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作者に主人公は荷が重い!  作者: 輝 静
6/6

アシスト無しは荷が重い!

 この世界に来てから一ヶ月。未だに帰れる気配がない。


「おはようございます。リーシャ様」

「おはようメイナ」


 この一ヶ月で、メイナはどうにか作中序盤レベルの信頼関係まで持っていった。長かった。実に長かった。書いてる時はあっさりリーシャに落ちてくれたのに、現実はリーシャロールプレイをもってしても一ヶ月もかかった。

 まあ、親に捨てられて孤児院で迫害されていた過去持ちだしこれくらい時間はかかるか。しかも以前のリーシャは我儘で人を見下すザ・悪役令嬢。むしろ一ヶ月で心開いてくれたメイナはちょろいのかもしれない。基準がないから分からないけど、もしそうならメイナ含めうちの子達ちょっと心配かもしれない。そりゃリーシャにあっさり惚れるよ。いやでも、攻略対象の心開くのは目玉展開でもあるし、リーシャの比にならないほど時間がかかるのでは?


 ……あれ、そういえば、私が書いた中で攻略対象の心開けたのって四人中ニ.五人だけじゃない? そのうち一人はまあ、心開くも何も、普通に過ごしていれば勝手に絆されるし、そもそも兄だからリーシャとの恋愛関係への発展はないから攻略対象と呼んでいいのかすら危ういし。もう一人は完全に心開いて次の攻略対象に移って、そのキャラの山場すぎてもうほぼ解決したようなところでエタったから……。


「あれ、一人は完全にアシスト無しでやらなきゃいけないパターン?」

「リーシャ様?」


 しかも一番最後に回したという事は、もちろん一番厄介なわけで……。


「やっべ。どうしよう」


 ただでさえ人間偏差値の高いリーシャを演じるのに大変だと言うのに、高難易度の攻略対象をその場の流れで上手く攻略して、尚且つ不明瞭なバッドエンドを踏まないように立ち回らないといけないわけ⁉︎


「無理やろクソが!」

「リーシャ様⁉︎ どうされましたか⁉︎」

「えっ、あ、その、ごめん。何でもない……よ」


 今メイナに服着せられているのすっかり忘れていた。一人で急に叫び出して怖かっただろう。でも私も気遣ってられるほどの余裕は一切ないんだよ。


「終わりました。ご協力ありがとうございます。本日も大変愛らしいですよ」


 鏡越しににっこりと柔らかく微笑んでいるメイナを見て、引き攣りそうな表情筋を頑張って満面の笑みにする。

 愛らしい。何度聞いても慣れない。人間関係希薄な私は可愛いですらあまり言われた事ないのに、上位互換の愛らしいだなんて。なんで言われたら気恥ずかしいセリフを書いたんだ私は。

 そもそもそんなセリフを口にするメイナが可愛すぎて愛おしすぎるんだよ! 美少女に笑顔向けられて、好きになってまうやろがい! いや、好きだけど! 惚れちゃうでしょ! 陰キャは優しい美人にちょろいんだから!


「ありがとうメイナ。それにしても、今日はやけに派手──煌びやかな衣しょ──ドレスだね」


 出そう出そうとしたが、結局メイナの方が可愛いよっていう気恥ずかしいセリフは喉で堰き止められて口から出ることはなかった。


「本日は今度行われる社交会で披露なさるダンスの練習があるとのことでしたので」


 ……しゃこーかい? ……ダンス?


「ごめん、今何て言った?」

「社交ダンスの練習がございます。以前、ユフラン坊ちゃまよりお聞きになられていたかと思いますが」


 多分あれだ、あまりに嫌すぎて頭の中から記憶を消去していたんだ。もしくはあれだ、ユフのかわかっこよさしか見てなくて一切何も聞いていなかったんだ。


 ダンスの練習、描写こそしていないけど、社交会当日の独白で練習したとは書いたよ。リズムに合わせて簡単なステップを踏むだけなのに、ダンスの先生から褒められた的なこと書いたよ。

 リーシャはできるでしょうね。だってリーシャだもん。でも、私にダンスのセンスなんて全くない!

 今回ばかりはリーシャのように振る舞えない。幼少期リーシャは子どもの割には大人びていて優秀という評価なのに、私の場合、口だけ達者な普通の子どもだろう。うう……胸と腹が痛い……。

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