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X9 お父さん!

「ただいまぁ」


 なんだか色々面倒なことになっている気がしつつ家へ辿り着き、応接間にいるであろうお父さんに声をかけておく。

 とっとと部屋に戻ってベッドに突っ伏したい。そんな気分だった。


「おっ、瀬奈。ちょっと来なさい」


 しかしお父さんがそうはさせまいと私を呼ぶ。うぅー、めんどい。


「……なに、お父さん」

「おう、ちょっとの間、留守にするぞ」


 お父さんはリビングで荷造りをしていた。

 どこの海かなと思ったら、ザイルやピック、ハーネスなどの登山道具ばかりだった。いつも海ばかり撮影しているイメージだったから意外。


「あれ、山? 珍しいね」

「たかしが落ちて怪我したらしくてな、俺が代わりにやることになった」

「あちゃぁー、たかしさん怪我したんだ。どうせまた道具を雑に扱ってたんでしょ」

「いい加減こりてくれないと、そのうち大変なことになるのにな」

「たかしさんは身体能力に頼りすぎなんだよ」

「ははっ、瀬奈は道具に頼るの上手いもんな」


 たかしさんはカメラマン集団、通称『チーム北峰竜二』のひとりだ。

 公表をしていないけど、北峰竜二をペンネームに活動しているのは6人いる。お父さんをリーダーに、それぞれの分野の精鋭エキスパートが揃っているんだ。


 元々はお父さんのカメラの師匠、北峰楽流きたみねらりゅうという人がいて、メンバーそれぞれがお父さんの弟弟子に当たるらしい。

 んで、お父さんは師匠から全て教わっていたんだけど、他のみんなが教わっている途中で亡くなり、全員お父さんが面倒を見ることになったんだ。

 結局もうみんなお父さんから大体のことは教わっているんだけど、有名になろうとかそういう野心がなく、更に北峰竜二でいることで色々とメリットがあるとのことで続けてる。


 メリットは当然、今までの実績だ。様々な分野で北峰竜二の名前が出ているため、仕事が途切れることはない。お父さんとしても、やりたい仕事を選べるからまんざらでもないみたい。一度断っちゃうと次に同じような仕事がもらえないかもしれないからね。


 あれ、お父さんが行くってことは、この家私以外誰も居なくなっちゃう。


「じゃあ当分私は1人暮らしってことになるのかな」

「少しすれば母さんも戻ってくるだろ。メール着てたし」

「どうせ装備変えてすぐどっか行くでしょ。今どこにいるんだっけ?」

「NASAっつーことしか知らないな。あそこはガード固いから居場所は不明だ」


 お母さんは自称アクティブデベロッパーというわけのわからない仕事をしている。

 基本的には開発者なんだけど、できたものを自分で試さないと気が済まないようで、今NASAにいるってことはそのうち実験のために宇宙へ行くかもしれない。

 いいなぁ宇宙遊泳……。


 おっとそうだ、お父さんに聞きたいことがあったんだ。しばらくいないんだったら今のうちに聞いておかないと。


「そうだお父さん、エクストリーム部って知ってる?」

「ん? ああそういやそんな連中もいたな。あれ? そういや瀬奈の学校じゃなかったか?」

「知ってるの!?」

「名前だけはな。高校生にしちゃあなかなかやるらしいが……。なんだ、興味あるのか?」

「う、ううん」

「なんなら話つけてやろうか? こう見えても父さんは──」

「だからいいってば!」


 危ない危ない。無闇に藪をつついてはいけないという教訓に倣わないと毒蛇にやられてしまう。


 お父さんは仕事以外だと興味の無い名前を覚えてない。そんなお父さんの記憶にあるエクストリーム部。気になるといえば気になるかなぁ。


「そういや瀬奈は部活で学校選んだんだったよな。じゃあいいか。何部だっけ?」

「あー……、うんっと……」


 どうしよう、今更勘違いでしたなんて言えない。家買っちゃってるし、入学してるし。

 私は挙動不審気味に部屋中を見渡し、ホワイトボードに目を留めた。


「あっ、優美さん今日本なんだ。こっち来れないかなぁ」

「ああそうだ、ここに様子見に来てもらったほうがいいか?」

「うん。最近会ってないし、たまにはね」


 チーム北峰竜二の紅一点、優美さんは私のお姉さんみたいな人だ。私が小さいころに弟子入りして、すぐ師匠が亡くなったため、長いことお父さんが指導していたんだ。そのおかげで私ともずっと一緒にいて面倒を見てくれたりしていた。ひょっとしたらお母さんよりも一緒の時間が長かったかもしれない。来てもらえるならうれしい。


「じゃあ言っておくか」

「お願いー」


 なんとか誤魔化すことができた。

 でもそっか、お父さんも知ってるんだ。エクストリーム部。

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