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英雄の異世界戦記〜敵を使役する異端な存在〜  作者: もぐのすけ
魔族進行編

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変わり者

 それならまずは資料を読みふけるのがいいよな。


「資料……ですか?」


 俺はギルド内にいた数人の人達に声をかけて、どこで資料や本がが読むことができるのか尋ねてみた。


「ええ、歴史書とかでも構わないんですけど、魔法の特性なんかが分かる本とかがある場所なんかあれば、教えてほしいんです」

「そんなとこあったかな」

「あるよ。ほら、あそこの爺さんが経営してる…………」

「あーあー。あそこな。でもあそこの爺さん、少し変わってるからなぁ……」

「ちょっとボケが入ってきてるしね」


 本屋みたいなところかね。

 あまりいい評判は聞かないみたいだけど。


「普通に貸し出してくれるようなところはないんですか?」

「本はそこそこ値段が張るからね。無償で貸すなんて所は中々無いと思うよ」

「そうですか……。分かりました、そこに行ってみようと思います。ありがとうございました」


 俺とシーラはギルドを出て教えてもらった場所に向かってみると、少しこじんまりした感じの古い店を見つけた。


「教えてもらった場所はここだけど……なんか汚い古店商って感じのだな」

「………………」


 本というか怪しい商品とか売ってそうだけど大丈夫か?

 とりあえず入ってみないことには分からないよな。


「こんちゃー」


 扉を開けながらあいさつをしたが、中から反応はなかった。

 中は、俺の知ってる本屋のように本棚にズラリと本が陳列されているわけではなく、いくつかの机の上に数冊づつ本が立て掛けてある形だった。


「誰かいませんかー?」

「いるぞ」


 真横から突然爺さんの声が聞こえてきて、俺は反射的に反対方向に飛び避けてしまった。

 見ると、たくましい白髭を生やした爺さんが入り口扉の真横に立っていた。

 シーラは完全にフリーズしてしまっている。


「あんた……いつの間にそこに」

「最初からじゃ」

「へ?」

「お客さんが来たら脅かしてやろうと思ってな、2時間近くここで立っておった。いいリアクションじゃったぞ」


 何だこのお茶目ジジイ!

 脅かすためだけに2時間立ちっぱなしとか変わり者すぎるだろ!


「それで、何の用かな?」

「本を売ってるってことで見に来たんだけど」

「おうおう。あるぞあるぞ。どれが良いかな? 『強気な女のオトし方』かな? それとも『正しいドアの取り付け方』かな?」

「ロクなもんねーじゃねーか!」


 なんだこのガッカリブックばかりは。

 ただのゴミじゃんか。

 もっとマシな本は………………お?


「爺さん、これは……?」


 俺が見つけたのは『魔族の種類について』と書かれた一冊の本だった。


「ああそれか。中身はあんまり面白いものじゃないが、魔王の軍勢や、知られている限りの魔王の名前とかが記載されたものじゃな」

「いいじゃんコレ。こういうのが欲しかったんだよ」

「そんなものより『カッコイイポーズ全集』なんてどうじゃ!?」

「いらんわ!」


 これを見れば敵がどんなものか何となく把握できるんじゃないか?

