未来日記
短編小説にしてはいささか以上に長いかと思いますが、最後までお付き合い下されば嬉しいです。
会社からの帰り道、キミは少しだけ遠回りをして小さな古本屋へ来ていた。店の片隅にあった棚から一冊、本を抜き取って、臙脂色の渋いハードカバーをぺらぺらめくる。
「これは……」
気に入った?
「う〜ん、ちがうなぁ」
手にした本を棚に戻す。
狭い店内に整然と列をなす本棚。そこに同じく、整然と並べられる数々の本。
あえて整理されていないところを挙げるとすれば、タイトルが順不同であることとか、作者ごとに分けられていないことくらいだろう。
だが、それもキミにとっては瑣末なことだった。もとより、目的の本を探しにここに来ているわけではない。
生来、読書好きのキミは、書店に積み上げられているような作品はあらかた読み尽くしていると言ってよかった。
この店を訪れる理由は、そういった書店ではもう手に入らないような本や、書店では扱われなかった未知の作品を探すためである。
だから、この整理されているようでその実、ごちゃごちゃの本の数々は、キミにとってまさに宝の山。いわば“宝捜し”なのだ。
「あれ?」
どうしたの?
「これは…… 珍しいな」
手には分厚くて真っ白なハードカバーの本。カバーまで真っ白な本なんて、確かに珍しい。
「ま、中身が真っ白なんてのは、本じゃなくてただのノートだけどね」
そりゃそうだ。でなきゃ、日記帳だね。
あはは、と苦笑しながらキミは、表紙をめくって最初の行に目を通す。
「ん? なんだ、これ?」
そこには、こう書かれていた。
『会社からの帰り道、少しだけ遠回りをして小さな古本屋へ来ていた。店の片隅にあった棚から一冊、本を抜き取って、臙脂色の渋いハードカバーをぺらぺらめくる。』
あれ、これって……
「まさに今の僕じゃないか」
何だか急に不気味になって、店の主人に尋ねてみた。
「あの、これ……」
「ん? ああ、これか。どこに行ったのかと思ってたけど、こんなところにあったんだね」
若い店主は嬉しそうに笑う。
キミはもう何度かこの店に足を運んでいたので、店主とはそれなりの知り合いになっていた。歳が近いせいもあるだろう。何とはなしに気の会う友人だった。
「これはご覧の通り、真っ白な形をしてるからさ、『 』って呼んでる」
「『 』……」
キミは店主の言葉を鸚鵡返しに繰り返す。そのなんとも言えない響きに、妙に興味が湧いた。
「どんな本なの?」
「内緒。気になるなら読んでみるのがいいさ」
店主さんの言う通りだ。読んだことのない本の中身を訊くなんて、読書好きのキミらしくないぞ。
「確かにそうだ。んじゃあ、これをください」
「まいど」
キミは代金を払うと、真っ白な本を鞄に仕舞って、家路に着いた。
家に着くと、まずは適当に夕食を済ませ、風呂を浴びた。
給湯器の設定温度が高すぎたせいで、ほとんど湯に浸かっていないのに、体がポッポとする。
風呂上りの火照った体にきゅっと一杯。最近は仕事が上手くいかないせいで、上司に怒られたりと散々だから、今日は少しばかり酔っ払ってやるとするか。
と、冷蔵庫の扉を開けて、キミはやっぱり酒は止めることにした。
唐突にあの本のことを思い出したからだ。
