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6日目 初見で死んでも気にするな

「てーっれ、てーてーて、てーれーてーててー」


 カラッとした初夏の日差しが小屋の窓から差し込み、室内の温度は氷精であるチルノさんには厳しいものとなっている。

 けれども彼女はそれをものともしない様子で、奇妙な鼻歌を口ずさみながらゲームをプレイしていた。 うだるような熱気、身にまとわり付く蚊、ぬるーいそよ風どもにわたしは我慢できなくなりついに声を張り上げた。


「あーつーいーです!もう我慢できません、ゲームなんか止めてどっか涼みに行きましょうよー!」


「てーっれ、てれれーれーれ、うぅるさい!わたしは今ゲームに夢中なんだ!暑いなら心頭滅却すればいい!てーれーてーててー!」


「チルノさんのほうがうるさいですよ!なんですか、てーてー言っても、もし文字に直したら意味不明な発言ですからね!あと心頭滅却ってやせ我慢のことでしょう、わたしは我慢できないって言ってるんですよー!」


「『上海紅茶館』だよ!名曲だ!あたいには他に何も聞こえないし暑くもない!てーっれ、てーてーて、てーれーてーててー!」


「ああもういつまで同じフレーズなんですか!その曲!」


 先日見目麗しき咲夜さんから賜ったWindowsXPはこの暑さにもめげず順調に動作しており、激しい弾幕をそのモニター画面に映している。

 ゲームパッドも問題なく対応していることにチルノさんは感動すらしていた。

 そのせいなのか彼女のテンションが一際高い、MEを失った悲しみとは完全に決別できたようだ。

 ひょっとしてゲームできないから悲しんでいたのかな。


「あれ、そういえばその曲今まで聴いたことありませんね。ということは……」


「おお!3面に突入できたぞ!大ちゃんが『気合で避けろ』とかほざいていた2面中ボスの例の弾幕も、パッドさえあれば楽勝よ」


「あ、ああそうなんですか。どうやって避けたんです?」


「小刻みに何度も小さく横に移動したら避けれた。思いついてはいたんだがPCのキーだと指がつりそうでな。でもパッドなら問題ない、あたいったらまた最強に近づいたわねー!」


 チルノさんがまるで花が咲くかのようにニパッと笑顔になった。

 どうやら助言は必要なかったようだと思い、わたしまで笑みがこぼれる。

 問題の解法を自力で見つけ出す楽しみは、ゲームの大きな魅力の一つだと思うから良かったな。


「それでそんなバカみたいに鼻歌歌ってプレイしてるんですね」


「ま、それもあるんだが、あたいはこの3面のBGMが特に気に入ったんだ!このゲームはいい曲の宝庫だよ!てーれーてーててー」


 遊び始めた当初は「ゲーム部分にしか興味ない」とか、のたまっていたくせに……。

 本当に気ままな妖精だ。


「でも3面になってどんどん出てくる弾の量が増えてさぁ、どこ見たらいいのかわかんないんだよね。ゆっくり向かってくる弾を意識しているうちに、急に向かってくる早い弾に当たってミス、なんてのが増えた」


 全6ステージ構成のゲームだっけ、そりゃそろそろプレイヤーに死んでもらわないとゲームに張りがでないだろう。

 どれどれ、と画面を見て残機数に驚いた。


「えっ、このゲームこんなに残機もらえるんですか」


「うん、ここまでで1機死んだけど3回エクステンドしたから今は計5機あるよ」


 むむむこれは後半よほどの厳しい攻撃を覚悟しなくてはならないと思うぞ。

 なにせ死んでも「その場復活」するタイプのstgだからな。。※1

 パワーダウンも少なく「復帰」も容易に行えるタイプのゲームみたいだし、バンバン残機を削らないと緊張感が生まれない。※2

 全然関係ないけど、タイプといえば○-typeは名作だったなぁ。※3

 ボコボコにやられる前に少しくらい助言しても構わないだろう、わたしも結構気ままな妖精なんだから。


「チルノさん、早い弾を打ってくる敵には目を離さないほうが良いですよ。すごく危険な敵ですから」


「それじゃ自機がみえないじゃん」


「ずっと自機だけを目で追っているわけじゃないでしょう、縦stgですから基本的に自機のほんの少し上部に注目しておき、危険な敵は真っ先に着目すると被弾率が大幅に変わりますよ」


