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やっぱりきいろいあいつはいかしてた

[馬魅。ごめん。]

「レイが風邪で寝込むって明日、隣の反瑞国家がミサイル撃ちそうだね。」

「そういうことは冗談でも言うなと教師としては言うべきだが。私も馬魅と同じ考えだ。今日は一日しっかり体を休めろ。父さんからも同じ事行ってきたぞ。」

というわけで、いつものナレーションもお休みします。


瑞穂皇国 長野県 諏訪市

蒼藍星間連邦王国駐在瑞穂皇国大使館長野第2本庁舎

長野市に有る第1本庁舎は本国とのやりとりで手一杯。瑞穂に滞在する蒼藍王国籍の人たちにとっての査証発行業務はこの第二本庁舎で行われている。

あの戦艦不時着事件から3ヶ月で長野市と諏訪市、そして、東京府神田区にわずか3かで一棟ずつ現れた、超高層ビル群。

特に長野市と諏訪市にあるビル群はLLCAという巨大財閥4つの現地法人が、本社として届けだしている超高層ビル群は、地元の公共交通を一気に黒字に押し上げている。

通称「妖怪金出させろ」

諏訪市に現地法人の本拠を置いた蒼藍王国最大の軍需企業LSN-LES-LMTへ一人の老紳士が訪れていた。

高遠晋介

当代の瑞穂皇国内閣総理大臣である。高校卒業後皇国国軍大学海軍科へ進学。そのまま。海軍高等士官学校へ。卒業後、戦艦讃岐の機関科へ配属され、そこから、同艦の艦長にわずか3年で上り詰める。

讃岐を旗艦とする艦隊が新設されると同艦隊の艦隊司令にし就任。

艦隊習熟のための訓練航海中になぜか太平洋に居た統一朝鮮の艦隊(強襲揚陸艦1、駆逐艦6)から、一切の警告、確認無くミサイル攻撃を受ける。その攻撃を無傷で全て打ち落とした上で、讃岐の砲撃で反撃。戦闘詳報は逐次霞ヶ関の海軍軍令部に送られ、統一朝鮮への確認を行い、沈められた艦隊が、なぜ、太平洋にいたのか。いつ、出向したのか把握して居らず、統一朝鮮政府、軍上層部は攻撃指示も許可も一切出して居らず高遠艦隊に責任は一切無いと返答。

その後に起きた、中亜戦争における、瑞穂の燃料供給確保のための船団護衛において発生した、パキスタン海軍による公海上の日本船団への無通告臨検を撃退し、日本側の損失0に治めた功績などが評価され弱冠48歳にして瑞穂皇国海軍元帥に任じられ65歳で退官するまで、瑞穂海軍を率いていた。

退官後故郷の舞鶴にて高遠造船所を設立。海軍時代に知り尽くした艦艇構造を元に、海軍舞鶴鎮守府の艦艇整備委託企業の指定を受けて、新造時よりも調子を上げると言うことをしでかし、高遠造船所に整備を委託したら、間違いないという評価を得たのは晋介70の時。

設立から漁船や貨物船の建造も行いつつ、晋介68歳の時に、海軍の陽炎級駆逐艦を建造。75歳にして、晋介の目標であった、戦艦の建造を受注。建造は7年前に国から託され吸収合併を行い自社に組み込んだかつての超大手重工企業が有していた、神奈川県横浜市の超大型ドックで、進水した船の名前は「大和」。

瑞穂の象徴を任され、高遠社長は直々に陣頭指揮を執ったという。

そんな瑞穂重工業界の重鎮ともいえる高遠晋介御年96歳。今年で20になるひ孫を目に入れても痛くないほどかわいがり、彼女が、自分と同じ道を進まんとしていると相談されると、自分の技術を鬼も裸足で逃げ出すほどの超スパルタでたたき込み、自分が叶うことのなかった、皇国国軍大学海軍科主席合格を果たしたときは自分のことのように大喜びし、その入学式に来賓として招待され、祝辞を読み上げるとき感極まり、啼いてしまった。

現役時を知る皇国国軍大学海軍科の教官たちは「あの高遠元帥が泣いた?!」と大騒ぎし、用意した原稿を一言も読めずただ一言大音声で

「諸君入学おめでとう。栄達を願う。」

とだけいって、啼きながら席にもどるという珍事を起こした曾祖父を見つつひ孫の泉は堂々とした新入生代表の答辞を述べ常に主席を維持していた。

その96歳の御大が諏訪の地を訪れて、

「ボク、○nダヨ!!!!」

北の黄色いあんちくしょうのどアップを食らい、気絶した。


『大和級改装における機関換装選定の相談ですか。せっかくのお話なのですが、それに対して即答出来るものが今、本国に行っていまして、申しわげございませんが、5日後であればこちらに来ますので高遠様のことを伝えておきます。』

そう言われていったん舞鶴へ帰ったのが3日前。

昨日午前中に、相手方の本社渉外部の担当を名乗るものから電話がかかってきた。いま、瑞穂へ向かう船の中で有り明日午後に舞鶴にある高遠造船の本社へと顔を出すという。

晋介は営業部長と、技術部長、建造部改装課長を呼び、明日の午後に再び諏訪に行くので同行をと命じた。

先方にもそう伝えて。そして今日、弩アップを食らった。

「びっくりした。」

「私はそれで済ませられるあなたに驚いています。自己紹介のタイミングを逸してしまいましたので改めまして、LSN-LES-LMT本社営業総局発注局渉外部瑞穂皇国担当判断官の―と申します。」