酔っ払った頭で本をめくることは、その本への、ひいてはそれを描いた作者への侮辱である。素晴らしい夢と世界を見せてくれる彼らに、そんな無礼を働くわけにはいかない。
麦酒を仕舞って、冷蔵庫を閉じる。代わりに鞄を開けて、真っ白な本を出す。
店で開いた続きを読んでみる。
『店の片隅で、真っ白なハードカバーの本を見つけた。カバーまで真っ白なんて珍しい。
ぺらぺらと中身をめくって見ると、そこには
『会社からの帰り道、少しだけ遠回りをして小さな古本屋へ来ていた。店の片隅にあった棚から一冊、本を抜き取って、臙脂色の渋いハードカバーをぺらぺらめくる。』
と書かれていた。
「おいおい、まるっきりそのまんまじゃないか!」
キミは声を上げる。しかし、そこには先のような怖さはなく、あるのは『この先どうなるのか』という好奇心だった。
続けてページを繰る。
『何だか急に不気味になって、店の主人に尋ねてみた。
「ん? ああ、これか。どこに行ったのかと思ってたけど、こんなところにあったんだね。気になるなら読んでみるのがいい」
店主に薦められて、読んでみることにする。
代金を払うと、真っ白な本を鞄に仕舞って、家路に着いた。
家に着くと、まずは適当に夕食を済ませ、風呂を浴びた。
最近は仕事が上手くいってないので、今日は酔っ払ってやろうと思ったが、さっき買った本が気になって、そちらを読むことにした。
鞄から本を出して、店で開いた続きを読んでみる。
『店の片隅で、真っ白なハードカバーの本を見つけた。カバーまで真っ白なんて珍しい。
ぺらぺらと中身をめくって見ると、そこには
『会社からの帰り道、少しだけ遠回りをして小さな古本屋へ来ていた。店の片隅にあった棚から一冊、本を抜き取って、臙脂色の渋いハードカバーをぺらぺらめくる。
と書かれていた。』
「すごい…… すごいぞ!」
まるで、他人が書いた自分の日記を見ているような感覚。
不気味ゆえに興味深い。
キミはさらにページを開く。
「あれ?」
しかし、そこには、何も書かれていなかった。
この本のカバーと同じ、真っ白のページ。
どうしたことか、と“まえがき”のところまで戻ってみる。
そこには、こう書かれていた。
――この本は、途中から全く何も書かれていない、白紙になっています。これは決して、手を抜いたわけではありません。それより先のお話は、読者様自身の手で、小説家になったつもりで描いて欲しいのです。それは世界でたった一つの、“あなただけの物語”。きっと素晴らしい世界が広がることでしょう――
要するに、脚色過多な“日記帳”だったわけだ。やられたね。
「こんなんじゃ一般の書店には出回らないわけだ…… でも、面白そうだな」
え、本気かい? まったく、乗せられやすいんだから……
キミは机に向かい、鉛筆を手にする。
そうして真っ白なページに、黒い文字を描いていく。気分はもう、小説家だ。
『翌日。朝からいい天気だった。“一日中、雨模様”と言っていた天気予報は、見事に外れた。
うららかな陽気。涼やかなそよ風。明るい陽射しは、気持ちまでも晴れやかにしてくれる。
これなら、今日の仕事は上手くいきそうだ。』
「これで良し」
おいおい、まだ三行しか書いてないぞ?
小説家なら、もっと書かないと……
「これで良し」
やれやれ。これじゃあ本当に日記じゃないか。明日の朝のことだから、“未来日記”ってとこかい?
