3 異世界通話を始めよう ~ ソフィー編 その2 ~
いよいよファーストコンタクト。
お友達になれるかな
ソフィーはこの学園に来る前のことをよく覚えていません。でも、ずっとメイと一緒にいたことは覚えています。『大切なメイのことを守りたい、ずっと側にいたい』と思っていたことも。
だから学園でもずっとメイと一緒にいたいと思っていました。けれど、メイは学園の生徒になりました。魔法の使えないソフィーとは違い授業を受けなければいけません。もちろん授業が終わればソフィーと一緒にいてくれます。メイの友達になった、冬夜さん、リーゼさん、言乃花さんもソフィーに話しかけ、いろいろと気にかけてくれます。
それでもソフィーは寂しくなることがありました。一人でいると、時間がとても長く感じられるのです。いくら雑用を手伝っていても、誰かが側にいてくれるわけではありません。時々、廊下にポツンと一人でいる時など余計に寂しく感じました。
「私にお友達が出来たら、寂しくなくなるかな」
そんなことを考えながらトコトコと中庭に出ると、お気に入りの噴水の近くの東屋に行きました。中の椅子にちょこんと腰をおろすと、テーブルの上にそっとタブレットを置いて。
「えっと、この『異世界通話』というアプリを使えばいいのよね」
アプリのイラストをそっと触ると、突然メッセージが流れました。
『ようこそ。こちらは交換台です。こちらの世界とあちらの世界をつなぎ、異文化交流を推進します。あなたと交流したいという方からの通話があります。交流される場合は通話ボタンを押して下さい。同時翻訳でお繋ぎします。お好きな方との通話をお楽しみください』
アプリの通話ボタンが点滅し、相手の写真が表示されています。『しーちゃん』と書かれたその写真は、茶色がかった黒髪をポニーテールにしたぱっちりお目目の元気そうな女の子でした。
「この子がしーちゃんね。かわいくて元気そうな女の子……お友達になってくれるかな」
勇気を出して通話ボタンを押すと、話しかけました。
「はい、もしもしソフィーです。はじめまして。しーちゃんですか?」
すると想像通り、とっても元気な女の子の声が聞こえてきました。
『もしもし。あなたがソフィーちゃん? はじめまして。あたし、しーちゃんって言います。よろしくね!』
しーちゃんの元気な声を聞いていると、胸がぽかぽかしてきました。なんだかとても嬉しい気持ちになったので思いきって言ってみることにしました。
「ねえ、しーちゃん。わたしと友達になってくれますか?」
すると、タブレットの向こう側で息を呑む気配がしました。ドキドキしながら待っていると、
『もちろんだよ。ね、あなたのことソフィーちゃんって呼んでもいい?』
とっても嬉しそうな声で返事が返ってきました。心の中で『ソフィーちゃん』と呼ばれたことをくすぐったく思いながら答えました。
「うふふ、いいわよ。これからよろしくね、しーちゃん」
こうしてソフィーとしーちゃんの異世界通話が始まりました。
さて、その頃。学園長室に戻ってきた学園長が、窓の外を見ながら口元に笑みを浮かべていました。
「ふふ、面白くなりそうだね……しーちゃん、と言ったかな。出迎えの用意をしないといけないね」
── なぜ、学園長が『しーちゃん』の名前を知っているのでしょう。それに、あのアプリは一体何なんでしょう? ──
残念ながら学園長はそれ以上何も語ってくれませんでした。
学園に、小さな嵐が巻き起こる日が少しずつ近付いています……。
こうして異世界通話が始まりました。
しーちゃんパートはもう少しお待ちください。次回は学園内でのソフィーのお話です。他の学園メンバーも登場予定です。お楽しみに!
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感想もらえるとまりんあくあが大喜びします。レビューいただけると、変な舞いを踊って喜びます。前回レビューいただきました!ありがとうございます\(^-^)/
それではまた2週間後にお会いしましょう!投稿時間は22時を予定しています。
本編の宣伝です。
しーちゃんが登場する物語
「古墳に入ったら、異世界の姫様の協力者にされてしまったので、日本を救って異世界に転生します! ─WE ARE ALLY. SAVE THE PRINCESSES OF EMULIA. ─」
はこちら
https://ncode.syosetu.com/n5917gw/
ソフィーが登場する物語
「絶望の箱庭~鳥籠の姫君~」
はこちら
https://ncode.syosetu.com/n3370hf/