バッドエンドは荷が重い!
せっかく着替えたので、私は屋敷の中を見て回ることにした。私の想像力を遥かに超える完成度からして、ある程度不自然が出ないように補完されているのだろう。しかし、概ね想像通り。
五十メートル走が余裕でできる廊下、なんか高級感のある模様が彫られている木製の茶色の扉がズラッと。流石は公爵家邸。
目に入るメイドや執事はネームドキャラと見た目が被らないようにか、基本茶髪。色の濃さでバリエーションを出している。稀に限りなく薄い金髪やかなり濃い金髪がいる。純粋で綺麗なザ・金髪は攻略対象に取られているせいかいない。
宰相の息子レノン・ユウェル。会うんだよね。どんな見た目しているのか。あえて金髪王子じゃなくてレノンにしたんだよね。可愛いだろうなショタレノン。まあ、仲良くなれるのは学園編後だけど……。しかも私が上手くレノンの心の氷とかないとなんだよね。うう、今からお腹が痛くなってきた……ん? あれ、ナチュラルに学園編までいる前提で考えていたけど、そもそも私どうやったら帰れるんだ? 明日明後日で帰れる……なんて事は流石にないだろうけど。大抵こういう転生、いや、私は死んでないから転移だけど。これ系って何かしら帰れる条件あるよね?
私の場合なんだ? なんか、一つ嫌な条件が思いつくんだけど。一つはエタってる部分までストーリーやれば晴れて元の世界に戻る。二つ目が……
「完結……させないとダメ?」
完結までの流れは曖昧。エタったところからはノーヒントでリーシャとして動かないといけないという地獄。上手くできる自信なし。と、いうのと、もし仮にこの世界が私の脳内で考えていた未確定設定すら反映されているのだとしたら
「私、死ぬかもしれないの……?」
学園卒業して友情ハーレムハッピーエンドの予定だったけど、ふと、それじゃあ普通すぎて面白くないな。どうせなら主人公が死んで終わる結末も皮肉たっぷりでありなんじゃないかって設定も考えたりした。詳細には考えていない。けど、攻略対象の内誰かの心を溶かしきれていなくてとか、トラウマでも陰謀でもなんでもいいから、実はリーシャも知らないとんでもない爆弾を背負っていた攻略対象がリーシャの存在が邪魔になって、とか、とにかく死んでほしくなって──って設定を考えた……考えてしまった……。
「どうしよう……」
正直、ハッピーエンドルートも頭で固めていただけでプロットに反映させていたわけじゃないから、こっちが確実とも言い難い。
バッドエンド、死ぬ可能性があると考えるだけで気分が悪くなっていく。吐きそうだ。
回避の仕方なんて分からない。リーシャですら死ぬ可能性のあるルート。リーシャにできないのに、私にできるはずがない。私にできることといえば、どうにかしてハッピーエンドを引き当てることだけ。大丈夫。元はハッピーエンド。バッドエンドはノリで考えただけ。いわば非正規。大丈夫、大丈夫。
「大丈夫……だよね」
口角が変に上がる。




