5 食堂にて (学園Side:)
ようやくコメディー回来ました!
さあ、笑う準備は出来ましたか?
それではどうぞ!
ソフィーがイチゴのかばんを肩からかけて、嬉しそうにメイと一緒に特別寮の食堂に行くと、いつも一緒に食事をするメンバーがもう席についていました。最初に声をかけてきたのは二年生の言乃花です。
「おはよう、メイ。……あらソフィー、とても素敵なカバンね。良く似合ってるわ」
顔を上げた時にショートボブの黒髪がふわりと揺れました。黒縁の眼鏡の奥の目が細められています。
「ありがとうございます言乃花さん! これ素敵でしょう? メイが作ってくれたんです」
嬉しそうにソフィーがいちごのショルダーバッグを持ち上げて見せたそのとき、素早く言乃花の手が動きました。隣に座っていた同じ二年生のリーゼの目の前のトレーを持ち上げています。次の瞬間、ゴンッ、という音と共に何かがテーブルにぶつかりました。
リーゼがテーブルに突っ伏してプルプルと震えています。ポニーテールにまとめられた美しい銀髪が、無造作に背中の上でばらけてしまっています。
「リーゼさん、どうかしましたか?」
心配そうにおろおろとするソフィーに、思わず吹き出しそうになるのを必死にこらえながら、メイと同級生の冬夜が答えました。寝癖のせいでウルフカットの黒髪があちこちはねています。
「クッ、気にしなくていいよ。放っとけばそのうち回復するから……イテッ!」
今度は冬夜が足を押さえてうめいています。
「え、冬夜さん、大丈夫ですか?」
ソフィーが慌てて駆け寄ろうとすると言乃花が冷めた声で言いました。
「気にしなくていいわよ。それよりも早く朝食を取っていらっしゃい」
それからメイに向けてウィンク。するとメイもくすりと笑って、
「ソフィー、大丈夫だからご飯取りにいこ。早くしないと授業に間に合わなくなっちゃう」
首をかしげるソフィーを連れてメイがカウンターに向かうと、後ろから冬夜とリーゼの言い合う声が聞こえてきました。
「何も蹴ることないだろ」
「うるさい!」
でも二人が席に着く頃には収まっていて、三人は変わらない様子で食事を続けていました。リーゼの顔が赤くて、ブツブツと、
「ソフィーちゃんが、ソフィーちゃんが、イチゴの、イチゴの……」
と呪文のように呟き続けている以外は。その時リーゼの向かい側に座っていた冬夜が、落ちてくる髪の毛を目の上から払いのけながら言いました。
「おはようメイ、ソフィー。すごいなメイ。こんな可愛いカバンが作れるんだな」
冬夜の感心したような言い方に、メイが少し照れたように頬を赤くしました。
「あり合わせの布で作ったからあんまり見ないで。縫い目も揃っていないの」
すると言乃花が、
「次からは声を掛けて。家庭科室のミシンを使えるようにするから」
と何でもないことのように言ったのでメイは、
「ありがとう」
と嬉しそうに答えました。
「でも、どうして急にカバンを作ることになったの?」
言乃花がミルクティーを飲みながら不思議そうに聞くと、ソフィーがとっても嬉しそうにショルダーバッグのいちごの蓋を開け、タブレットを取り出しました。
「あのね、昨日優しい学園長がこれをくれたの」
「優しい学園長?」
三人が一斉に顔を見合せて、険しい表情になりました。その様子にソフィーが不安げな顔をすると、慌てて三人ともいつもの表情に戻ります。リーゼがキリッとした顔をして聞きました。
「ソフィーちゃん、そのタブレット学園長にもらったの?」
するとソフィーはニッコリと満面の笑みを浮かべ、(その瞬間リーゼの顔がへニャリと崩壊しかけましたが、言乃花が素早くリーゼの制服の裾を引っ張って戻しました。幸い、ソフィーはまったく気付いていませんでした)
「はい。学園長はみんながお勉強中に一人でいるのは寂しいだろうって、これをくれました。この中に入っているアプリを使ったらお友達が出来たんです。しーちゃんって言うんですよ」
そう言ってタブレットを見せました。皆が画面を覗き込むと、そこには『異世界通話』という文字が見えます。
それを見た瞬間、三人の頭の中に共通の言葉が思い浮かんでいました。
── あやしすぎるっ!
ようやく箱庭のメンバーを書くことが出来ました。余談ですが、この物語は現在の箱庭ストーリーの少し未來のお話になります。バトルとバトルの幕間といったところでしょうか。
箱庭メンバーの日常ってこんな感じなんだ、と楽しんでいただければ嬉しいです。
箱庭からのストーリーばかりですが、もう少し進めないとしーちゃんパートに移れないので、次回もこのメンバーで進めたいと思います。
本編の宣伝です。
しーちゃんが登場する物語
「古墳に入ったら、異世界の姫様の協力者にされてしまったので、日本を救って異世界に転生します! ─WE ARE ALLY. SAVE THE PRINCESSES OF EMULIA. ─」
はこちら
https://ncode.syosetu.com/n5917gw/
ソフィーが登場する物語
「絶望の箱庭~鳥籠の姫君~」
はこちら
https://ncode.syosetu.com/n3370hf/
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それではまた二週間後にお会いしましょう!投稿時間は 22時を予定しています。