17 迷宮図書館に行こう
ついに迷宮図書館に突撃!?
「どうしたの、冬夜お兄ちゃん?」
あたしが聞くと、言乃花お姉ちゃんが言った。
「ここで説明するよりも見てもらった方が早いんじゃない? これだけ人数がいれば迷子になることもないでしょう」
あたしたちは全員で迷宮図書館に向かった。
食堂を出てまっすぐに中庭を突っ切ると、目の前に教会のような建物が見えてきた。
「これが迷宮図書館? あんまり大きく見えないよね?」
「俺もそう思ったよ、最初は。まあ、中に入ればわかる」
思っていたよりも全然小さい図書館をジーッと見ていると、冬夜お兄ちゃんが背中に手を当ててあたしを入口に連れて行ってくれた。中に入ると、目の前に普通の図書館と同じような読書スペースがあってその奥にカウンターが見えている。
「なんだ、全然普通じゃん」
── やっぱり、迷宮図書館なんて、名前だけなのかなー。
ガッカリしていると、
「そうでもないぞ。ほら、向こうを見てみろ」
冬夜兄ちゃんがそう言ってあたしの体をクルリと右側へ向かせる。
「うわあ、何これ!?」
目の前に広がっていたのはものすごい数の本棚。縦にも横にもズラリと本棚が並んでいる。目を凝らしてみても奥の方はかすんでしまってよく見えない。
「これ、どこまで続いてるんだろう?」
「どこまで続いているのかしらね。管理している私が言うのも変かも知れないけれど、私にもわからないの。この図書館に入って、そのまま出て来なかった人もいるという噂もあるわね」
「同じような本棚が並んでいるから、自分がどこにいるのかも分からなくなるからな。言乃花の案内がないと一瞬で迷子になるぞ」
── そんなに広いの? 中に入るのが楽しみで仕方ないよ!
「ふ、ふ、ふ。これは挑戦のしがいがあるね! ではさっそく……」
腕まくりをするような仕草をしてから突撃しようとすると、ソフィーちゃんが慌てて手を繋いできた。
「しーちゃん、勝手に入ったら、め、だよ」
「ごめんなさい」
素直に謝ると、
「ソフィーちゃんの、め、だ」
そう言って一人感動にひたるリーゼお姉ちゃん。なんとなくわかってきたけど、リーゼお姉ちゃんはソフィーちゃんが好きすぎるんだと思う。言乃花お姉ちゃんがソフィーちゃんから見えないようにこっそり位置を変えている。そして、笑うのをこらえて肩を震わせていた冬夜お兄ちゃんは、しっかりリーゼお姉ちゃんに足を踏まれていた。
「痛てっ」
「詩雛さん。これから案内するけれど、私が先頭を歩くから私よりも前に行かないこと。それからあなたとソフィーちゃんの後ろにリーゼと冬夜が付くから、その二人よりも後ろには行かないでね」
「分かった」
言乃花お姉ちゃんが先に書架の中へと入って行く。その後ろにメイお姉ちゃん、その次にソフィーちゃんと手を繋いだあたし、後ろにリーゼお姉ちゃんと冬夜兄ちゃんが続く。
── さぁ、探検開始だよっ!
「すごいねー。あっちもこっちも本だらけだ。うわぁ、あんな上の方にも本棚があるよ。これはれーちゃんに自慢出来るっ!」
「れーちゃんって、しーちゃんが大親友って言ってたお友達よね」
「うん。引っ越しちゃったからしばらく会ってないんだよね。本当は今日会えるはずだったんだけど……。れーちゃんがここ見たら絶対感動するよ。本が大好きなんだ」
「そう。そんなに本が好きな子なら会ってみたいわね……もう少し歩いたところに詩雛さんでも読める本があるわよ」
「え、ホント? あー、……でもあたし、ここの文字読めないんだよね」
「あら。そういえば詩雛さんの話している言葉は私達のものとは違うみたいよね」
「「え! そうなの?(そうなのか?)」」
冬夜兄ちゃんとあたしの声が重なった。言乃花お姉ちゃんが足を止めて言った。
「気付かなかった? 詩雛さんの口の動きと聞こえる言葉にズレがあるの。たぶん、お互いに知っている言葉として聞こえているのでしょうね」
「本当だ、言われて気付いたよ。言乃花お姉ちゃんの口の動き、確かにあたしが聞こえてる言葉と違うみたい。だから文字も読めないのかー。あーあ、読めたらきっと、もーっと魔法のことが分かるよね」
「そうね……。でも、副会長なら何とかしてくれるかも知れないわよ」
「え! 師匠が? うわぁ、さっすがあたしの師匠だ!」
「「師匠?」」
今度は冬夜お兄ちゃんとメイお姉ちゃんの声が被った。
「それがね、……」
リーゼお姉ちゃんがため息を付いて二人に説明すると、メイお姉ちゃんはニコニコして聞いてるのに、冬夜お兄ちゃんは何か考え込んでるみたいだった。でも、ソフィーちゃんはクスクス笑いながら、
「ふふ、みんな仲良しでいいな」
って嬉しそうにしていたよ。
── やっぱり、ソフィーちゃんってかわいいよね!
明けましておめでとうございます
新年最初の投稿です。本年もしーちゃんとソフィーをよろしくお願いいたします。
次回も迷宮図書館。しーちゃんは大人しく今の探検を続けられるかな? 「読書会」冊子を読んだコアなそこのアナタ。続きは内緒ですよー(笑)
それでは、また二週間後にお会いしましょう。
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