能力
本日2話目になります。
ちょっと短いのですが、1話目のキリが悪かったので急遽投稿させて頂きます。
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[名前] カミナリハコベ
[分類] ナデシコ科ハコベ属の越年草、または多年草
[高さ] 16mm
[特徴] アジーテ大陸に広く分布する植物。古くは煎じて傷薬として利用されてきた。
食用可能。整腸作用があるが、現在は家畜の飼料として使用が一般的。
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さて、"異世界転移時の五箇条"の3つ目 "自分の能力は入念に確認すること。ただし、できるだけ人に見られない場所で行うべし" に従ってスキルにある【鑑定】を使ってみたんだけど…。
不思議なことに使い方は何となく判った。頭の中で対象を指定して、"【鑑定】しろ"と思うだけですぐ情報が得られた。
ん~~~、でもこの植物の名前聞いたこと無いんだよなぁ~~。
さっき調べた別の植物は、僕も知ってるシロツメクサだったから元居た世界と同じだと思ったのに…。
まぁ、"アジーテ大陸"っていう場所の情報は得られたから善しとしようか。
気を取り直して、次に【解析】をかけてみた。10秒位かかったけれど、【鑑定】より詳細な情報が得られた。【鑑定】で得られた情報に加えて、原産地や自然開花期、植生から花言葉、更には育てる時のアドバイスまで出てきた。
その中でも僕の目に留まったのは、"抽出可能"と記された項目だった。興味深かったのは、糖類や芳香族化合物の名前は、僕等の世界にもある馴染み深いものもだっだけど、それと並んでまったく聞いたことの無い化合物もあった。
ん~~、【解析】があれば【鑑定】は要らない気がするなぁ~。
まぁ、いいや。次は【空間収納】かこれはアレだ。典型的なアイテムボックスってやつだ。
え~~っと、この手のスキルは収納可能な量と、時間経過を確認する必要があるんだっけ?
でも、周りに手頃な物無いし、その辺は後回しかなぁ~。
「ユウ君~~!何か分かったぁ~?」
そういえば、香奈ちゃんの方にもスキルの確認をお願いしていたんだった。
「うん、食べ物とかは僕達の世界と似たものがあると思うよ。香奈ちゃんの方は何か判った?」
「えっとね。私魔法が使えるみたい。」
…………何だって…。魔法だって…。
僕だって男だ。ゲームみたいに魔法を使ってみたいという欲求は人並み位はあるんだ。
「ちなみに何が使えるの?」
内心を押し殺して、聞いてみる。
「え~っと、【初級 火魔法】、【初級 水魔法】、【中級 水魔法】、【中級 回復魔法】とか一杯!!」
……う、羨ましいなぁ…。一体幾つスキル持ってるんだろう。あ、【鑑定】か【解析】で分かるかな。
「香奈ちゃん、ちょっと【鑑定】でスキル見ても良い?」
「う~ん、【鑑定】は私も使ってみたけどスキル出なかったよ。名前とHP、MP位しか分かんなかったよ。」
あっさり【鑑定】されていた事実にびっくりしたけど、なるほど、[名前]と[種族]、[HP]、[MP]位しか出ないね。
赤字で書かれた吹き出しみたいなポップアップが出てる。う~ん、植物の【鑑定】したときと項目が違うね。文字の色も緑だったから、鑑定対象で変わるのかな?
【解析】だとどうなるんだろう?…………20秒くらいかかったけど、結果が表示された。
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[名前] ミズノ カナ
[種族] ヒューマン
[HP] 750
[MP] 60
[筋力] 72
[耐久] 30
[魔力] 37
[精神力] 45
[素早さ] 135
[幸運] 30
[称号] なし
[スキル]
【鑑定】【収納空間】【百獣の女王】【HP自動回復】【初級 火魔法】
【初級 水魔法】【中級 水魔法】【初級 風魔法】【中級 風魔法】
【初級 回復魔法】【中級 回復魔法】【初級 治療魔法】【中級 治療魔法】
【初級 闇魔法】【初級 光魔法】【中級 光魔法】
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おお、解析だとかなり分か……??
…何だろう、コレ?ステータスとスキルがかみ合ってない気がする。
ステータスだけ見ると戦士とか武道家に見えるんだけど。
スキルは完全に魔法使いだ。中級とかあるけどMPが低すぎるんじゃないのかなぁ~?
あと、1つだけ明らかに不穏なスキルがあるし…。あ、集中すると詳細が分かる。
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【百獣の女王】
スキル発動時に次の効果を発動。
【肉体強化 超】【獣化】【金剛】【視覚強化 超】【聴力強化 超】【嗅覚強化 超】
【野生の勘】【鉄斬爪】【穿孔牙】【獣王の咆哮】【暴走】【高速思考 強】。
獣の女王たる力を発揮し、本能のままに頂点に座すための力。
効果時間は30分。発動後、休息が必須となる。
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…………絶対に女の子が持ってて良いスキルじゃないと思う。
これは駄目だ、絶対に使わせちゃ駄目だ。
ん、まだ情報があるのか。意識を向けるとレントゲン写真や心電図、血圧といったカルテに近い情報が表示される。
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[身長] 152cm
[体重] 46kg
[胸囲] 87cm
[胴囲] 50cm
[腰囲] 84cm
[BMI] 19.9
…
……
………
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「わああああああ!!!!!!!!!!!!」
「っ!!ど、どうしたのユウ君!!?」
うわぁあ、見ちゃいけないやつだ。やっちゃったよ。最低だよぉ~~。
「ユウ君!ユウ君ってば!!どうしたの?」
まずいよ~。駄目だよ~。本人に内緒で見て良いものじゃないよぉ~。
「もぉ~~!!ユウ君ってば!!」
ドムッ!!っと鈍い音と共に、僕のお腹に拳が突き刺さってた。
…………しばらく、お待ちくださいね。
◇◇◇
「なあんだ、【百獣の女王】見えてたの?驚かそうと思ったのに~。」
地面から起き上がった僕は、【鑑定】の結果見えたスキルに驚いたということにした。
罪悪感で胸一杯だが、あの一撃を食らって真実を告げる勇気は僕にはありませんでした。
……僕のHPは今30近く減っています。
「香奈ちゃん、そのスキル危ないから命の危険でもない限り使っちゃ駄目だよ。」
通常でも数発もらうと危険だというのに、この上【暴走】と【肉体強化】のおまけが付いた一撃なんか受けたら確実に死んじゃうよ。
「うん、自分でもコントロールできそうに無いしね。」
良かった。香奈ちゃんも使う気は無いみたいだ。さて、僕自身のスキルの問題児を確認しようか。
多分、こいつも壊れスキルだよね?
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【物質創造】
自身が構造を認識できる物体を産み出すことが出来る。【消費MP:5ポイント】
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あれ、あんまり大した事無いかな……?いや、待てよ…これは…アレが再現できれば………あ、出来た。………ってことは…え~っと、79だっけ?
◇◇◇
3時間後、僕は1トン近くある大量の金を【空間収納】に収め、ハマーと呼ばれる自動車に乗って一路街を目指すことにした。
補足です。勇者君は気付きませんでしたが、【鑑定】は戦闘にて真価を発揮します。
発動時間が短く、複数をターゲットすることが出来ます。