「いいだろ、別に。締め切りがあるわけじゃなし、ノンビリ書くさ」
キミはそう言うと、本を閉じてベッドに入り、そして程なく、眠りに落ちていった。
翌日。朝からいい天気だった。“一日中、雨模様”と言っていた天気予報は、見事に外れた。
うららかな陽気。涼やかなそよ風。明るい陽射しは、気持ちまでも晴れやかにしてくれる。
これなら、今日の仕事は上手くいきそうだ。
「え……?」
そう感想を得て、キミはベッドから飛び起きる。
窓から差し込む朝日が眩しい。おかげですっかり目が覚めた。
目も覚めるはずだ。何しろキミが描いた感想は、昨夜本に綴ったものと全く同じだったのだから。
キミは昨日のことが夢だったのではないか、と思い、机の上を見る。そこには白本が置いてあった。
中身も確認。やはり、夢ではない。
「どうなってるんだ……? まさか、本当に“未来日記”!?」
偶然ってこともありえる。
「だ、だよね…… よし、じゃあこれからのことを書いてみよう」
机に向かって、鉛筆を取る。
『会社に着くと、上司が待ち望んでいたかのように声をかけてきた。
「ああ、やっと来たか。さっき、昨日の取引先から電話があってな。何でも、昨日はキミに失礼なことをした、もう一度話がしたいと言ってきてるんだ。すぐに向かってくれ」
取引先に着くと、先方は昨日と打って変った態度で応じてきた。ヘコヘコと頭を下げて謝罪する。
先方が言うには、
「先日は大変失礼をしました。勝手な言い分ではありますが、御社とは末長くやっていきたい。そのために、私どもは協力を惜しみません」
だそうだ。
つまりは、取引が上手くいった、ということだ。』
今度は昨日のように簡単な記述にはしなかった。会社に着いて上司に声をかけられ、取引先と話をして交渉を成立させる、という少しばかり複雑な形にしてみる。
「これで良し。さ、会社に向かおう」
見れば出勤時間を五分過ぎていた。
急がないと遅刻だね。ああ、ネクタイが曲ってるから直しておきな。
「わかってるよ…… と、この本は持っていっておこう」
キミは本を鞄に仕舞うと、慌てて会社に向かった。
会社に着くと、上司が待ち望んでいたかのように声をかけてきた。
ちなみに、五分遅刻である。ああ、怒られるな、なんて思っていたら上司は何と、
「ああ、やっと来たか。さっき、昨日の取引先から電話があってな。何でも、昨日はキミに失礼なことをした、もう一度話がしたいと言ってきてるんだ。すぐに向かってくれ」
と言った。まるっきり本に書いた通りの台詞である。
キミは驚きに心臓を鼓動させつつも、上司の言いつけ通り、取引先へと向かった。
取引先に着くと、先方は昨日と打って変った態度で応じてきた。ヘコヘコと頭を下げて謝罪する。
これも、本と一緒。そして、先方が、
「先日は大変失礼をしました。勝手な言い分ではありますが、御社とは末長くやっていきたい。そのために、私どもは協力を惜しみません」
と言った。これも、一緒だった。
「この本、本当に……」
キミは取引先からの帰り道、適当に入った定職屋で本を取り出して、呟いた。
本に書いた通りに事が運び、取引も上手くいった。
本当に、そのままなのである。
「これはもう、偶然なんかじゃない。僕は、未来に起こることを予言……いや、創造できるんだ!」
笑いが込み上げる。全てが思い通りになるという、まさに“理想”のカタチ。
ならば、もっともっと書き込んでやろう。
キミは手始めに、こう書いた。
『昼食を取るのために入った定食屋で代金を払おうとすると、「御代は結構です」と拒否された。なぜかと尋ねると、
「お客様は当店、四千人目の記念すべきお客様だからです」
と店員は答えた。
ありがたい。一食分、浮いたのだ。』
そして、その通りになった。
会社に戻った後も、書類ではなく本を綴る。
取引を成功させたことによる昇格と昇給、臨時ボーナス。会社の都合による、有給休暇。憧れの何某さんから告白、一緒に食事をして、ウフフ……等々、思いつく限りの希望を綴った。
その全てがその通りに起こり、最高の一日となる。いや、
「もう、叶わない望みはないんだ。今日だけじゃない、これからのことをもっともっと書いていけば……」
最高の人生になるだろう。
だから綴った。この本を、自分の理想で埋め尽くしてやろう。
仕事はトントン拍子で昇格。あの人と家庭を築き、これ以上ないくらい円満。宝くじも当たり。それを元手に、今の会社は退社して、起業、当然成功。憧れの豪邸に、立派な外車。着る服はブランドでセンス良く、葉巻をふかしながら高級なブランデーを片手に有名な絵画を眺める。傍らには愛する妻と子供たち、そして愛犬。“成功の秘訣”として、嘘八百を並べ立てた本はミリオンセラー、印税で働かなくとも金が入る。
とにかく綴った。この先に起こることを全部。己の願望を全て。
自分は全ての願いを叶えることができる、神様なのだから。
