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英雄の異世界戦記〜敵を使役する異端な存在〜  作者: もぐのすけ
アクエリア大陸 剣聖編

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206/217

合流

「あ! い、いた!」


 聞き覚えのある声だな。

 誰だ? 敵だったら容赦しないぞ。


「無事だったんだねみんな!」

「フェリスさん!」


 声の主はフェリス・グリゼルだった。

 どうやら彼女も無事のようだ。


「敵は徐々に撤退してるよ。どうやら敵の指揮官が死んだみたいなの」

「そうですね。死体ならそこに」


 俺はフォルゲートと剣聖の死体を指差した。


「あれが……ってこの人は!?」

「そう、知ってると思いますが剣聖です」


 元ミラージュ王国星宝三龍将にして神剣流の開祖、となっているが、実際は神剣流を改良しただけだという。

 それでもこの国で、この人のことを知らない者はいないだろう。

 それほどまでに有名で、人々の尊敬を一身に受けていたはずだ。


「剣聖が『裏』に属しているってのは聞いていたけど、もしかして……」

「ええ、彼はこの戦いの敵の指揮官の一人です」

「それをヤシロ君が?」

「出来ればこんなことにはしたくなかった。でも、剣聖にも譲れないものがあった以上、敵対するのは仕方のなかったことです」


 家族を殺された剣聖には同情するよ。

 でも、関係ない人を巻き込むことは俺の考えとは相反する。

 だから容赦はしない。


 俺はこの世界に来てから何度も自分に言い聞かせるようにしてきたんだ。


 〝迷うな〟と。


「じゃあヤシロ君が剣聖を討伐したことで、敵は一斉に引いたんだ……」

「『裏』の指揮官は剣聖、魔王ベルファイアの指揮官はそっちに転がってるやつですよ」

「えっ!」


 フェリスがデカイ死体へと目を向けた。

 第八師武と言っていた魔者、フォルゲート。

 魔力がない状態での連戦はかなり厳しかった。


「じゃあヤシロ君は両方の指揮官を討伐したの!?」

「他に指揮官がいないのであれば、そうなりますね」

「やっぱり魔王グロスクロウとの戦闘で生き延びただけのことはあるわね…………」


 アイツに比べれば大抵の奴は大したことはないな。

 ある意味、俺の心の支えになっているといっても過言じゃない。


「フェリスさん!」

「アイラちゃん」

「ヤシロが足を怪我してるんです! 治してあげることはできますか!?」


 俺が自分で言うよりも先に、アイラがお願いしてくれた。


「あー……ごめんね。私も魔導級魔法を使って、魔力が全くない状態なのよ」

「そ、そうですか……」

「でも戦いは収束に向かってるし、一先ず私の家に来てもらえればお母さんが治してくれるはずよ」


 あ、そういえばフェリスには家のことは伝えてなかったな。

 一応伝えとくか。


「フェリスさん、家の方に魔人が降り落ちた関係で、家は半壊してます」

「ええっ!?」

「でも安心して下さい。俺が向かった時には全員地下に逃げ込んで無事でしたから」

「あっ……よ、良かった……」


 フェリスがホッとしたような表情を見せた。

 誰だって自分の帰る場所は心配だよな。


「ありがとうヤシロ君」

「まぁついでみたいなものでしたから……」

「とか言って、一目散に修練場を出て行ってたよね。フェリスさんの家に落ちたのが見えたから、一番に向かったんじゃないの?」


 アイラがニヤニヤと笑いながら言ってきた。


「そ、そんなわけねーし」

「え〜怪し〜」


 何だこの青ネコが。

 マタタビでふにゃふにゃにしてやろうか。

 そういうことは言わないのがお約束ってもんでしょーが。


「どちらにせよ、ヤシロ君が私の家族を守りに行ってくれたことには変わりないよ。それで話は変わるんだけど……」


 フェリスの目線がシーラに向いていた。

 何でここにいるんだろう、といった目だ。

 フェリス自身はシーラの事を知っているはずだが、それが『国滅ぼし』の事であるとは頭で繋がらないのだろう。


「シーラさんだよね? いつの間にここへ?」

「………………」

「あれ、私のこと覚えてないのかな」


 人見知りなだけでしょ。

 ボインのシャイナさんには懐いてたけど、フェリスとはほとんど関わりなかったもんな。


「フェリスさん、シーラが国滅ぼしだったって言ったら信じます?」

「えっ!? そんなこと……いやでも、確かにそう言われれば見た目はソックリだし……でも何で彼女が……?」


 俺はザックリとした内容はフェリスに話した。

 彼女はハボックに対して嫌悪感を抱いていたが、闇魔法を使っていたという話を聞いて、酷く憤慨したように怒った。


「信じられない! 国のトップに近い人が禁術を使っていたなんて! そんな人権を無視したような……許されるわけがない!」

「こんなところで言うのも何ですけど、シーラの記憶が戻らなかったら俺はハボックを殺してましたよ」

「わ……!」


 フェリスが途中で口をつぐんだ。

 恐らく私もと言いかけて止まったのだろう。

 国家の役職に就いている以上、本音でも上司を殺すと言うのを躊躇ったんだ。


「許せない……!」

「でもシーラは特に無事だったみたいだし、流石に今は殺すほど恨んじゃいませんよ。でも、何かしらの制裁は受けるべきだ」

「その通りね。私が今後槍玉にあげるわ。お父さんも後押ししてくれるはずよ」


 そう言ってフェリスが強く頷いた。

 本当に良い人だこの人は。


「一先ず、フェリスさんの家に向かってから城に戻る方向で構わないか?」

「賛成。ヤシロも足を治してもらわないとね」


 俺の心配ばっかりしてくれるな。

 アイラも良いやつさ。


「ん……私も」

「私の家を確認しに行ってもいいの?」

「当たり前じゃないですか。俺が見に行ったのは結構前だし、実際に自分の目で見に行かないと不安ですよね?」

「……ありがとう!」

「お互い様ですよ」


 フェリスは近くにいた兵士に剣聖やフォルゲートの死体を運ばせ、俺達と家の方へと向かった。


 そして、城に戻った後のことだった。

 ハボックが殺されたと聞いたのは。

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