9 夢と現実 そして思念波との関係についての考察??
毎日転移しているしーちゃんとれーちゃん。今回はどうなことが起こるでしょうか?
次の日、あたしの家でれーちゃんと自由研究の相談をしつつ、新しい情報交換をしているときにソフィーちゃんから連絡が来た。
昨日は戻ってきてから、またまたすっごいことがあったんだよ!
古墳の中で宝物が見つかって、なんと父さんたちはテレビに出演したんだ。取材の人たちが次から次へと来るから対応に大忙しで、今日もあたしとれーちゃんはあたしの家で宿題の自由研究の相談をして待つことになったよ。しかも母さんがパートの仕事抜けられなくて午前中はあたしとれーちゃんだけ。
── こーんなチャンス、利用しないわけにはいかないよね!
早速れーちゃんと思念波について情報交換したり、世界中にいるっていう異世界人の二人の協力者を探す方法を考えたりしていたんだ。その時にソフィーちゃんから連絡が来たんだよ。……ん? 自由研究? ま、一応やってるよー、うん。
「さて、と。では、行きますか」
「「ディメンションズゲート、オープン!」」
ぽいっと。
特別寮前に転移して、門を閉じる。そしてソフィーちゃんから眼鏡を受け取ると、あたしは師匠のいる実験室へ。れーちゃんはものすごーく嬉しそうに迷宮図書館へ向かっていった。ソフィーちゃんはクッキー作りの途中だったから、そのまま特別寮にいることになったよ。
「師匠ー、来たよー! あのね、新情報があるよっ」
「おお、我が弟子よ。待っていたぞ、早速昨日の実験の続きを……何、新情報だと?」
待ち構えていた師匠に夢の話をした。あたしとれーちゃんは眠ると夢の中で異世界人の二人がしていることを見るんだ。あたしはシュリーアさんの、れーちゃんはレイアーナさんのことを夢に見てる。シュリーアさんの中にいて、シュリーアさんが見たものを一緒に見ている感じなんだ。
シュリーアさんとレイアーナさんは、宇宙船の中で事故にあって二人だけ助かったみたい。でも、助かったのは二人の思念体だけで、宇宙船に乗ってた人はみんな動かなくなってる。で、その事故の原因がシュリーアさんみたいなんだよね。二人はその事故から助かるために思念波が必要なんだ。宇宙船は地球から少し離れた場所にあるんだと思う。そこからあたしたちのいる地球に思念波を集めに来ていて、その協力者が世界中にいるらしい。
れーちゃんが見た夢から、その協力者の一人がフランスのパリにいることもわかった。それからシュリーアさんたちは、自分たちでも思念波を集めているみたいだ。シュリーアさんは国際宇宙ステーションで思念波を吸収していたことがあたしの夢からわかったよ。
「……なるほど。我が弟子はシュリーアという異世界人の協力者にされたのであったな」
あたしの話を腕組みしてじっと聞いていた師匠は、スッと眼鏡の位置を直すと言った。
「実に興味深い。詩雛くんとシュリーアという異世界人、そして怜奈くんとレイアーナという人物には共通点がある」
「え? あるかなぁ」
あたしが首をかしげていると、師匠が続ける。
「君たちはその二人からもらった受容体を持っているではないか。その受容体が何らかの媒介となり、異世界人と繋がっているのだろう。それゆえに二人の行動を夢という形で受信しているということだろうな。夢に見る、というのも実に興味深い! だが、二人の行動と繋がっているというよりは記憶を夢の中で再生しているようだな。我が弟子よ、思念波を出してみてくれないか?」
「え?」
「そうだな。私のいる世界に来るのは楽しいか?」
「うん、楽しい!」
そう言うと、師匠があたしをじっと観察する。
「ふむ、外面に変化は見られぬようだな」
── ハッ、さっそく実験が始まってるよ!
「やはり受容体に何らかの機能があるようだな。とするならば……詩雛くん、また新たな検証課題の提供感謝する!」
── ああ! やっぱり今日も実験かー。師匠、結果を早く教えてーーー!
実験室でしばらく師匠と検証を重ねていると、突然ガラッと戸が開いた。
「あーーーーっ! やっぱりいたのです!」
今回の物語も、しーちゃん、れーちゃんの本編とリンクした物語になっています。
本編の35話までがリンクしています。
気になる方は、ぜひ本編も読んでみてくださいね。
本編の宣伝です。
しーちゃんが登場する物語
「We are enlister. Save the princesses of Emulia. ─古墳に入ったら、異世界の姫様の協力者にされてしまったので、日本を救って異世界に転生します! ─」
はこちら
https://ncode.syosetu.com/n5917gw/
ソフィーが登場する物語
「絶望の箱庭~鳥籠の姫君~」
はこちら
https://ncode.syosetu.com/n3370hf/
それでは、また二週間後にお会いしましょう。ラストに登場したのは? もちろんあの子ですよー、お楽しみに。




