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英雄の異世界戦記〜敵を使役する異端な存在〜  作者: もぐのすけ
青海龍の洞窟攻略編

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青海龍の洞窟2

 壁に沿った道を進んでくだっているため、必然的に1番奥まで進むことになる。

 その途中、1つの空間に入ることとなった。


「下に降りるためにはここを抜かなきゃならないのか。別のところに行くなんてことないよな」


 中へ進むと部屋の中央に見慣れた生き物が5体立っていた。

 散々見かけた奴だ。


「ミナト……アレって……」

「下級魔人だな。確かにいるっていうのは聞いていた」


 だけど今の俺達にとって下級魔人は相手にならない。

 俺達を止めたければ中級以上を連れてくるんだな。


「ぐおおおおおおおおおおおお!!!!!」

「気合いだけは本物じゃん。シーラ、殺さないように頼む!」

「ん、分かった」


 下級魔人ならむしろ、いくらでもウェルカムだぜ。

 全て俺の持ち駒にしてやんよ。


 下級魔人が飛びかかってくる。

 こいつらに連携の二文字は無い。

 ただ本能に従って敵を排除しようとする傀儡人形だ。


『獅子脅し』を連射し、向かってくる下級魔人を一体潰した後、『雷鳥』ですれ違い様に一体の左腕と左足を切り落とした。

 別の個体が振るってきたこぶしをかわし、地面が強く抉られる。

 俺は下級魔人達から距離を取ろうとその場からさらに下がり、それと同時に拳を振るった魔人が炎に包まれた。

 シーラの援護魔法だ。


 残りは2体。

 俺とシーラが挟んでいる形になる。


 下級魔人は炎魔法を使ったシーラに狙いを定めたのか、そちらに向かって走り出した。

 俺は両手で『雷鳥』を握る。


 見やがれ。

 鍛錬の末に会得した剣技。

 離れた位置からでもお前らの命を剣でも刈り取れるようになったんだぜ。

 今までは剣圧しか出せなかったが、ガルムや上級魔人が使っていた技。

 斬撃飛ばし。


「食らえ! 名付けて、『飛撃ひげき』!」


 縦に剣を振り落とし、その衝撃はとてつもない剣圧とともに一筋の剣撃が下級魔人に向かっていき、シーラへと向かっている青い体の背中を斬りつけた。


「ぐおおおおおお!!」


 どや!

 めっちゃカッコいいだろ!

 やってることは単純だけど難しいんだぜこれ!

