16 れーちゃん、転移する!
ついに、れーちゃんも転移します!
「ゲートポジショニングセット、特別寮前」
目の前に突然現れた鏡にれーちゃんがびっくりして固まっている。
── ふ、ふ、ふ、予想通りだねっ。このまま連れて行っちゃうよ!
れーちゃんの腕をつかむと、
「え、え、ちょっと? これ、どうなってるの?」
パニクっているのをそのまま無視して、勢いをつけて鏡の中へ飛び込む。
「えーーー!」
トンネルの中にれーちゃんの叫び声がこだましている。面白いよ! 笑いをかみ殺しながら一気に駆け抜ける。
ぽいっ。
「はい、無事到着っと。おっと、忘れずに消さないとね。ディメンションズゲート、クローズド」
鏡を消すと、れーちゃんの絶叫がこだました。
「ここ、どこーーーーーー!?」
想像していたので耳を塞いでやりすごしてから、
「ここはね、なんと! 異世界だよ!」
胸を張って言うと、れーちゃんがガシッとあたしの腕をつかんで、
「ちょっと、どうなってるの? わたしたち転移したってこと? え? 何? いきなりファンタジーの世界? え? えーっ?」
── あー、かなりパニクってるねー。よし、とりあえず。
「れーちゃん落ち着いて。とりあえず深呼吸しようか、はい、大きく吸ってーー、はい、吐いてーー」
何度か深呼吸してれーちゃんが落ち着いたところで、
「えっへん。ここはね、ワールドエンドミスティアカデミーっていう異世界にある学園なんだ。なんと、ソフィーちゃんはここにいる生きて動いてる本物のうさぎのお人形なんだよ!」
「え? ワールドエンドミスティアカデミー? うさぎの人形?……それってもしかして……まさかね?」
「ん? れーちゃん、何か知ってるの?」
「うーん。まさかそんなことあるわけないし……はっ、でも異世界転移しちゃってるんだよね!? だったら……」
れーちゃんが何かブツブツ言ってる間に、ガチャリと音がして特別寮の扉が開いた。ヒョコッと顔を出したのはソフィーちゃんだ。んー、相変わらずかっわいー!
「あ、やっぱりしーちゃんだ! いらっしゃい、しーちゃん。それからあなたがれーちゃんね? はじめまして、ソフィーです」
そう言ってソフィーちゃんがペコリとれーちゃんにお辞儀をした。れーちゃんはソフィーちゃんをじーっと見ていたけれど、慌てて同じように頭を下げると、
「あ、あの、はじめまして。守川 怜奈です。よろしくお願いします」
と言った。ソフィーちゃんが嬉しそうに耳をピクピクと動かしている。にっこり笑って、
「来てくれてうれしいな。学園にようこそ。こちらへどうぞ」
あたしたちを寮の食堂へ案内してくれた。
「ここが食堂……」
── あっ! れーちゃんの目がキラキラして細くなってきた! ヤバい、これは妄想注意だ。
食堂に入った途端にれーちゃんの足が止まった。でも、なんで? ただの食堂だよ? 感動するようなものって特には見当たらないはずなんだけどな。何より一番ビックリするのって、ソフィーちゃんを見たときだと思うんだよ。なのにれーちゃんはビックリはしてたけど、あたしが想像してたほどじゃない。普通なら、「え? 人形がしゃべってる!?」てそこからでしょう?
── あやしい! れーちゃん、あやしいよ!
れーちゃんは完全に妄想モードに突入して入口から動かない。
ソフィーちゃんは食堂に着くと、
「好きな席に座って待っててね」
と言って厨房におやつを取りに入っていった。
── とりあえずれーちゃんを引き戻そう。話はそれからだ。
げしっ。
「あいたっ!」
あたしは肘をれーちゃんの頭に直撃させてれーちゃんの意識を引き戻すと、ずりずり引っ張って手近な椅子に問答無用で座らせた。それから隣の席に座わるとジトッと睨みつけた。
「れーちゃん、さっさと白状して。何を知ってるの? ソフィーちゃんのこと、知ってるよね?」
れーちゃんが怪しい?
続きは今年最後の更新で!
本編も読んでみてね。
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れーちゃん、しーちゃんが登場する物語
タイトル変更しました。
「We are enlister. Save the princesses of Emulia. ─古墳に入ったら、異世界の姫様の協力者にされてしまったので、日本を救って異世界に転生します! ─」
はこちら
https://ncode.syosetu.com/n5917gw/
ソフィーが登場する物語
「絶望の箱庭~鳥籠の姫君~」
はこちら
https://ncode.syosetu.com/n3370hf/




