の実験ばかりをしているというような女の子だった。アスファロットの秘密の魔法書を見て、すぐにその才能に気がつくことができたのは、ミーティアが日頃から隠れて科学の勉強ばかりをしていたからだった。

 ミーティアの夢は空を飛ぶことだった。

 将来は自作の飛行機械を制作して、窮屈なお城のある王国の外にまで飛んでいくことがミーティアの夢だった。

 空を飛ぶというミーティアの夢は、図らずも魔力を持たない、空が飛べない魔法使いであるアスファロットの夢と同じだった。

 アスファロットはますますミーティアに惹かれるようになった。

 ミーティアも同じように、日々成長する天才魔法使い、アスファロットに惹かれていった。

 二人は十七歳になると、王国の外れにある小さな教会で秘密の結婚式をあげて、結婚をした。その日はミーティアの十七回目の誕生日の日だった。

 出席者は誰もいない。

 ミーティアの良き相談相手である年老いた神父さまとアスファロットとミーティアと人間の神様だけの結婚式だった。

 二人は幸せだった。

 ……その一年後に、アスファロットはのちに魔法具と呼ばれる道具の最初の試作機を完成させた。その魔法具の完成を持って、アスファロットは魔法使いとして、正式に魔法の森の魔法使いたちから認められるようになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