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19   特別寮の食堂でおやつタイム

ようやくほのぼの回です。

といいつつ、箱庭本編未公開シーン満載ですよー。

楽しんでいただければ嬉しいです。

「へえー。じゃあ、高いところにある本はみんな魔法で取るんだ!」

「属性によるわね。私や副会長は自分で取れるわよ」


 迷宮図書館を出て校舎の方へ歩きながら、取れそうにない場所の本の取り方を聞いていた。なんと、魔法を使って取るんだって!


「私やレイスの魔法では難しいわ。本が濡れてしまったり燃えてしまうもの。でも、そういう人が使うための道具があるのよ」

「面白そう! 本を取るとこ見せてもらえば良かったなー」


 ── なるほどー。魔法の属性によっては図書館で使えない魔法があるみたい。


 火の魔法や水の魔法は使えないんだって。そうだよね、本が燃えたり濡れちゃったら大変だ。


 ワイワイ話しながら噴水のところまで戻って、あたしが最初に入った校舎の二階へ上がり、左奥へ進む。すると奥に両開きの扉があり、言乃花お姉ちゃんが扉を開けた。


「詩雛さん、ようこそ特別寮へ」


 ── ここが特別寮?


 あたしはピタッと足を止めて言った。


「あ、あの、あたしそっちには行けないよ。学園長さんと約束したんだ」


 すると言乃花お姉ちゃんが笑って言った。


「ふふ、食堂までなら大丈夫よ。学園長には話を通してあるから」

「え、いつの間に?」


 リーゼお姉ちゃんがビックリしたように言った。


「あなたが連絡に来た後でちょっと、ね。さあ、どうぞ。みんなでお茶にしましょう」


 食堂に入るとソフィーちゃんががいそいそと奥の厨房へと入っていく。


「しーちゃん、座って待っててね。すぐにお茶とお菓子を用意するわね」


 みんなが机の用意をしている間に、キョロキョロと食堂の中を見た。


「こっちの食堂は小さいんだね」

「俺達特別寮のメンバーだけが使うからな。昼は大食堂で、朝と夜はここで食べるんだ。ソフィーのお菓子もここで作ってるんだよ」

「なるほどー。あ、電子レンジあるんだ!」


 食堂の隅に白い箱型の機械が置かれていた。何か紙が貼られている。


「なんて書いてあるの?」

「ああ、あれは『芹澤作、取り扱い注意』だな」

「なんと! 師匠が作ったの? かっこいー!」


 ── 師匠、電子レンジを作っちゃえるんだ! さっすが師匠!


「ん? 何かいっぱいボタンがあるねー。どれがスイッチかな」


 適当なボタンを押そうと手を伸ばしたとき、ガシッと後ろからリーゼお姉ちゃんに手をつかまれた。


「リーゼお姉ちゃん?」

「悪いことは言わないからその機械に触るのは止めておきなさい」

「何で?」


 そう聞くと、机を並べ終えたメイお姉ちゃんと言乃花お姉ちゃんも近付いて来た。


「そういえば、『危ないから使わないほうがいい』って聞いていたからそのままにしていたんだけど、これ、どういうものなのかな?」


 メイお姉ちゃんが不思議そうに言うと冬夜兄ちゃんも、


「芹澤さんが作ったって書いてあるから下手に触ると爆発するんじゃないかと思って俺も触らないようにしてたんだけど、これ変なんだよな。縦にボタンが並んでるだろ? 上から、熱々、温め、解凍、急速冷凍って書いてあるんだ」

「何と! 温めるだけじゃなくて冷凍まで! さっすが師匠!」


 あたしが感動しているとリーゼお姉ちゃんが大きなため息をついた。


「この機械がまともに使えるのは温めくらいよ。私、前に熱々にしたら見事に消し炭になったわ」

「私は試しに冷凍を使ってみたら、機械ごと凍ったわね」

「……ある意味最強だね」


 さすがのあたしも出した手を引っ込めた。


 ── 危険すぎるよっ!


「芹澤を問い詰めたらあいつ、『ふむ、強すぎたか。改良が必要だな』で終わりよ! まったく、あんな危ないもの置いとかないでほしいわ。ソフィーちゃんに何かあったらどうするのよ!」

「あー」


 あたしが何とも言えない気分になったとき、キッチンの方からニコニコしながらソフィーちゃんが出てきた。


「お待たせしました。料理長さんが温め直してくれたので、ふかふかですよ」


 トレーいっぱいにマフィンを運んで来たソフィーちゃんはテーブルに置くとお皿を運んで来てくれる。その間に言乃花お姉ちゃんが皆の分のお茶を用意してくれた。


 ソフィーちゃんの言った通り、黄色のツヤツヤに光るマフィンからは、ほかほかの湯気が上がっていた。


「うわあ、ふっかふかだー」


 ソフィーちゃんお手製のマフィンを口いっぱいに頬張ると、ふわっとした生地にほんのり甘さがあって夢中で食べてしまった。


「ほら、しーちゃん。こぼれてるよ」


 いそいそとソフィーちゃんがマフィンくずを取ってくれる。


「ソフィーちゃん、ありがとう! これ、とーってもおいしいよ!」

「ふふ、おかわりもあるからたくさん食べてね」

「うん!」




ブクマ、感想、いいね、⭐! ありがとうございます。

まりんあくあの励みになります。


詩雛「みんなー、ありがとー。これからもいっぱい応援してねー!」

ソフィー「応援ありがとうございます。これからもがんばりますね」


次回はいよいよスペシャルゲストへお手紙書きます!

お楽しみに。

それではまた二週間後にお会いしましょう。



本編の宣伝です。


しーちゃんが登場する物語


「古墳に入ったら、異世界の姫様の協力者にされてしまったので、日本を救って異世界に転生します! ─WE ARE ALLY. SAVE THE PRINCESSES OF EMULIA. ─」

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「絶望の箱庭~鳥籠の姫君~」

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― 新着の感想 ―
[一言] まりんあくあ様こんばんは! しーちゃんも食堂でソフィーお手製のマフィンが食べることが出来た模様。 皆幸せそうでほっこりです( *˙ω˙*)و グッ!
[良い点] しーちゃんとソフィーちゃんのほのぼのするやり取りに、心がすごく温かくなりました。 小さな気遣いの優しさ、良いですね。 [一言] また読ませていただきます!
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