 一番いいのは魔術書みたいなものだったんだけど、これでも充分だぜ。


「爺さん、これいくら?」

「そうじゃなぁ……少し古いものじゃし、5万 Dドラでどうじゃ?」

「たっけぇよ、マケて」

「じゃあ4万Dで」

「あともう一声」

「じゃあ1000Dで」

「急にガン下がりしすぎだろ! 言っといてなんだけど一声というか一山ぐらい越えたぞ!」

「あんまりお客さんなんて来ないからな、そろそろ店仕舞いしようかと思ってたところじゃ。一冊でも多く売れるならそれに越したことはない」


 変わってる爺さんだけど、良い人っぽそうで良かった。


「じゃあ俺、今金ないから予約って形で」

「なんじゃ持っとらんのかい!」

「いいでしょ? どうせお客さん来ないって話だし。明日までには準備するようにするからさ。ほら、シーラもお願いして」


 先程までずっとフリーズしていたシーラもおずおずとこちらに近づいてきた。


「ふむ…………なんだか怖がられてるのぅ。何が原因じゃ……」

「そらそうだよ」

「…………よろしくお願いします」

「お爺ちゃんがいい子いい子してあげるからのー!!!」

「ミナトー!!」

「そういうところだよ爺さん!」


 老体に鞭打つのは趣味ではないが、容赦なく頰をはたいてやった。

 こういう爺さんは割りかし無茶しても死なないタイプだ。


「じゃあそういうことだから。俺は八代やしろ みなとって名前だから覚えておいて」

「覚えておこう…………ワシに一撃を入れることができた人間としてな!!」

「魔王かアンタは!」


 ダメだ、すげー疲れるわこの爺さん。

 今度からあんまり長居しないようにしよう。


 俺は古ぼけた本屋を後にした。


 店を出た俺たちは少し町の中を回ってみた。


 所々にシャンドラ王国で見た兵士と同じ格好をしている人達がいたが、少し距離が離れているだけでこの町はシャンドラ王国の一部なのだろう。

 数が少ないのは元からなのか、襲われているという本国の方に人員を割いているのか……。


 おおよそ一周した辺りで、再度討伐者ギルドに向かうことにした。

 時間帯的には丁度いいので、IDも出来ているはずだ。


 ギルドの中に入ると、先程までいた数人もいなくなり、受付嬢のみがいる何とも閑散とした空間になっていた。


「ヤシロミナト様、お待ちしておりました。こちらがIDとなりますのでお受け取り下さい」


 手渡された手の平サイズのカードには、名前とチーム名、それとDと表示されたものが2つ書いてあった。


「このDというのは?」

「そちらは討伐者としてのランクとなります。本人の強さを測る指標ともなり、討伐者としての貢献度も加算されます。ランクが上がるほど、国によっては特権などが与えられたりします。例えますと……最上位であるSランクであれば、三代目勇者グリム様一行と同じ支援を国から受けることができます」


 つまり旅するのに必要な物資などは国から貰えるから、お金に関して困ることはないってことね。


「そちらのお嬢様にもこちらのIDを」

「これって無くしたらどうなるの?」

「再度発行することはできますが、あまりに紛失が多いようでしたらランク降格など、ペナルティがある場合もございます。自分の持ち物の管理も出来ないということで」

「なるほど分かりました。クエストというのはどこで見れます? 早速受けたいんだけど」

「あちらに掲示板がありますので、そちらで確認してください」


 指された方を見てみると、掲示板にいくつか紙が貼ってあるのが見えた。

 掲示板に貼ってあったクエストは3枚。

『C級魔物、追い剥ぎドッグの巣穴の討伐 報酬5000D(ドラ)

『C級魔物、チャングースの皮10枚 報酬3000D(ドラ)

「D級魔物、ヤマネズミの討伐 報酬1匹につき500D(ドラ)


