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未来の記憶がないならば、せめて私自身になにか能力があれば異世界転生として成立しそうだけど。
残念ながら大草友里恵は、医者でも弁護士でも薬剤師でもないし、ずば抜けた身体能力も持ち合わせてない。
くそー、医者として異世界救います！みたいなこともできないじゃん。
魔王を倒します！とかさ。
この世界に魔王いるのか知らないけど。
ただの会社員だったもんな、私。
魔性の女とかのスキルも全然ないし、人生でモテモテ経験したとかもない。
ルリエちゃんモブキャラとか言ってごめん。
私も大概モブでしたわ。
はぁ。
ため息を付くと、なんだか少し冷静になってきた。
ま、こんな何も無いモブの私に異世界転生なんてあるわけないか。
熱でも出てトチ狂ったんだな。
これは夢だな、寝よ。
まじで貴族ってこういうベッド寝るんだな、とかどうでもいいことを考えながら、寝心地の良いふかふか天蓋付きベッドの上で目を閉じた。
