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X8 崩壊!

「どどどうしたの北星さん! 突然大声出して」


 私は突然叫びだした北星さんに驚き、わけをたずねてみた。

 そしたら北星さんは私の両肩をがしっと掴み、真剣な目を向けてきた。


「瀬奈ちゃんわかってる!? エクストリーム部だよ、エクストリーム部! スカウトだよ! 凄いんだよ! 入らないと損だよ!」


 なんてことだ。

 昨日の友は今日の敵。北星さんがあっち側についてしまった……。


「そんなの知らないよ。私は入りたい部が……」

「いい? エクストリーム部はこの学校の象徴シンボルみたいなものなの! みんな入りたいの! そのために努力している人だっていっぱいいるんだよ!」

「い、痛いよ北星さんっ」

「あっ、ご、ごめんっ」


 ぎりぎりと音がしそうなくらい掴まれていた私の肩からやっと手を離してくれた。

 そんな私たちのやりとりをあいつはつまらなそうな顔で見ている。


「そもそもお前、海洋研究部に入って何をするつもりだ?」

「何って決まってるでしょ、私は海に潜りたいの!」

「うん? あいつらそんなことしないぞ」

「嘘! だって学校のHPの部活案内に……」


 そう、私は部活案内にあったダイビングの写真を見て海洋研究部に入りたいと思ったんだ。数人のダイバーが楽しそうに集まっている風景。ああいうのに少し憧れてたんだ。


「ああ、あれか。あれは海中展望塔から外のダイバーを撮影しただけだ」

「えっ?」

「あいつら完全な文系だぞ。ウェットスーツすら着たことないんじゃないか?」


 そんな……。

 じゃあ私はなんのためにこの学校へ入ったんだ。

 今までイメージしていたものが、ガラガラと崩壊し、頭の中から滅んでしまった。



「まあ、気が向いたら部室棟に来い」


 打ちひしがれている私の肩を軽く叩き、あいつは去っていった。

 少しの間、呆然としていた私は北星さんが軽くぶつかってきたことで我に返れた。


「北星さん、エクストリーム部って一体なんなの?」

「さっき言ったとおり、この学校の象徴だよ」


「そんな大げさな……」

「瀬奈ちゃんは何も知らないからそんなこと言えるんだ。この学校には2つの生徒しかいないんだよ。エクストリーム部員か、そうでないか」


 なにそのカースト制度より酷いヒエラルキー。ピラミッドというより画鋲じゃん。

 それにしても北星さん、入学したてなのによく知ってるなぁ。


「北星さんって詳しいよね」

「従姉妹がここの生徒だったからね。嫌ってほど聞かされたよ」


 なるほど前情報がしっかりしてたのか。


「じゃあひょっとして北星さんもエクストリーム部に入りたいとか?」

「当たり前じゃん!」


 即答されてしまった。


「フリーランニング部は?」

「フリーランニング部は選べる部だよ。でもエクストリーム部は選べない。だけどフリーランニング部で実績を積めばきっと……ってね」


「そうだったんだ……」

「まあでも、あの喜信堂先輩に勝てるとは思ってないけどねー」


 あははと笑いながら、少しくやしそうな印象を受ける。


「喜信堂先輩?」

「確か今、エクストリーム部にいるはずだよ。日本人女性で初めて世界一になったパルクールのエキスパートなんだ」

「へぇー」


 憧れもあるけど、ライバル視しているんだろう。北星さんは結構負けず嫌いな印象を持った。

 だけど向上心はいいことだ。いつかきっと追い越せるよ。


「DVD見たんだけどさ、ほんと凄いの! 海外でもシノビ・クイーンとかクノイチ・ガールとかメスニンジャとか呼ばれてて!」


 メス……? うーん、どれもいまいちピンとこない。

 イメージが貧困なせいか、赤かピンクの忍び装束を着て覆面を被って走ってる姿を想像してしまった。


「とにかくさ、入りたい部活がないならエクストリーム部にしなよ! 私も友達が部員だったら鼻が高いし!」

「うーん……」


 私は考え込んでしまった。

 そもそもの目的である海洋研究部への気持ちが木っ端微塵に砕かれてしまった以上、やりたいことが見当たらない。

 だからといってあいつがいる部に入りたいという気持ちはない。でも……。


 スキューバが好きな私を誘う理由。あいつはスキューバをエクストリームスポーツだと言った。

 それってつまり、私に潜らせてくれるということかもしれない。

 だったら願ったり叶ったりだ。

 とにかくそれを確認してからでも遅くはない。よし、今度聞こう。


「少し、考えてみようかな……」

「それでいいと思うよ! がんばってね!」


 正直エクストリームというものに全く興味がない。だけど北星さんがこれだけ言うんだから、一考してもいいと思う。入ったらどうなるのかな。

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