 どれもこれも報酬がしょっぱいな。


 土地柄なのか、あまり大きなクエストってのはないのかもしれない。

 シャンドラ王国でも、あまり魔物がいないって言ってたもんな。

 でも早急にお金が必要だし、とりあえず一番報酬が高い追い剥ぎドッグとかいうクエストを受けよう。


「追い剥ぎドッグのクエスト受けたいんですけど……」

「ではこちらにIDをかざして下さい」


 俺の前にまた魔法陣が現れた。

 俺の貰ったばかりのIDをかざすと、魔法陣が淡く光り、消えた。


「私も……?」

「チームのリーダーが受注すれば、他のメンバーの方も受注したことになるので大丈夫ですよ」


 だよな。

 じゃないと大所帯のところなんて一人一人やってたら大変だもんな。


「場所についてはIDの裏面に地図が表示されていますので、そちらに従って下さい」


 裏面を見ると、先程まで何もなかったのに今はここら一帯の地図と、目標が討伐すべき対象の所が点滅している。

 こりゃ便利。

 そういうことで早速町の外へ。


「よし! シーラ、クエストだぞクエスト! これから俺たち討伐ギルド『紅影あかかげ』としての初クエストだ!」

「テンション高いね」

「ちょっと憧れだったからなぁアニメ的要素。シーラも早く魔法覚えたいよな」

「うん、覚えたい」


 俺たちは地図に指示されたところに向かった。

 追い剥ぎドッグとかいう泥棒犬がどんなものなのかも興味ある。


 でもできればドッグじゃなくてキャットが良かったな。

 そうしたら、見かけた時に「この泥棒猫が!」なんて言えたのに。

 なんつって。


 地図上では町からそんなに離れていない位置に巣穴があるみたいだ。

 歩いて10分ぐらい? だと思う。


「………………で、指で撃つ方向を定めて、『つむげ、雷撃ショックボルト』って呪文を唱えれば初級の雷魔法が出る」

「…………紡げ、雷撃ショックボルト


 向かいながら俺は唯一使える雷魔法を、シーラに教えていた。

 しかし、呪文を詠唱したシーラの手からは何も反応がなかった。


「むぅ…………。何で出ないの?」

「初級は子供でも使えてるって話なんだけどなぁ……。シーラは魔者だから俺たち人間とは勝手が違うのか?」

「…………私は人間じゃないからミナトは気持ち悪いと思う?」


 シーラが瞳を潤ませながら聞く。


「あー…………言い方が悪かったよ。別にシーラが魔族だから変、って話じゃなくて、魔族は人間と魔法の詠唱も別なのかもしれないって思っただけさ。シーラのこと超好きだから安心して」


 もちろんライクの意味でだけどね。

 子供に手を出すほど、まだ人間やめてないんで。


「私もミナト好き。殴ったりしないから」

「…………そいつはどうも」


 シーラもライクの意味で俺を気に入ってくれているらしい。

 恨まれているわけではないから良しとしよう。

 好きになる基準がものすごい低いとは思うが。


「そういやシーラは元々、魔者の中でも最強の火魔法を使うことができる珍しい種族だって話だよな」

「分かんない。お父さんもお母さんも、魔法使ってるところあんまり見なかった」

「確か奴隷商人がそんなこと言ってたような……。レッカ族だったよな? シーラの種族って」

「分かんない」


 シーラの前では魔法をあまり使わなかったのか?

 それにしても少し知らなさすぎだな。

 これだけ無知だとさすがに心配になるレベルだよ俺は。


 もしかして、魔族ってのは生まれてから割りかし成長が早い種族なのか?


 例えばシーラが現在1歳児だと仮定すると、あまり魔法や自分の種族のことについて詳しくないのも納得できる。

 そして、成長に関しては圧倒的に人間よりも早くて、まるで産まれたての草食動物が直ぐに立ち上がることができるように、魔族も直ぐに独り立ちできるような成長スピードだとしたら。


 シーラが何も知らないのも無理ないことだな。


 それに…………俺が初めてシーラを見たときより確実に、確実に背が伸びてる。

 最初は気のせいかとも思ったけど、俺のお腹ぐらいに頭があったのが、今では胸の位置まで来ている。

 頭を撫でていた時の違和感は多分これだ。


 半月ぐらいしか経ってないのにこの成長スピードはヤバイだろ。

 そのうち身長追い抜かれて俺が頭を撫でられる時がくるんじゃね?

 そしたら羞恥と屈辱で吐血して死ぬわ。

 最速で死ぬ。


 まぁさすがにそれは冗談としても、シーラの成長が早いのは間違いないことだ。

 だから今まで聞くの忘れてたけど、確認の意味も込めて…………。


「なぁ、シーラって今何歳なの?」

「え? 確か………………………………………16かな」


 ………………………………。

 …………………。

 ……ん?


「はあああああああああああああ!?」

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