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迷宮救命士 ~お前ら無茶しやがって~  作者: 星野サダメ


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4 ダンジョンコア

ブックマークにポイント本当にありがとうございます。

まだまだ序盤ですのでのんびりお付き合いして頂けたなら幸いです。

 4 ダンジョンコア


 ダンジョンらしき洞窟を進み続ける。

 魔族の大陸にあったダンジョンを攻略した経験があるので、探索自体は順調と言えるかもしれない。


 最初に出会った剣のような前足を持つ巨大クモとの遭遇以降もヤリやカマのような前足を持つ巨大クモたちにも遭遇しており、中には毒らしき液体を飛ばして来る巨大クモもいた。

 おそらくこのダンジョンあるいはこのフロアは、巨大クモたちの巣窟のようで1体から5体で現れるようだ。

 5体も現れたなら、苦戦をしそうなものだが基本的にブルーファイアボールを頭部に一撃与えれば倒れるので、飽きない程度に楽しめていた。


 ドロップアイテムは、魔石を必ず落とし、希に糸束とクモの目を落とす。

 異世界での魔石の利用法は金属に混ぜて魔合金を作るために使われたり、魔道具の動力源として使われていた。

 糸束は通常の絹糸のように細いので、これを織ればスパイダーシルクが作れるだろうし、クモの目は、私の知っている物と同じ物なら麻痺毒の素材となったはずだ。

 スキルカードは残念ながら最初の1枚から一度も拾っていないので、よほどのレアアイテムなのだろう。

 これらの品々は、地上へ出た後に換金できるかもしれないのでありがたいが、ここが地球世界ではないことを突き付けられているように感じてしまって心に来る……。


 そうしてさらに進み続けていると、階下へ降りる階段を見つけた。

 ダンジョンを出るには基本的に上階を目指さなければならないが階下への階段を見つけてしまうとは切なくなる……。


 ダンジョンは階層が変わると、魔物の傾向が変わったり、ダンジョン内の様相が変化することがある。

 ここがダンジョン内だとほぼ確信はしているが、さらに確信を深めるために階下の様子を見ることに決めた。

 そうして階下へ降りると、自然の洞窟風だった様子が、コンクリートで作られたような継ぎ目のない石材の通路へ変わる。

 無機質であまり気分の良い眺めではないが、さらに進むとちょっとした広場があり、そこに大きな両開きの扉があった。

 これはいわゆるボス部屋へ続く扉のようだ。

 私は戦闘狂ではないので無駄に戦いたくはないが、ボスなら糸束やクモの目よりも高値で換金できる品をドロップするかもしれない。

 またこの広場は魔物の出ない安全地帯のようなので、少し休憩をしてから扉の向こうへ行くことを決めた。


 魔力水を飲みながら、塩味の煎り豆を口にする。

 長期保存できるほどの物ではないが、数日程度の携帯職としては煎り豆は優秀だ。

 乾燥豆から作れ、季節を選ばないので常備している。

 とは言っても、異世界にだって麦や米、イモやトウモロコシのような植物はある。

 その気になれば地球世界のスナック菓子だって、ある程度は再現できたのに結局は煎り豆が私の好みだったようだ。


 さて、上階の様子から見て、この大きな扉の向こうにもクモ系の魔物がいるのだろう。

 仕方がなく戦ってはいるが、私はクモ系の魔物が得意と言うわけではない。

 対人戦闘に慣れている私としては、人型の魔物と戦いたいところだが、そういうわけにはいかないのだろうな……。

 それから休憩を終え、覚悟を決めてから大きな扉を開けた。


 扉の向こうは、なかなかの広さの大部屋だった。

 その中心で黒い霧が渦を巻き始め、いよいよボスが出現する。


 そうして現れたのは上半身が鎧武者、下半身が巨大クモと言う姿の魔物だった。

 えっ、どう見ても日本の大鎧を着ている……。

 異世界の文化に地球世界の文化と似ている文化はあったが、日本の大鎧は見たことがない。

 どういうことかはわからないが、このフロアのボスはアラクネ武者だと言うことなのだろう。


 多少だが混乱する頭を切り替え、さらに観察を続けているとアラクネ武者の周囲にいくつもの黒い霧の渦が巻き起こり、そこから巨大クモたちが姿を現わした。

 実はこの部屋に入った時から戦闘の準備を始めていた。

 アラクネ武者を見た時は驚いたが、それでも戦闘の準備は続けていたのだ。

 そうして全ての魔物が出揃ったところを見計らって、私が使えるいくつかの大魔法の1つであるヘルドームを起動させた。

