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英雄の異世界戦記〜敵を使役する異端な存在〜  作者: もぐのすけ
魔王グロスクロウ編

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避雷神

「じゃあ早速始めてみて」


 俺は魔力の流れを意識し、雷へと変換したのちに頭の中で磁石をイメージして形質変化を行う。

 バチバチと体の周りに電気を纏い、魔力の込める量によって調節していく。


「こんな感じですね」

「だいたい5mぐらいの距離をとっているだけだと特に何も起こらないね。もっと魔力を込められる?」

「了解」


 さらに放出量を高めていく。

 一見して変わった部分は見受けられないが、効果は発揮されていた。


「お……? 少しヤシロの方に引っ張られるな」

「やっぱり魔力の量で強弱はつけられるみたいね。今度は込められる限り魔力を込めてみて?」

「いいんですか?」

「なるべくこっちも踏ん張るから。というかグリムとゼロさんが」

「任せろ」

「じゃあ……」


 本気でいかせてもらおうかな。


 魔力を思い切り放つ。

 消費量から言えば上級魔法と同等レベルに。


「きゃっ!」

「う……おっ!」

「やべ!」


 フェリスが勢いよくこちらに飛んできた。

 グリムは地面に剣を突き立て、ゼロは風魔法で耐えている。


「えっ、うそっ!」


 どうやったら止まるんだこれ!

 このままだと飛んでくるフェリスとぶつかって……!


 ピタッ。


 フェリスは俺にぶつかる前に10cmぐらいのところで止まっていた。

 正確には、俺の身体に纏われている雷に絡まったまま宙に浮いている状況だ。

 どうやら状態維持に形質変化させることも可能のようだ。


「ぶ……ぶつかりはしませんでしたね」

「うん……。とりあえず魔力の放出を抑えてみて」


 フェリスが言う通りにすると、雷魔法は消え、フェリスも地面にバタリと落ちた。


 思ったよりも引き寄せる力は強かったみたいだ。


「マジで魔王と同じような能力だな……。じゃあ弾く方もできるんじゃねーの?」

「もしこれがいわゆる磁力に似たような特性があるなら、できるかもね」

「ただ、人や物を引き寄せる以上、磁力っていうのとはまた違うんだろうけど」

「なら弾く方もやってみる?」


 その後フェリスとゼロの指示のもと、何度か魔力循環の流れを教えてもらいながら、あれこれイメージしながら魔法を使ったところ、弾くことも出来るようになった。


 2つを同時に使うことは出来なかったが、それでも魔力の込める量によってはグロスクロウと同程度の威力は出せることが分かった。


「魔王の魔導級の雷魔法を防いだのはやっぱり、この魔法だと思うよ。ただ、それには同じぐらいの魔力が必要になると思うけど…………もしかしてヤシロ君って結構魔力ある?」

「試したことはないですけど、魔導級は3発ぐらい撃てると思います」

「俺と同じかそれ以上ってところだな」

「勇者レベルじゃない……!」


 まぁ勇者からもらったようなものだからな。

 それにしてもこの魔法は便利な分、燃費が悪いのが問題だなぁ。


 例えば反発側の雷魔法を使えば、敵の攻撃は全方位から防ぐことができる。

 でも、防げるだけの魔力を込め続けると、油断すれば魔力が尽きる恐れが出て来る。


 局所的に使っていくのがいいのかも。


「ダメね……。ヤシロ君のように雷魔法の特質を変化させることができない。『紫電しでん』とか威力を弄ることはできるけど、特性そのものを変えることなんて出来ない」

「ふむ……。俺もダメだな。これでも魔法に関して困ったことがなかったが」


 勇者であるグリムですら使えないみたいだ。


 銃だけでなく魔法においても俺専用が出てくるとは。

 ちょっとアガるね。


「魔族側でも見たことねーな」

「じゃあヤシロ君のオリジナル魔法になるのかしらね」

「たしか…………童話で似たような魔法を使う神様がいなかったか?」

「…………いたね! 『4神戦争』とかいうお話だったかな。雷魔法で敵からの攻撃を自分に集めて味方を守ったり、逆に敵に跳ね返したりする神様!」

「神様の名前が『避雷神ひらいしん』…………だったか」


 避雷神…………。

 避雷針をちょっともじってんのかな?

 この世界に避雷針があるのかどうかは分からないけど。


「じゃあその魔法の名前も『避雷神』にしちゃいなよ。カッコ良いと思うよ?」

「確かにいいな。俺もオススメするよ」

「じゃあ……せっかく2人が決めてくれたものですし……そうしますか!」


 勇者に名付けられたオリジナル魔法!

 これまたアガる!


「『避雷神のヤシロミナト』だな」

「そんな二つ名みたいな…………そそるやん」

「唆るんかい」


 そのうちそう呼ばれるようになりたい。

 自他共に認められる存在であると……!


「いやー助かりました! これで自分も戦える幅が広がったと思います!」

「ううん、私も新しい魔法が見れて楽しかったから、こちらこそありがとうね!」

「さて、じゃあ今度は俺の頼みを聞いてもらおうかな」

「頼み?」


 今度はグリムが唐突に剣を構えた。


 もし俺が先端恐怖症だったら発狂してるよ。

 藪からスティックに何だろうか。


「見たところヤシロは剣術も出来るようだね。是非俺と一戦交えて欲しい」

「ええ……。そんな勇者様と戦って勝てるわけないじゃないですか」

「そうよグリム。グリムに勝てる人なんてこの世界に何人いるか」

「いや、俺の見立てでは彼は剣術もかなり出来ると見える。何より腰に差している剣は、刀匠ガリレオが打った一品で間違いない。そんな剣を持っているだけでも理由は充分だ」


 ガルムからもらった『雷鳥』……。

 そんないい品物だったとは。

 確かに軽いし丈夫だしあまり手入れしなくても錆びつかないし、いい奴だとは思ってたけど。


「どうだい?」

「……いいですよ。その代わり、終わったらグリムさんの左目に刻印されてる『勇者の証』について教えて下さい」

「その程度、いくらでも話そう」

「勇者とヤシロの対決か。結構面白そうだな」

「ヤシロ君って実際どうなの?」

「かなり出来る奴だと思うぜ? 人間達のA級って奴と比べても見劣りしねーな」


 ハードルを上げるんじゃないやい。

 せっかく魔法で彼らの評価が上がったところだったのに、これで秒で負けたら目も当てられないじゃないか。


「真剣で構わないか? 俺もフェリスも治癒魔法は上級まで使える。いざとなればアースもいる。万が一はないと思うが」

「構いませんよ。勇者に殺されるなら本望です!」

「どういう意見なんだそれは……」


 死の間際に、「いずれ第2第3の私が現れるだろう……!」なんてネタも言ってみたい。

 なんて考える余裕があるぐらい、楽観的になれたもんだ俺も。


 ちょっと前ならビビりまくりだったと思うのに。

 慣れって怖いね。

 人間の価値観なんてすぐに変わっちゃうんだから。


「それじゃあ始めようか。ゼロに立ち会いをお願いしていいかい?」

「ん? いいぜ。見てやるよ」


 3代目勇者グリムとの一騎打ちだ。

 ケツの穴に力入れて頑張るぜ。

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