招待
ミラージュ王国は世界で二番目に大きな国らしい。
国からの出入り口は全部で12箇所あり、広さは計算してみたところ東京23区がすっぽり収まるほどだそうだ。
これだけ広いのに中央にある城っぽい建物はデカデカと見えるんだよな。
国の象徴っていうのが良く分かるよ。
ちなみに世界で一番大きな国はシャンドラ王国なんだって。
そんなに広いイメージなかったけどね。
「入り口周辺には、結構軍の人達が多いんですね」
「当然よ。突発的な魔族からの侵攻に抵抗できるようにね。ちなみに軍の人達の居住区はこの辺りに多いんだよ?」
「なんでですか?」
「あ、多分あれですよね? 本拠地がある中心からだと交代したりするのに時間がかかるからとか」
「アイラさん正解。中心地から入り口までの間、軍事駐屯所も途中にあるけど毎日行ったり来たりが大変だから、多くの人は勤務場所の近くに家を構える人が多いの」
はぇ〜。
そりゃ通勤時間は短いほうがいいよね。
この世界に電車や車なんてありそうもないし、生き物なんかを国の中で乗り回すのも良くないよな。
「私達の家も少し遠いから、頑張ってね」
「クラリスに乗ればすぐだけどね!」
「禁止されてるでしょ」
やっぱりね。
それから、フェリスの家へ向かうまでの間、ミラージュ王国のことについて紹介してもらった。
やはり一番は軍事国家としての部分だった。
前にアイラに一通り教えてもらったが、トップはもちろん国の王様。
政治家と国軍で分かれているが、主に権力があるのが国軍側らしい。
国軍側のトップに星宝三龍将と呼ばれる3人の人達がいる。
ミラージュ王国は完全実力主義のため、実戦能力が高ければ偉くなることができ、貴族のような世襲制とは違い、階級が上の人からの指名制となる。
星宝三龍将の場合は王様の前で御前試合を行い、勝ったものがその地位に収まることができる。
もちろん、最低限の国民としての地位や指導者としての能力が必要とされるみたいだが。
そうしなければ、他国から来た愛国心のない人が軍のトップに成り代わったり、賄賂による腐敗行為によって偉くなる人物が出てくるからだそうだ。
多くは途中でふるいにかけられるが、中にはすり抜ける輩もいるため、保険という意味で実力面とは別の採用基準があるんだろう。
中々理に適っている。
その下に五天羅と呼ばれる5人組。
その下に交戦駆動隊と呼ばれる10に分かれた軍隊。
第1交駆隊、第2交駆隊という風に呼ばれ、大隊長の指揮の下、中隊長、小隊長、分隊長、班長、階級無しと分かれている。
一つの隊に1万人ぐらいいるっていうから大変だよね。
「10万人ぐらい兵士がいるって聞いたんですけど、思ったより少ないんですね」
「正確には10万人以上いるよ。ただ、雑務も多くあるから全員が兵士というわけではないの」
「それもそうですね」
ただ戦うだけなら誰でもできる。
その後の処理をしたり、書類に落とした報告をまとめなきゃいけない人達が必要ってことだ。
「ちなみに国王様直属の部隊で『新世大隊』って呼ばれるものも最近設立されたみたいだよ」
「前まで無かったんですか?」
「少なくとも私がいた時まではね。何でも傭兵を主軸にした侵攻部隊なんだって。魔王イズナ討伐のために実力のある人達が集められているみたい。直接の指揮は星宝三龍将の人達が執るみたいだけど」
魔王イズナ討伐の話はリアルガチみたいだ。
あ。
じゃああの噂話はもしかして……。
「魔族の一国を滅ぼした少女ってフェリスさんのことか」
「え? 違うよ。それは私じゃなくて新世大隊に入った傭兵のこと」
なんだ違ったよ。
勇者の仲間のフェリスならそれぐらいやるかと思ったけど。
「私も新世大隊についてはよく知らないのよね。魔族の国を滅ぼすなんてこと、私達でも中々難しいことなのに……」
「でもそんな人が味方にいるなら頼もしいですよね」
「それは間違いないわね」
そんなこんなで気付けばフェリスの家の前まで来ていた。
ほとんど中心地まで来ており、城がめちゃくちゃ近くにある。
そんな立地にあるフェリスの家はもちろん普通じゃなく、もはや家ではなく屋敷だ。
「貴族や…………」
「私達は貴族じゃないよ。ほとんどお父さんの働きのおかげだもの」
普通じゃないのは間違いない。
召使いだとかいそうなもんだけど、それでもオーリスはフェリスのために自分で実を取りに行ったのか。
あんな遠くまで。
ますます良い子やで。
「なんか緊張するね……」
「粗相ないようにしないとな……」
「私はお母さんにお客さんの事を伝えてくるから、オーリスは二人を案内してあげて」
「はーい!」
オーリスの元気の良い返事を受け、フェリスは中へと入っていった。
「じゃあ二人とも入って下さい!」
お邪魔しまーす。
実力的には、五天羅とシャンドラ王国の軍のトップであるフロイライン・アッシュガードが同じぐらいの実力です。
討伐者で言えばA級討伐者レベル。
シャンドラ王国は討伐隊が主軸に、ミラージュ王国では国軍が主軸となっているため、国の防衛力を担っている部隊という点では、それぞれ大きく異なっています。