そして、何もかもが書いた通りに進み、ありとあらゆる願望が叶えられた。
自他共に認める、“手に入らないものはない”存在。
まさに酒池肉林。全ての幸福を収め、欲望に溺れる。
そんな時のことだ。長く可愛がってきた愛犬が、突然死んでしまった。
驚く。そんなことは書いた覚えがない。
慌てて、しばらく忘れていた本をめくってみる。
「あ、なんだ、そうか……」
ほっと胸を撫でる。
覚えがなくて当然だった。
そこから――否、これから先のことを書いていなかったのだから。
それじゃあ、と鉛筆を取って、新たに書き込もうと次のページを開いた。
「あれ?」
しかし、そこは、何も書かれていないページではなかった。
普通の小説と同じ、活字の並んだページ。
どうしたことか、と“まえがき”のところまで戻ってみる。
そこには、こう書かれていた。
――ただし、何も書かれていないのは、途中までです。この本にはこちらが用意した“終わり”が設けられています。手を抜いてはおりません。それより先のお話は、作者自身の手で、神様にでもなったつもりで描かせて欲しいのです。それは世界でたった一つの、“わたしだけの物語”。きっと素晴らしい世界が広がることでしょう――
「おい、待ってくれよ……」
すぐに続きを読み始める。
そこには、
『翌日。朝から嫌な天気だった。“一日中、良い天気”と言っていた天気予報は、見事に外れた。
どんよりとした空気。冷たすぎる氷雨。暗い曇り空は、どこまでも陰鬱にさせてくる。
転落が始まりそうだ。』
「嘘だろ……」
ごくりと生唾を飲み込んで、夢中で読む。
『会社に着くと、秘書が待ち望んでいたかのように声をかけてきた。
「ああ、やっと来ましたか。先程、警察から電話がありました。何でも、昨日はあなたに脱税の疑いが掛かっている、一度話がしたいと言ってきています。すぐに対応を」
と言った。
キミは驚きに心臓を鼓動させつつも、秘書の言う通り、対応策を練ることにした。
そうして、警察と話をする。
先方が言うには、
「先日、貴方の会社の取引先から、貴社がどうも悪どいやり方をしてるようだと通報がありましてね。証拠となる書類も揃っていたので、こうして伺ったわけですが……貴方も疑いをかけられたままではお嫌でしょう? そのために、私どもに協力していただきたい」
だそうだ。
つまりは、家宅捜索をさせろ、ということだ。』
「そんな、嘘だ…… 何かの間違いだ、これは……」
また、ページをめくる。
『昼食を取るのために入ったレストランで、カードを使って代金を払おうとすると、「お客様、このカードは……」と拒否された。なぜかと尋ねると、
「もう止められているようです。使えなくなっています」
と店員は答えた。
カード以外、金を払う手段がない。
「御代は払っていただかないと困るのですが……」
近くの質屋で、身に付けていた時計を売り払ってその場を工面した。
何ということだ。一食がこんなに高かったなんて。』
「嘘だ、嘘だ、嘘だ!」
その先を書かれていたことを読んで、茫然とする。
取引先の裏切りによる、会社の破綻と倒産。自己破産。会社の都合による、永続休暇。妻に不倫がバレ、大喧嘩をして、別居生活。余罪はトントン拍子で暴露。あの人との家庭は崩壊し、これ以上ないくらい孤独。借金地獄。それの所為で、新たな仕事もできず、当然収入なし。憧れの豪邸も、立派な外車も差し押さえ。着る服は襤褸のTシャツ一枚で着替えもままならず、シケモクさえも吸えないで、喉を潤す水を得るため曇り空を眺める。傍らには眠るための薄い毛布と小さな枕、そして白い本。“成功の秘訣”として、嘘八百を並べ立てた本は出版停止になり、返却された本の責任という形でまた借金がかさむ。
「もう嫌だ、やめてくれ!!」
叫ぶ。叫びたくなるのも当然だ。
そこには、まるで書くことを予見していたかのように、まったくの逆さまのことが描かれていたのだから。
怖い、怖い、怖い。せっかく得たものを、全て失ってしまう。
いや、そんなはずはない。
だって、物語なんだから。
物語ってのは、大抵が“ハッピーエンド”で終わるようにできているんだから。
そう、そんなはずはない。
また、ページをめくる。次が、最後のページだ。
『そうして、全てを失った。
その不幸に、恐怖に耐えられなくなった。
だから、もう、死のう……
その言葉の通りに、彼の者は旅立つ……』
「――っっ!!!!!!!!」
息を呑む。
もう先はない。
本当に、これで終わりなのだ。
何もかも得てきたものは、何もかも失われる。
その喪失感に耐えられず、そして……
「何を馬鹿な! そんなことがあってたまるか!! そうだよ、これは所詮、物語じゃないか。この通りになるはずがない」
あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!
