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迷宮救命士 ~お前ら無茶しやがって~  作者: 星野サダメ


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13/20

13 拳銃

更新再開です。

隔日更新を基本に、週3回を目指して、のんびりやらせていただきます。

 13 拳銃


 多摩迷宮の嘱託職員として働き始めて2日目、今日も昨日と同じ午前中のみの勤務となる。

 昨日は救助活動の後、お昼の休憩を入れてから夕方近くまで救助活動時の事情聴取を受けていた。

 主に『竜化』のことや独断行動の理由を聞かれたが、結果的に私の独断行動は不問とされた。

 どうやら、私の知らないところで何やら問題が起きていたそうで、そちらの方がより問題視されたようだ。

 とは言え、問題のある行動をした自覚はあるので、しばらくの間は大人しくしたいと思う。

 ちなみに昨日のお昼の休憩の時に、今井さんから魔石の代金約200万円を受け取っている。

 魔石の純度が今井さんの予想以上に高かったらしく、この値段となったそうだ。

 今日の午後は、この現金を持って買い物へ行く。

 そうして支部周辺の買い物スポットの情報を朱里さんに聞きながら、朝食を終え、出勤した。


 始業時間になると、今井さんに呼ばれる。

「今日のアンリさんの指導係は、私が担当させて頂きます。それでは行きましょう」

「よろしくお願いします」

 そうして今井さんに連れられて向かった先は、支部の地下だった。

「ここは支部の職員が銃火器の訓練を行う射撃場です。今日はここで拳銃の扱い方を覚えてもらいます」

 確かに言われてみれば見慣れない物ばかりだが、射撃場なのだとわかる。

「拳銃ですか……」

「はい。さて昨日の救助活動でアンリさんが使ったスキル……、部位欠損を癒すことのできる治癒系の光魔法の使い手は実はとても少ないんです……」


 それから続いた今井さんの話によると、世界中にある国々の中で、迷宮数が多い国や良い迷宮資源が獲得できる上位10か国を、ダンジョン10あるいはD10と呼んでいるらしい。