 アラクネ武者を中心に半球状の黒いドームが広がり、巨大クモたちを飲み込む。

 ドームの内側では、この中から出られないと思い込ませる幻惑魔法が発動している。

 さらに火属性の魔法が内部で暴れており、アラクネ武者と巨大クモたちを劫火が襲う。

 この魔法は、火属性魔法と闇属性魔法を合わせた混合魔法となる。


 ダンジョンのボスは、1体で現れることは少なく、取り巻きの魔物と現れることが多い。

 さらに何体もの巨大クモと戦って分かったのだが、奴らは巨体のわりに意外と素早い。

 そんな魔物たちを逃がさないために、範囲魔法の準備を始めていたのだ。

 案の定、何体もの巨大クモが現れたので、そのまま魔法術式を紡ぎ、そうしてヘルドームを起動させたのだった。


 しばらくするとドームの中から魔物の気配が消えたようなので、ヘルドームを解除する。

 どうやら魔物たちはアラクネ武者もろとも劫火に耐え切れず、消滅してしまったようだ。

 熱気が残るドームの跡には、魔物のドロップアイテムが残されている。

 それからドロップアイテムを拾っていると、おそらくアラクネ武者が落としたと思われる鞘に入った刀を見つけた。

 鞘から抜き出して刀身を眺めてみると、日本刀のような波紋はあるが、サーベルのようにも見えるので軍刀なのかもしれない。

 長さは私に丁度良いので、少し振ってみると、なかなかの業物だと感じた。

 さらに魔力を流してみると、刀身が少し水気を帯びる。

 おそらく毒の効果のある魔剣なのだろう。

 予備の武器はいくつか持っているが、軍刀は持っていなかったので確保することに決めた。

 銘は荒苦寝とでもしておこう。


 さて次の行動なのだが、やはり階下の様子が気になるので、さらに降りることを決める。

 そうして階下へ続く階段を探していると、ボス部屋の最奥に見つけることができた。

 そこから階下へ降りると、ボス部屋のあったフロアと同じような無機質な通路があり、さらに進むと美麗な装飾で飾られた両開きの扉があった。


 ん、この扉は……、ダンジョン最下層にあるダンジョンコアの広間へ続く扉に似ている……。

 警戒をしながら扉を開けて中に入ると、やはりダンジョンコアの広間がそこにひろがっていた。

 と言うことは、ここが最下層と言うことになる。


 ダンジョンコアの広間には、宝物殿と言って良いほどに様々な品があるので、それらを亜空間倉庫へ回収する。

 武具防具や装飾品はもちろんとして、様々な素材や希少金属のインゴット、さらにあの白い板のスキルカードも大量に見つかった。

 地上でこれらが売れたなら、大金持ちになれることは間違いないだろう。


 そうして、一通りの品々を回収したところで、この広間の中央にある台座に鎮座したダンジョンコアの前に立つ。

 大きさは人の頭ほどで、乳白色の宝石のような輝きをしていた。

 目の前のダンジョンコアを破壊したなら、このダンジョンは消滅する。


 ダンジョンとは、魔物を生み出す恐ろしい存在だ。

 さらにダンジョン内に魔物が溢れると、地上へ魔物を放出するスタンピードを起す。

 だが、スタンピードを抑えながら管理を続けると、様々な資源をもたらす奇跡の鉱脈ともなるのだ。

 魔族の大陸にあったダンジョンの内、不便な場所にあるダンジョンは攻略して消滅させていたが、管理のやりやすいダンジョンは鉱山のように扱っていた。

 このダンジョンがどのような場所に会って、どのような扱われ方をしているのかがわからないので、今はこのダンジョンコアの破壊は見送ることにする。

 だが、ダンジョンコアには膨大な魔力が内包されているのだ。

 ダンジョンコアの破壊後に破片を持ち帰って、様々な用途に使うこともあるのだから、このダンジョンコアをこのままにすることも惜しい。

 魔力生命体である精霊種となった今の私なら、このダンジョンコアの魔力を可能な限り吸収しても問題はないはずだ。

 というわけで魔剣カーミラを取り出し、最小の傷になるようにダンジョンコアへ突き刺す。

 魔剣カーミラが吸い出した魔力が私の中に吸収され、力が徐々に増すことがわかる。

 さらに吸い続けていると、意識が薄れ始めた。

 ここで倒れると何が起きるかわからないので、急いで魔剣カーミラを抜こうとするが動かず、手を離すこともできない。

「まずい……」

 ダンジョンコアから魔力を吸収しようなんて、無茶なことを考えた結果がこれか……。


 そうして愚かな私は、残念なことに意識を手放してしまうのだった。


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