嗤いが木霊する。
そうだ、そんなはずがない。
だが、現実は起こった。
翌日。朝から嫌な天気だった。“一日中、良い天気”と言っていた天気予報は、見事に外れた。
どんよりとした空気。冷たすぎる氷雨。暗い曇り空は、どこまでも陰鬱にさせてくる。
「あは、あはははは……」
転落が始まった。
全てを失い、そして、その恐怖に耐えられず……
「――っ!!!!」
そこで、キミは目を覚ました。
会社帰りの電車の中。ガタンゴトンとリズム良く体が揺れる。
「はぁ、はぁ……」
どうしたの、大分うなされていたけれど?
「夢……? なんて、夢だ……」
キミはハンカチを取り出して、汗を拭う。
疲れとストレスが溜まっていたのだろう。このところ、徹夜続きだし、仕事も上手くいかず、今日も上司に怒られた。
だから、こんな夢を見たのだ。
それにしても、
「リアルな夢だったな……」
嫌な夢からも完全に目覚めた会社からの帰り道、キミはふと気になって、少しだけ遠回りをして小さな古本屋へ向かった。店の片隅にあった棚から一冊、本を抜き取って、臙脂色の渋いハードカバーをぺらぺらめくる。
手にした本を棚に戻す。
狭い店内に整然と列をなす本棚。そこに同じく、整然と並べられる数々の本。
あえて整理されていないところを挙げるとすれば、タイトルが順不同であることとか、作者ごとに分けられていないことくらいだろう。
「あれ?」
どうしたの?
「これは……」
手には分厚くて真っ白なハードカバーの本。
あはは、と苦笑しながらキミは、表紙をめくって最初の行に目を通す。
そこには、こう書かれていた。
『嫌な夢からも完全に目覚めた会社からの帰り道、キミはふと気になって、少しだけ遠回りをして小さな古本屋へ向かった……』
「もう、やめてくれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
この真っ白な本、『 』のまえがきには、こう綴られている。
――この本は、途中から全く何も書かれていない、白紙になっています。これは決して、手を抜いたわけではありません。それより先のお話は、読者様自身の手で、小説家になったつもりで描いて欲しいのです。それは世界でたった一つの、“あなただけの物語”。きっと素晴らしい世界が広がることでしょう――
――ただし、何も書かれていないのは、途中までです。この本にはこちらが用意した“終わり”が設けられています。手を抜いてはおりません。それより先のお話は、作者自身の手で、神様にでもなったつもりで描かせて欲しいのです。それは世界でたった一つの、“わたしだけの物語”。きっと素晴らしい世界が広がることでしょう――
――もしそれがどんな結末でも良いのなら、ここに物語を綴ってみてください。それは世界でたった一つの、“あなたとわたしの物語”。きっと素晴らしい世界となることでしょう。それが、たとえ貴方の不幸であったとしても……――
いかがでしたでしょうか?
ジャンルがどのあたりに属するものなのか、イマイチ判別がつかなかったので『その他』としましたが……どうなんでしょうね?
さて、作品中に真っ白な本の中の描写として『』を多用しておりますが、そのうち、”』”が一つ足りない事に気付いていただけましたでしょうか?
これは、どこからが白本の描写で、どこからが現実(主人公が登場する世界としての)なのか、という不思議さ(不気味さ)が出るようにあえて、そうしてみたのですが……