7 スペシャルな花火、早く見たいよね!
コンコン。カチャリ。
ノックするとドアが開いて、いつも通りソフィーちゃんが出てくると思ったら美桜ちゃんが飛び出してきた。
「もー、待ちくたびれたのです! 早くしないとみんなにバレてしまうではないですか……って、あれ? どちら様なのです? この学園の生徒……にしてはおかしいですね。あやしいのです!」
そう言って美桜ちゃんがビシッと姫様たちを指差した。ゆらりとピンク色の光が美桜ちゃんを包む。
すると、レイアーナさんが胸に手を当てて言った。
「我らは怪しいものではない。シイナたちとは別の異世界から学園長の許可を得てこの学園に滞在している者だ。わたしの名はレイアーナ。こちらは妹のシュリーアだ」
「こんにちは。かわいらしい方ですね。この学園の生徒さんでしょうか」
シュリーアさんがにっこりと笑って言うと、それを見た美桜ちゃんがいきなり照れた。
「か、かわいいとかそんな本当のことを言われると恥ずかしいのです。一目で美桜のかわいさを見抜くとはお目が高いのです」
── なんか、いろいろと言いたい気はするけど!
とりあえず様子を見ることにする。レイアーナさんもシュリーアさんも美人だから、美桜ちゃんが目を奪われるのはよくわかるからね。
ちょっと顔を赤くしながら美桜ちゃんが自己紹介していると、ソフィーちゃんがその後ろから顔を出した。
「美桜ちゃん、どうしたの? 早くしーちゃんたちと打ち合わせしないと、せっかくのサプライズができなくなるんじゃない? あら? 新しいお客様?」
ソフィーちゃんにも姫様たちを紹介していると、いきなり美桜ちゃんが手を引っ張って特別寮の中へ引き込んだ。
「わっ、びっくりした。いきなり何?」
そのまま全員で食堂へ流れ込むと、美桜ちゃんが真面目な顔で言った。
「いいですか。今日の大・花火大会はトップシークレットなミッションなのですよ。サプライズ企画なのです。美桜にとってスペシャルな夏休み最後の大イベントなのですよ!」
「え? どういうこと?」
あたしとれーちゃんが首をかしげているとソフィーちゃんが言った。
「美桜ちゃんのお母さんの弥乃さんから連絡があってね、美桜ちゃんお家に帰らなくちゃいけなくなったの。それでね、最後にみんなで花火をしたいって学園長さんに相談したみたいよ」
「学園長は太っ腹なのです。美桜がお願いしたら運動場の使用許可と両世界から選りすぐりの花火をお取り寄せしてくれたのですよ。お姉ちゃんたちに見つかる前にみんなで運んで準備をしなければならないのです。花火は学園長室にあるので、これから取りに行って準備をするのです」
するとレイアーナさんが言った。
「ほう。先日レナたちがやっていた手持ち花火というもののことだろうか?」
「こちらの世界にもあの美しい花火があるのですね」
うれしそうにシュリーアさんも微笑んで言う。すると美桜ちゃんが胸を張って言った。
「今回はスペシャルなのですからね。もちろん手持ち花火もあるのですが、打ち合げ花火もたくさん用意してもらったのです。玲士お兄ちゃんが点火台も準備してくれているのです。大っきな花火もどーんと打ち上げるのですよ。そちらの運搬にはレイス兄ちゃんも協力してくれているのです」
するとれーちゃんが目を丸くして言った。
「なんだかとんでもなく大がかりな花火じゃない?」
「うふふ。美桜ちゃんがとっても張り切って準備していたもの。わたし、花火ってこの前の遊園地で初めて見たよ。とっても綺麗だったから、メイにも見せてあげたいなって思っていたの。今日は本当に楽しみよ」
ソフィーちゃんはそう言ってあたしと美桜ちゃんの手を取ると、
「それじゃあ学園長室に花火を取りに行きましょう」
と言うと、サッサと歩き出した。
── ふふ、ソフィーちゃんもヤル気だね!
レイアーナたちのことを美桜ちゃんもソフィーちゃんも知らなかったようです。
花火大会はサプライズのようですが、うまくいくのでしょうか?
2週間後をお楽しみに。
それではまたお会いしましょう!




