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1.デスゲーム

 ある日の休日、加藤は大好物の激辛ラーメンを食べるために、店に入った。突然、視界が暗転する。加藤が入ってきたはずのドアはなくなり、出口が見当たらない。


「はっはっはっはっはっ!!!ようこそ、デスゲームへ!!君たちには、今からこのテーブルの料理のどれかに入っている毒に当たらないように、料理を選んでもらう。つまり、ロシアン料理だ!最後まで生き残れた奴には、褒美をやろう!」


大スクリーンにピエロが映し出され、その光でまわりの状況が見えてくる。男女10人が手足口を縛られ、椅子に座らされている。その中のひとりの男が加藤を助けてほしそうに見つめてくる。加藤は思った。


(俺、手足口縛られてないから、もしかすると、デスゲームの参加者ではない?)


ロシアン料理をするために、黒服が出てきて、男女10人の拘束が解かれていく。さっきの男が加藤の元へ駆け寄ってきた。


「助けてください!!あなた、そんなに物を持っているんですし、このゲームを熟知している攻略者なのではないですか!?」


加藤はいつも、さまざまなものが入った多機能ショルダーバッグを持っている。しかし加藤は、その男を無視し、黒服へ詰め寄った。


「私は、このデスゲームの参加者ではないようなのですが、どうしたらよいでしょうか?」

「……は、はい。少し待っててください。」


少し驚きながらもそう言うと、黒服は部屋の隅へ行き、誰かと連絡し始めた。


「こちらB1会場。応答願います。どうやら、こちらの会場にデスゲームの参加者ではない者が紛れ込んだ模様。どう対処いたしますか?……はい、はい。失礼いたします。」


連絡が済んだ黒服は加藤の元へ戻ってきた。


「あなたは、おっしゃるとおり、デスゲームの参加者ではないようです。運営側のシステムの問題があったようです。巻き込んでしまい、大変申し訳ございません。今すぐにでもこの部屋から出してあげたいところですが、システム上、このデスゲームが終わるまで出口は開かないのです。デスゲームは6時間後に終わる予定です。どうしますか?」

「分かりました。皆さんの邪魔にならないところで待たせていただくことは可能ですか?」

「可能です。では、あちらにテーブルと椅子を用意しますので、そこでお待ちください。軽食も用意させるので、良かったらお召し上がりください。」


この会話に参加者とピエロは呆然とする。ピエロは思わず突っ込む。


「おまえ、少しは怖がったらどうなんだ?この状況で、そんな冷静な奴がいるか…」


さっきの男が喚き立てる。


「あなた、参加者じゃないんですか!?だったら、なおさら助けてください!!」


その男に加藤は迷惑そうな顔を向ける。


「君は、参加者。私は参加者ではない。だから、デスゲームのルールは私には適応されないんだよ。素直にそこのピエロさんに従ったほうが良いと思うよ。」


加藤は、用意された椅子に座る。そこまで呆然としていたピエロは、満足そうな顔をして、参加者に告げる。


「そこの人間の言う通りだ!さあ、観念してこのロシアン料理に挑みたまえ!」


男は、絶望した顔をして、黒服に引きずられていく。加藤は、そんな参加者たちを横目に、イヤホンをしてスマホを開き、外の音を完全に遮断して、デイリーミッションを着々とこなしていく。用意された軽食は怪しいので食べずに、加藤のショルダーバッグに常備している干し芋を食べて、小腹を満たす。


 6時間後、熾烈なデスゲームが終わり、出口が開く。生存者は誰もいないようだが、加藤の知ったことではない。帰り際、黒服に声をかけられる。


「今日は巻き込んでしまい、大変申し訳ありませんでした。お詫びと言ってはなんですが、有名店のインスタント激辛ラーメンを箱で差し上げます。」

「ありがとうございます。お気持ちだけいただきます。」



 外はすっかり暗くなっていた。加藤はどこにも寄らずに、家に帰る。


(あの店の激辛ラーメン、明日こそリベンジするか。)


 こうして加藤さんの休日は、激辛ラーメンの店と間違えて、デスゲームの会場に入ってしまったことで、終わってしまった。


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