始まりの地 ラスター王国
私は初めて勇者と出会った、ラスター王国へと向かうことにした。
ラスター王国に足を踏み入れるのは、30年ぶりだ。
宿屋と、武器防具屋、道具屋の薬草にも、レベルの低い時に世話になったものだ。
周辺の魔物は、最初はスライムと大なめくじしか出てこなかったのを、昨日のことのように思い出す。
昨日のことのように思い出しているうちに、いつの間にか私の意識は、30年前の、あの日あの時に飛んでいた。
モネ「レイドさん、レイドさん!しっかりして!もしかして、意識を失ったの!?」
シュン「いや、レイドさんの意識は、30年前のラスター王国にある。
30年前の、かつて勇者と冒険をした記憶を、全て頭の中に刻んでいる。
それが、記憶冒険、レイドさんの特殊能力だ。僕はそれを、間近で見てきたから、間違いない。」
記憶冒険 元宮廷剣士、今は車いすの老魔道士の残日録
私が初めて勇者に出会ったのは、私が30歳で、勇者が20歳の時だった。
しかしなぜだろう。我々には、30歳より前の、こちらの世界での記憶が無い。
彼もまた、20歳より前の、こちらの世界での記憶が無い。
場面が変わる。ラスター王国の城だ。
ラスター城に、傷ついた兵士が運ばれてくる。ジョバンニ王国の兵士だという。
「ラスター王、大変です!魔王軍が、我がジョバンニ王国を!
魔王は、自らが神となり、世界を破滅させるつもりです!全ての国々を滅ぼすつもりのようです!
このままではいずれ、ラスター王国も・・・。
王様、何とぞ、ご対策を・・・、ぐふっ!」
兵士は、そこで息絶えた。
そこでラスター王は、勇者を呼び寄せることにした。それと、魔法剣士、シスター、魔道士という、仲間たちも呼び寄せた。
その時の魔法剣士が、この、私だ。
勇者の名前は、デスティンと言った。
これが、勇者デスティンと、私、魔法剣士レイドとの出会いだった。
そして、私たちはラスター王国から、マルタの町へと向かう。
途中で現れたのは、スライムと大なめくじだった。
どうにか、マルタの町までたどり着く。
そこで、あの2人の声で目覚める。
モネ「レイドさん!よかった、気がついたのですね、このままずっと、目を覚まさないのかと思って、心配してました。」
気がつくとそこは、宿屋のベッドだった。
シュン「これが、記憶冒険の力。僕もたった今、目の当たりにしました。
今は平和なラスター王国に、このような危機があったとは。」