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まだ眠っていたデボラとアビーはマリンとシャルロットが起こした。
二人は眠そうな顔をしながら、円形のテーブルのところに戻ってくると、自分たちの時間の席に座った。
「では作戦開始時刻となりました。これより幽霊捕獲作戦を開始します。それぞれ各自の担当はこの魔法書に書いておきましたから、まずはこれを見て、自分の担当する場所を確認してください。それからこれは通信機と呼ばれる魔法具です。一台は僕が、もう一台はマリンさんが持っていて、今二台、僕たちの手元にありますので、それぞれのチームに一台ずつ配置したいと思います。僕の通信機はメテオラくんにお貸ししますので、自由に使用してください」マシューは魔法書と通信機を持って、みんなにそれを見せながらそう言った。
「はい。わかりました」とメテオラたちはマシューに返事をする。
魔法書には今日の作戦だけではなくて、もし幽霊を捕まえられなかったら、そのあとに誰が容疑者たちを調査するのかの担当も書かれていた。魔法使いの容疑者の中には、メテオラたちと関係の近い魔法使いがいたので、それを基準としてそれぞれの調査担当が決められた。
その一番わかりやすい例は自分のお兄さんの調査をすることになったマリンの例だろう。
メテオラは魔法書の今日の担当の書いてあるページを開いて、みんなの担当場所を確認してみた。
そこには、
メテオラ=塔の最上階付近。十一階。通信機もち。
ニコラス=塔の最上階付近。十二階。
アネット=塔の最上階付近。十三階。
デボラ=地下の図書館。連絡通路。
アビー=地下の図書館。時計の間。
マリン=地下の図書館。地下の大書庫に続く階段。通信機もち。
マシュー=地下の図書館。お仕置き部屋付近。べべ担当。
シャルロット=塔の最上階付近。十三階。
という文字が書かれていた。
基本的にはメテオラたち星組が塔の最上階付近。デボラたち月組が地下の図書館を見張る担当の配置だった。その二つのチームに太陽組のマシューとシャルロットがそれぞれ一人ずつ、くっついている状態だ。
担当は個人の名前で振り分けられているけど、各教室が二つの場所をそれぞれ担当していると捉えたほうがわかりやすいかもしれない。
つまり、
星組=塔の最上階付近。(デボラとアビーが本物の幽霊を見た場所)
月組=地下の図書館。(偽物の幽霊の目撃例が集中している場所)
という担当になる。
もっとも偽物の幽霊である可能性が高いとされているべべさんにはマシューが張り付くようだ。マシューの担当はお仕置き部屋付近なので、この夜の時間にお仕置き部屋付近にべべさんが出没する可能性が高いのだろう。
途中でべべさんの説明の補足をしてくれたマシューの話によると、べべさんには昔からいろんな黒い噂がつきまとっている(メテオラたちにはそうは全然、思えないのだけど)とっても怪しい魔法使いさんであるということだった。