 ただ、今はまだ両断することも片手で使うことも出来ないけど、いずれは会得してやる。


「ということでトドメは任せたよシーラさん」

「……ただお披露目したかっただけ?」


 シーラが炎魔法で向かってきた2体を燃やした。

 さらりと高威力の炎魔法を放てるあたり、シーラも成長の兆しが見受けられる。


「ほんで、魂弾ソウルバレットを転送して……っと」


 虫の息の5体に向けて放ち、青色のビー球となったものを回収してポーチにしまった。

 いい感じに下級魔人が増えてきた。

 目標としては一掴み出来るぐらいには欲しいな。

 中級魔人と、できれば上級魔人も欲しいぜ。


「よし、オッケーだ。道も…………続いてるな。行こう」


 急ぎ、先へと進んだ。


 そこから先は魔物の連続だった。

 序盤に出てきた魔物よりも素早い奴、体が硬い奴、とてつもなくデカイ奴。

 様々な魔物が出てきた。

 中には部屋の主として死んでいたA級の魔物『シードラン』とやらも大量に出てきた。

 全然部屋の主なんかじゃねぇ。


 だけど、別に苦戦するようなところはなく、俺はともかくシーラも魔力切れを起こすようなことは無かった。


 そしてゼロと別れてから30分後ぐらいだろうか、俺達は1番下へとたどり着いた。

 螺旋しながら落ちている水は上から見えた通り、下に貫通して抜けていっている。

 ここまでくると、地面は何故か草で覆われていた。


「すごいフカフカ」

「なんで草がこんなに生い茂ってるんだろうな。つーかゼロはどこいった?」


 何かあれば戻ってくるといっていたゼロは結局戻ってこず、1番下にもいない。

 ということは先に進んで何かあったという可能性が高い。


「まさか魔法も近接戦闘もマスタークラスのあいつに何かあるなんてことはないと思うが…………もしかして上級魔人レベルが現れたか?」


 だとしたらマズイ。

 魔法はともかく、いくら近接戦闘がマスタークラスといえど、それは人間社会での話であり、単純な戦闘力では中級魔人にも劣る。

 ゼロといえど危険だろう。


「道は…………分岐してないな。ここもまた一本道だ」


 すると微かに通り道の奥から戦闘音のようなものが聞こえてきた。

 金属がぶつかり合うようなものや、誰かの叫ぶ声だ。


「シーラ!」

「ん、急ぐんでしょ?」


 30分ずっと走りっぱなしだ。

 それでも走る。

 もしもの時を考えて、後悔はしたくないから。


 通路を進むにつれ、戦闘音が大きくなる。

 戦っているのは一人だけじゃない。

 複数人だ。


「ゼロ!」


 通路を抜けた先には今までのどの部屋よりも大きな空間。

 そこにゼロはいた。

 だが彼は黄色い体をした魔人、中級魔人を3体同時に相手にしていた。

 それだけじゃない。

 先に入っていた別の討伐隊だろうか。

 10人の討伐者が、体が水でできた龍を相手にしている。

 体長およそ10m近く。

 その体はスパイラルフォールのように水が螺旋のように絡まって出来ている不思議な体。

 その周りには6人ほどの死体が転がっている。


「うっ! 何だこの惨状は……」

「はぁはぁ…………! ヤシロ! シーラ! 来たか! こいつらをるのを手伝ってくれ! 俺一人で食い止めるのも限界が……うおっ!」


 ゼロが中級魔人3体の猛攻を、魔法と剣術を組み合わせて上手く凌いでいる。

 その間、他の討伐者は水の龍にかかりっきりだ。

 ゼロに中級魔人を任せっきりにしている。


 中級魔人をゼロが食い止められているからこそ、他の討伐者はあの水の龍に集中してぶつかれるってことか?

 だとしてもちょっと押し付けすぎだよな。


「任せろ、新技の魔法をぶっ放す! タイミング良く離れろよ!」

「この状況でアレを使うのかよ!」


 俺は両手をゼロや中級魔人がいる方向にかざした。

 ここに来るまでにゼロに教えてもらって取得した魔法だ。


「紡ぎ、発光せよ! 神のいかづちを持って細胞を死滅させ、強制的にふるえ上がらせるその豪雷ごうらいは狂神の怒りと知れ! 閃光ライトニング地雷矢アルミン!」


 無数の雷の矢が出現する。

 その数は3桁を超えており、それと同時に地面からも敵に向かって雷が走る。

 上級魔法の一つ上、目の細い男シジミが使っていた魔術級の雷魔法だ。


「本当に使いやがった! 構わねーや、やれ! ヤシロ!」

「オッケェェェイ!!」


 全ての雷が3体の中級魔人へと向かっていった。

 ゼロはその瞬間反対側の壁まで吹っ飛んでいた。

 自身を風魔法で吹っ飛ばしたんだろう。


 何百という雷の矢と地を這う電流が中級魔人へと向かっていき、そして焼き切る。


「「「グオオアアアアアアア!!!」」」


 黄色の体に黄色の矢が刺さる。

 上級とは比べ物にならないほど魔力を持っていかれる分、威力も桁違いだ。

 ただの脳筋バカ共には防ぐという頭はないだろう、全て直撃だ。


「まだだヤシロ! 中級魔人はこれぐらいじゃくたばらねー!」


 ゼロの言った通り、動きは鈍くなっているものの瀕死というわけではなく、それどころか怒りに身を震わせている。

 中世の騎士みたいな見た目の悪魔は未だ倒れない。


「しぶといな……! ゼロ、あっちの龍は何だよ!」

「俺にもわからねー! ただ、俺が来た時にはもう彼らは戦ってた! 中級魔人3体にあの水の龍を相手にして苦戦していたから助太刀してやったんだよ! かれこれ30分は戦ってる!」

「30分もりあってんのかよ長っ……!」

「俺の魔力も残り少ねー…………先に中級魔人を処理しようぜ!」

「よし! 一人一殺な!」

「おっけ!」

「…………りょーかい」


 中級魔人3体を相手に30分近く耐え忍んだゼロも中々の化け物だな。

 俺だったら3体相手に勝てるかな?

 いやぁ厳しいかなぁ。

 さすがに3体の攻撃を同時に防ぎきることは出来ない。

 出来る気がしない。

『獅子脅し』を用いても詰められれば遠距離の利点は殺されるし、中級魔人に致命傷は与えられない。

 無詠唱で魔法を使いつつ剣術を組み合わせる戦い方ができるゼロだからこそ、持ちこたえることができたんだろう。


「「「グオオオオオオオオオ!!」」」


 だけど一体ずつなら問題ない。

 スサノ町の時よりも俺は急激に成長してる。

 剣術自体はガルムに鍛えられた段階で既に完成されてるものだけど、身体能力自体はまだまだ伸びているのが自分でも分かる。

 だから中級魔人ごときであれば俺はもう苦戦しない。


「かかってこい。近接戦闘だけで言えば、俺の実力は既に勇者レベルだぜ」

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