16 食堂で初ランチ
今年最後の更新です。
年越しにふさわしい?
ほのぼの回をお届けします。
「あー、おかしかった。リーゼお姉ちゃんも立てなくなってたね」
「正座って、大変なのね」
「これから食堂に行くんだよね? あたし、お腹ぺっこぺこだよ。何食べよっかなー。ソフィーちゃんは何が好き?」
言乃花お姉ちゃんの長ーいお説教で、足がしびれて立てなくなったリーゼお姉ちゃんと師匠をあっさりと放置して、あたしたちは食堂に向かっていた。
二階へ降りたところで、左の廊下から誰かが歩いてきた。
「あ、メイ」
そう言うとソフィーちゃんが駆け寄っていく。
── ふうん、あれがメイお姉ちゃんかー。すっごい美人さんだ。
歩いてきたのは、藤色の髪をかわいくツインテにしたメイお姉ちゃんと、ちょっと癖のある短い黒髪のお兄ちゃん。
── ひょっとしてあれが冬夜兄ちゃんかな?
メイお姉ちゃんがソフィーを見てにっこりと笑った。
「ソフィー、大丈夫だった? 不審者がソフィーを引き摺って校舎に侵入したっていうからすごく心配したんだよ」
「それ、リーゼさんの勘違いなの。あのね、しーちゃんが遊びに来てくれたのよ」
「しーちゃん、ってあの別の世界にいるって言ってたソフィーの友達のことだろ? どうやって学園に来たんだ? 言乃花から学園長が関わってるって聞いたが、大丈夫なのか?」
心配そうに言うメイお姉ちゃんたちに、ソフィーちゃんは大きく首を振った。
「ううん。あのね、わたしが学園長にお願いしたの。しーちゃんを学園に招待したいって」
「そうなのか。……ああ、その子がしーちゃん?」
あたしは言乃花お姉ちゃんと一緒に歩いて行くと言った。
「初めまして! 小鳥遊 詩雛です。よろしくね、メイお姉ちゃん!……それから、冬夜兄ちゃん、だよね? よろしくね!」
するとメイお姉ちゃんがふんわりと笑って言った。
「初めまして、しーちゃん。いつもソフィーとお話してくれてありがとう。会えて嬉しいわ」
「うわぁ。ソフィーちゃんから聞いてたけど、すっごくキレイ! あたしもメイお姉ちゃんに会えるの楽しみにしてたんだ。だっていっつもソフィーちゃんがメイお姉ちゃんのこと『すごい』ってほめてたもん。ソフィーちゃんの大切な人に会えて嬉しいなっ」
綺麗なメイお姉ちゃんの笑顔に嬉しくなって、ついその場でピョンピョン飛び跳ねちゃった。すると冬夜お兄ちゃんが笑って言った。
「ははっ、すごく元気な子だな。初めまして。天ヶ瀬 冬夜だ。よろしくな。そういえば肝心のリーゼはどこに行ったんだ?」
冬夜お兄ちゃんがキョロキョロと見回していると、氷のような声がした。
「リーゼなら副会長と一緒に実験室にいるわ。少しお灸を据えたから、もうしばらくは降りて来られないわよ」
その声の響きに、その場にいたみんなが(これは聞いたら駄目なやつ)と素早く一致団結し、聞かなかったふりをすることにした。
「ところで三人はこれからどこへ行くつもりだったんだ?」
「食堂だよっ。あたしもうお腹ペッコペコだよー」
「じゃあ、皆で行こうか」
こうしてあたしたち五人は食堂に向かったよ。
── 異世界の食堂、どんなメニューがあるんだろう? 楽しみっ!
「うわぁ、広いね!」
食堂は一階に降りて中庭を突っ切った反対側の校舎の隣にあった。全校生徒が利用するだけあってものすごく広い。メニューもいっぱいあったけど、あたしは読めないのでソフィーちゃんお勧めのパンケーキを一緒に注文した。
あたしたちが注文したものを受け取って席に戻ってきたところに、フラフラになったリーゼお姉ちゃんがやってきた。
「ソフィーちゃんの隣に座りたかったのに……」
ガックリと肩を落としたリーゼお姉ちゃんも、しっかり同じパンケーキを持って帰ってきていたよ。言乃花お姉ちゃんが仕方なさそうに自分の席の隣を勧めていた。
全員が揃ったところで、
「いただきます」
と手を合わせて、食べ始めた。
「ふわぁ。ここの食堂のパンケーキ、病みつきになりそうだよ。ふわふわでそれでいてもっちりしていて。しかもバターとはちみつ、メイプルシロップに生クリームも付いてるんだもん。なんってぜいたくー」
あまりにも豪華なパンケーキに、あたしはあっという間にペロリと完食してしまった。
「お腹もいっぱいになったし、探検の続きがしたいな! 言乃花お姉ちゃん、迷宮図書館を探検させて下さいっ!」
すると、言乃花お姉ちゃんは困ったような顔をした。
「あのね、詩雛さん。迷宮図書館がどうして迷宮と呼ばれているか分かるかしら?」
「んー? ソフィーちゃんからは、すっごく広くてどこまであるのかわからないくらいで、本がいっぱいあるって聞いたよっ。だから迷路みたいになってるのかなって思ったんだけど、違う?」
コテンと首を傾げて聞くと、冬夜兄ちゃんがあんぐりと口を開けて固まっていた。
── どうしたのかな?
「いや、あそこは……」
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来年は兎年、ソフィーちゃんの年です!
来年もソフィーとしーちゃんをよろしくお願いいたします。
皆様、良い年をお迎え下さい!
次回更新は2週間後 10時にお待ちしています。
本編の宣伝です。
しーちゃんが登場する物語
「古墳に入ったら、異世界の姫様の協力者にされてしまったので、日本を救って異世界に転生します! ─WE ARE ALLY. SAVE THE PRINCESSES OF EMULIA. ─」
はこちら
https://ncode.syosetu.com/n5917gw/
ソフィーが登場する物語
「絶望の箱庭~鳥籠の姫君~」
はこちら
https://ncode.syosetu.com/n3370hf/