バルログとの戦い
私の名はレイド。ノベル王国の宮廷剣士だ。
ノベル王国で、王子に剣術を教える剣術指南役でもあり、魔法も使える魔法剣士だ。
そんなわけで、私も60歳を過ぎて、気ままに毎日を過ごしていた。
しかし・・・!
ある日のこと。私は王子の散歩の護衛として、屈強なアーマーナイトたちと共に歩いていた。
レイド「王子、ここいらで一休みしましょうか。」
王子「そうだね。このあたりには、のどかな景色が、お花畑が広がっているね。」
しかしそこに、魔物の気配が。既に数十年前に魔王は倒されたはずなのに、なぜこの平和な国に魔物が!?
しかも、今までに戦ったことのないような凶悪な魔物らしい。それが、バルログだった。
アーマーナイト「王子、レイド様、お気をつけ下さい!
こいつは、そこらへんのザコモンスターなどとは、訳が違うようですよ!」
屈強なアーマーナイトが迎え撃つ。
バルログ「くくく、そんな烏合の衆で、このバルログに勝てるというのか?」
アーマーナイト「抜かせい!この俺の、この攻撃をくらっても、まだ同じことが言えるか!?」
アーマーナイトの攻撃!槍で突き刺そうとした。しかし、槍が通らない。
アーマーナイト「なぜ、攻撃が通じない!?」
バルログの攻撃!
アーマーナイト「ぐああっ!」
アーマーナイトは一撃のもとに葬り去られる。さらに、バルログは次々と攻撃を仕掛けてきた、他のアーマーナイトたちも、同様に葬り去る。
我が国が誇る屈強なアーマーナイトが、
精鋭部隊が、たった一匹の、このバルログという魔物に倒されるとは。
雑兵が何人かかっても、一人【一匹】の、ものすごく強いやつにはかなわない、例えるなら、横綱と、それ以外しかいないんだと。
バルログ「あとは、そこの老剣士、お前と、王子だけだな。」
まさか逃げるわけにもいかない、戦うしかない。私はバルログに攻撃を仕掛けた。
ザシッッ!!
私の剣なら、バルログにダメージを与えられるようだ。しかし、次の瞬間、バルログの攻撃が、私の両足と、腰のあたりを切り裂いた。
「ぐああっ!」
王子「レイド!」
バルログ「これで貴様も終わりだな。覚悟しな。」
「ぐううっ、これでもかあーっ!」
ザシッッ!!ドガッッ!!
私は渾身の一撃をバルログにくらわした。
バルログの首をはねた。さらに、力を振り絞って、バルログの胴体を真っ二つにした。
なんとか、バルログは倒した。
しかしこれが、私が宮廷剣士として、剣術指南役としてあげた、最後の戦果となった。
これが、私が車いすになった、きっかけだった。
もうこれで、剣を使った戦いもできない。
足を使った冒険もできない。
これで、剣術指南役としては、お役に立てないと悟った私は、城を去り、隠居生活を始めると誓った。
しかし、皮肉なことで、この時に車いすになっていなければ、その後の出会いも無かったし、何より、それまでの多忙な生活から解放されて、自由気ままに過ごせるようになった。
そして何より、剣も足も使えなくなった今、魔法の能力は、これまで以上に高まったのだ。