little story
夢を見たー
いつだったかわからないと思える夢を見たー
曖昧なものに映るのは闇で覆われた空間とその中で光る何か。
光はどうする?と問いかけてきた。
それに自分はそれに逃げると答えた。
何から逃げるのか、何故逃げねばならないと思ったのか、いつも見る夢だがその理由は未だわからない・・・
とある森の中にひっそりと立っている木造建築の一軒家。そこから突如鳴り始める謎の音。それに気付いたかのようにベットが動き始め、音が鳴る物体の上に手らしきものを置いた。いや、全力で叩いた。
目を開けると閉め忘れたカーテンからとめどなく光が溢れだしているのがよくわかる。思わず顔をしかめるが意識をはっきりとさせた頃には慣れてしまった。
「ふぁぁ…オレ、何時間眠ったんだ…?」
欠伸をしながら盛大に飛んで行ったアラーム機能の付いた時計を拾って時間を見ると午後0時と、短針と長針が指している。
「マジかよ…居眠りにも程があるだろ」
ハッハッハッ、と笑顔無く笑った後、
「約束…破っても人間生きていけるよな…」
これから起こる事を想像し、涙を浮かべた。そして、遅刻とわかっていながらも大慌てで集合場所へ向かおうと、玄関の扉を開けようとすると、
「こんにちは♡ いや、」
恐らく見た目からして十代だろうか。若い女性が可愛らしく挨拶をしてきた。物騒なものを所持していなかったらもっと可愛かっただろうに、かわいs
「おはよウ○ギ!! さよなラ○オン!!」
ごめんなサ◯。そう反射的に謝った頃にはガトリング砲から放たれた弾丸の嵐に飲まれていた。
「さぁて、約束を破った理由、さっさと吐いてもらおうか!!」
幸い、弾丸と思われていたものは全て柔らかなゴム弾で発射スピードが緩やかだった為か、当たっても死ななかった。が、
「そ、その前に血ィ吐いてるんで、さ、先に病院行って良いっすか?」
弾の一つ一つが何故か無駄に大きくなっていた気もする。首根っこをつかんでくる相手の瞳に映る自分の顔が派手に試合に負けたボクサーのように腫れている。
「大丈夫だ。遅刻理由と一緒に全て吐いてしまえば問題ない。」
「いや、大問題だよ」
生きてるのが奇跡だわ。
と心の中で真顔のままツッコミを入れた。
「病院よりお前のその悪い癖を殴って治す。」
「おまわりさん、こいつですっ!こいつがぁぁぁっとOKOK。話し合おう。」
それ言い方が違うだけでやってること同じっすよね?
「全く…今日ばかりは遅刻するなとあれほど念を押して言っておいたのに何故遅れたんだ? 手紙も送ったのに読んでなかったのか?」
「遅刻についてはホントすんません。手紙の件については、あなた様が我が家宛に毎日送っていた赤字で「来いよ」と書かれた手紙を数回読んでしまいトラウマになって手紙を見なくなったから、かと」
約束を交わした後の一週間、常に送り続けられてくる脅迫文を無視するなという方がおかしな話だ。絶対あれ血ですわ。モノホンの血ですわ。
「まあいい。集合時間には間に合わなかったがあれにはまだ間に合う。支度終わらせろよ?」
そろそろか。
と自分も心の中で覚悟を決める。
これが終わればあの呪縛から逃れられるっ!!
ようやく顔の腫れが引いてきたところで、男と女は二人並びこう叫んだ。
「「さて、行こうか!」」
気合の入った声を出し、2人は穴だらけの家を後にした。(しばらく歩いた後、元持ち主は崩れるマイホームに一人涙していた)