 そんなD10の中にこの国も入っているそうなのだが、そんなこの国でも部位欠損を癒せる治癒系光魔法の使い手は7人しか見つかっておらず、私で8人目となるそうだ。

「なるほど……」

「そう言うことになるのですが……、アンリさんは、やはり地上でも様々な魔法を使うことができるんですよね?」

「そうなります」

「そうですか……、アンリさんは、おそらくスキルの効果や仕組みについてのことが記憶の中から抜けているようですので、少しお話しします」


 まず、魔法系のスキルカードを使うと、頭の中に技能領域とされている不思議な領域が作られ認知できるようになり、そこへ1つ魔法の術式が書き込まれて使えるようになる。

 1枚目から3枚目までは初級魔法、4枚目から6枚目までは中級魔法、7枚目から9枚目までは上級魔法をそれぞれの階級の中で1つ覚えられる。

 そして10枚目を使うと、新たな魔法は覚えられないが技能領域が拡張され、熟練度によって新たな魔法を開発できるようになるそうだ。

 だが、この新たな魔法を開発することは非常に困難で、他人が作った魔法を覚えようとしても、上手く行かず1から自分で開発する必要がある。

 光魔法の場合、怪我を癒すことの多い治癒系魔法であるヒール系の熟練度が上がりやすいようで、部位欠損を癒すエクスヒールを開発する者が多いとのことだ。

 とは言っても、新たな魔法開発は本当に困難なことで、世界中でエクスヒールを使える者は200人もいないとのことらしい。

 また武術系スキルカードや他のスキルカードを使っても同じく技能領域は作られるそうで、魔力とスキルカードは強い関係性があると考えられている。

 この技能領域は、私も魔法を使えるようになった頃に認知できるようになった領域があるので、それと同じだと思って良さそうだ。


 だが、そもそも異世界での魔法は学問の一種であり、学ぶことで使えるようになる。

 また武術も修練を重ねて身に着けるものであり、その延長線上にある戦技も、やはり修練の結果として覚えられるのだ。

 それなのにこの地球世界では、不思議カードを使って簡単に覚えられてしまう。

 長年魔法のある異世界で暮らし続けた私としては、強い違和感を感じるとしか言いようがない。


 とは言え、郷に入れば郷に従えだ……。

 私は、部位欠損を癒すエクスヒールを使えるが、光魔法が得意だとは思ってはいない。

 範囲治癒魔法や古傷を癒す治癒魔法、さらに時戻しの治癒魔法も使えないのだ。

 ならば、光魔法はとても有用な魔法なので、スキルカードを10枚集めて新たな魔法を習得しても良いのかもしれない。


「……ということでエクスヒールを使えるアンリさんは、とても希な存在となるわけです」

「なるほど……」

「それにあの青い炎の魔法、実はあれも世界中でおそらくアンリさんしか使えない魔法なんですよね」

「そうだったんですか……!」

 おそらくスキルカードで覚えられる火魔法に青い炎の魔法はないと言うことなのだろう。


「ですので、アンリさんはテロリストなどの反社会組織から狙われることにもなるんです」

「えっ!」

「そこで身を護るために、拳銃の扱い方を覚えてもらいます……」


 今井さんの説明によると、世界中にある全てのダンジョンは国家政府などが完全に掌握しているわけではなく、内戦の多い地域や人々があまり居住していない地域には、反社会組織などが管理しているダンジョンもあるらしい。

 そんな組織からしても部位欠損を癒すことのできる光魔法の使い手は、喉から手が出るほどに欲しい存在らしく、誘拐の危険があるそうだ。

 誘拐後は、ほとんどの場合、仲間とするために共同生活をする中で好感や依存心を持たせるように仕向けるそうだ。


「アンリさんの場合、地上でも魔法が使えますが人目のあるところで魔法を使えば、さらに身の危険が増すことになるでしょう……」

「確かに……」

 どうしようもない時は仕方がなく魔法を使うべきだとは思うが、やはり人目のある場所で魔法を使えば、反社会組織どころか世界中の国々からも狙われる存在になるのかもしれない。

「はい。そこで地上で使える銃火器の出番となります」


 そうして今井さんは、射撃場にある鍵付きの棚から1つの拳銃を取り出し、作業台らしき机の上に載せた。


「この国は、厳格に武器を取り締まる銃刀法と言われている法がありますが、特区内にその法の効果は及びません。ですが特区外では銃刀法が有効ですので、限られた者しか銃などを持つことはありません」

「そうなると、必然的に特区内で銃を持つことのできる者も、限られてくるわけですね」

「そうなります。この国で銃を持つことのできる者は軍、警察、狩猟者、競技者などが大半ですが、官庁職員、中でも迷宮省の職員も拳銃を携帯している者が多くなっています」

「スタンピード対策でしょうか?」

「いえ、特区内での治安維持は、基本的に警察が担っていますが、迷宮省関係施設では、迷宮省職員と関係者が警備することになっているからですね」

「となると嘱託職員とは言え、私も拳銃を持っていても違和感がないと?」

「そういうわけです。さて、そろそろこの拳銃の説明を始めましょう……」


 作業台に置かれた拳銃の名前は『クロツメ』と言い、正式な名称もあるが、今は通称だけを覚えておけば良いとのことだ。

 ミドルサイズの自動拳銃で弾丸は9ミリ、マガジンは、9発と17発の弾丸が入る2種類がある。

 通称の通りに黒々とした見た目をしているが、武骨なデザインと言うよりも細身のデザインなのかもしれない。

 それから初歩的な拳銃の操作方法を教えてもらい、実射となった。


「このイヤーマフとシューティンググラスを身に着けてください。それからこの指無しのグローブもお願いします」


 ヘッドフォンのようなイヤーマフと透明素材で作られたシューティンググラスを身に着ける。

 指なしグローブは、なぜ指先がないのか気になるところだが、細かい操作が必要になるからなのかもしれない。

 隣りでは今井さんも実射の準備を終えており、見本を見せてくれるようだ。


「ここの的は、円型の的ですので拳銃の先の部分、サイトと目線を的に合わせて、ゆっくり引き金を引きます」

 構えを取った今井さんが引き金を引くと、大きな音が射撃場に響く。

 的は15メートルほど先のようで、弾丸はほぼ真ん中に当たったようだ。

 特にウォーミングアップもせず、見事な腕前を見せた今井さんは、かなりの射撃の強者なのかもしれない……。


「まずは撃ってみましょう」

 そうして構えを教えてもらい、ゆっくり引き金を引く。

 大きな音とともに全身に衝撃が駆け巡る。とは言え、思っていたよりは衝撃は少ないようだ。

「弾丸は的の中に入ったようですね。最初でこの腕前なら、十分すぎる出来でしょう」

 それからは、今井さんに指導されながら、射撃練習が続く。

 合間合間に、銃を携帯している時の注意なども受ける。


「はい。今日はここまでですね。掃除や手入れの仕方も覚えてもらう必要があるのですが、またの機会にしましょう。それから午後からお買い物へ行くとのことですので、一応クロツメを持っていってください」

「えっ……、持っていって良いのですか?」

「はい。そのために教えたのですから」

 それから携帯用のガンケースなどを渡され、今日の勤務と言うか訓練は終わりとなったのだった。


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