「……んん?どーゆーこと?」 


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bgm「オリエンタルダークフライト」


 ぅいーす魔理沙だ。キミのハートに後ろから失礼するぜ。よくわかんないぜ。

 今回は「画面のどこに目をおくべきか」についてくっちゃべるぜ。

 やってると皆自然に目がここを向く、ってのを初心者の方へ伝えたい。


 stgは「自機の上部」が注目するメインの場所になると思うぜ。基本的に弾は上から来るからな。

 しかしこれは「敵弾が自機の近くに向かっている」時の場合だ。

 それ以外なら、まず敵に目を向けるべきだと思うぜ。

 参考例としてザコ敵を対処するわたしの動きを順を追ってしゃべるぜ。

 出るザコ敵は1匹と仮定する。そんな場面はほぼないが。


1「敵が現れたらそこを見る。」

 自機に弾が向かっていない時に、自機周辺を見る意味はない。

 わたしに見とれていても仕方ないし照れるぜ。


2「敵の攻撃種類を把握し、弾道を予測する。」

 これは2回目以降の接触じゃないとわからないが、stgは何度もやり直すゲームだ、初見で死んでも気にするな。

 ○セミ神も最初はミスしたはずだ、そう思いたい。※4

 この「予測される弾を避けやすい場所へ誘導するために、撃たれる前から自機を動かしていく」と回避がすごくスムーズに行えるぜ。

 弾幕ゲームの道中ステージはこのように「敵弾を誘導して逃げ道を作る」ことを意識して動いていくことになるぜ。

 敵の数、弾数が増える後半はこれを意識していないと直ぐ追い詰められて死ぬ。


3「敵弾が発射されたら弾道を確認」

 確実に自機に当たらない軌道の弾は無視。

 数が数だし弾幕ゲームには見る必要のない弾は結構多いぜ。

 そして敵弾が自機周辺に向かってくる時に「自機周辺上部」に注目する。

 この時問題になるのが「敵弾を見ながらどうやって自機の位置を把握するか」だが、「自機の撃つショットを見て、その出所に自機がいる」ことを意識すると良いぜ。

 ショットは画面上部まで届くから、自機が画面1番下にいて目が上部の敵に向いていても大まかな目安になるぜ。 


 こんなところだぜ。このコーナー口が疲れるから次回から霊夢に変わってほしいぜ。

 次回も皆でスターダストレヴァリエ!星の煌きは少女の瞳の眩しさを曇らせる……。

 わたしはいっぱいいっぱいだぜ。


テリレリレンテンテン!

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「わかりましたか」


「いや、なんとなくはわかったけど、なんなのこのラジオ番組は?魔理沙すごく嫌そうに解説していたね」


「これはわたしが最近ハマっている『霊夢と魔理沙のDoKiDoKiラジオ』のstgについて話すコーナーです。先日放送された分をテープに録音して持ってきました」


「視聴率が気になる」


「番組冒頭で毎回手紙をしつこいほど募集していますが、発表されたことは一度もありません。あんまりにも哀愁が漂っているのでその部分はカットしました。その程度の人気です」


「ハマってるなら手紙送ってあげればいいのに……」


 とにかくこれで少しはチルノさんの役にたてたはずだ。

 さて、そろそろかな……と身構えていると、おもむろに小屋の扉がノックされた。

 涼みに行こうなんてわたしは言ったが、本気ではない。

 チルノさんにブーたれて暑さを紛らわそうとしただけだ。


「あ、来ましたね」


「む……」


 わたしはいそいそと身なりを整え、来客を出迎えた。


「いらっしゃいませ、咲夜さん」


「こんにちは、おふたりともこんないい天気なのに相変わらず部屋でゲームですか。外には出ないのですか?」


「へん、お前はあたいに日光で溶けろと言ってるのか」


「チルノさんは吸血鬼じゃないでしょ」


 先日の一件以来、本当に咲夜さんはこの掘っ立て小屋に来てくれるようになっていた。

 この夏は……熱い夏になりそうだぜ。ぐふふ。



※1 「その場復活」

 stgはミスしても残機が残っていれば続けてプレイできますが、その後の処理がゲームにより違ったりします。

 「その場、戻り」に大別され、「その場」は字の通りその場から、「戻り」は場面ごとに決められた場所まで戻されて再スタートとなります。


※2 「復帰」

 ミスした後のリカバリーを指します。

 「復活」の方が一般的ですが上の説明と被り、ややこしいのでこう表記。

 多くのstgはミスすると自機のパワーがダウン、あるいは初期状態にまで下がり、後半ステージでこうなると厳しい戦いを強いられることになります。

 しかしうまく立ち回ってアイテムを取得し、ミス前のパワーまで戻すことをこう呼びます。

 後述する○-typeはこれが本当に楽しい。


※3 ○-type

 3大横スクロールstgの一角。

 「貯め撃ち」「無敵のフォース」を駆使して進んでいくパターン要素の強いゲーム内容、画面に収まりきらないボスというアイデア、生物であることを強く意識させるグロテスクな敵、それと対比するかのような自機の科学的な幾何学模様を描くレーザー、等間違いなくゲームの歴史に残る永遠の名作。

 ○ラディウスは復活できないから厳しい……と嘆いていた筆者がこれに手を伸ばし、このゲームの復活パターン構築の神がかった難易度調整が最高に楽しくて、夢中になって遊んだ記憶があります。

 今でもたまに遊んでいます。

 タイプ、と聞いただけでこれを思い浮かべるのは自然なことなのです。きっと。


※4 ○セミ神

 「スコアラー」と呼ばれるstgがべらぼうに上手い人種、と言うより神。その一柱の呼称。

 例え1つのstgをクリアしたとしても、そのゲームはそれで終わったわけではありません。

 ゲーム中で稼いだスコアの高さを競い合うという遊びを始めることもでき、これを「スコア稼ぎ」と呼びます。

 これを行う方々を「スコアラー」と呼び、反対に稼ぎを意識しない方、クリアを目的とする方を「クリアラー」と呼びます。

 この「スコア稼ぎ」は攻略にも絡んできますので、本編でまた登場させます。

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