大和級の対消滅機関自体は耐用年数100年という代物であるが、いかんせん最新鋭の機構を多く取り入れた関係で故障が頻発していた。

これをあの不時着した船からもたらされた技術の一つ、対消滅縮退炉へ換装し、余計な部品点数を減らすことを目的としていたが、当の対消滅縮退炉は国産化が不可能であったため調達するにはLLCAの協力が必要だった。

大和は生まれ故郷の横浜でこれから1年をかけ新たな技術と新たな兵器を取り込んだ改装を受ける。

その図面を最初に引いたのは、晋介から一身に愛情のこもった厳しい指導を受け国軍大学校の主席を爆走し、卒業後も数々の華々しい成果を上げ弱冠28歳で大和の艦長に就任していた彼のひ孫、高遠和泉だった。

和泉が引いた図面は艦制本部、ひいては海軍上層部から高い評価を受け、彼女は曾祖父譲りの海軍、艦艇への厚い愛情を見せ海軍上層部はそれを評価し、これまでの功績と会わせ、彼女を瑞穂海軍における現場の最高責任者といえる連合艦隊司令長官へと命じた。

「まさか、私の妄想が現実になるとはな。」

横須賀の連合艦隊司令部に有る司令官執務室で和泉がぼやく。

海軍大将という高位に任官からわずか8年でたどり着いた。これをなしえた、高遠の血というものは恐ろしいとかつての高遠元帥を知るものは語る。

ちなみに和泉の祖父と父は高遠造船に平社員で入社し下からたたき上げで社長へとその実力で上り詰めた。


神奈川県横須賀市 瑞穂本土東部旅客鉄道・京浜急行電気鉄道 横須賀駅

「お父さん、何で横須賀なの?お父さんの職場って府中だよね。」

「連合艦隊司令長官から呼び出しだ。」

空軍大将から空軍のトップ空軍筆頭元帥に就任した尾束義則とその次女馬魅。

2人がこの横須賀にいる理由は空軍勅任元帥で、馬魅の幼なじみで有りお隣通しの﨑原レイが最初呼ばれていたのだが体調を崩してしまったことがきっかけ。

「ようこそ連合艦隊司令部へ。済まない。第4艦隊の阿呆どもがむちゃくちゃな訓練を強行して、巡洋艦が4隻も大破した関係で急ぎの書類仕事が入ってしまいまして。空軍筆頭元帥閣下をお呼びしたのにこのような形で申し訳ありません。あと15分でこの山をどうにかしないと、阿呆どもの実家である貴族家が口出ししてくるので。」

案内を受け、司令執務室に入ると大量の書類の山に囲まれた中で、書類の大和格闘しながらパソコンのキーをたたく美しい女性がいた。

「15分ですか、娘は本日寝込んでいる﨑原勅任元帥と一緒に書類仕事をやっていますし、許可をいただければ、あの国の文官を借りれると思いますが。」

「それは是非お願いしたい。」

執務机で怨嗟を吐きながら書類と格闘する女性こと、高遠和泉連合艦隊司令長官の返答を受け、義則は娘に目配せをする。馬魅はまっすぐ和泉の執務を見つめていたが、ものの一分もしないうちに2人の周りの空間がまるで凪いだ水面に石を落としたように波紋が浮かび3人の女性が現れると、馬魅と一緒の書類に手をつけ始めた。

10分後、95%の書類が、必要事項不足などで再提出となった他、その内容が問題視され、皇国防衛省と、法務省に通知された。

「それでは改めて。海軍連合艦隊司令長官、大将高遠和泉です。」

「空軍元帥尾束義則です。これは次女の馬魅。それと。」

「あの国の高級軍人だとか。」

リトエルスとリールフェルトは先の一時帰国時に瑞穂での階級に会わせた階級調整が行われていた。

「大将はわかるが、上将というのはどういう階級なのだ?」

「我が国の階級における将官は他国における将官に当てはめると下から准将、少将、中将、大将、上級大将という形になるというのが我が国政府の共通見解です。」

「それでは上将というのは上級大将に相当する階級という訳か。」

納得する和泉に対して、リトエルスは

「まあ、上に将長が何億人も居ますし、上将自体、私の上に何十億人もいます。軽く覚えているだけで、王国軍の総勢は軽く25桁に届いたはずです。王国の総人口がこの前200桁の大台に乗ったという話をニュースで見ましたので、まあ、国家規模に秘して、かなりこぢんまりした軍隊でしょう。」

軍隊だけで25桁名も居るという言葉にほほを引きつらせつつ、握手を求めるべく手を指しだした和泉。

「何にせよ、今は鈴ヶ森学園に留学されている身と聞く。先日の勅命とはいえ突然の渡英任務をねぎらわせて頂くとともに瑞穂滞在中は是非そちらの軍の話を聞かせて頂ければと思う。

そういえば、先日曾祖父が帰国企業を訪ねた折、倒れたと聞いてな電話で事情を聞いても要領を得ないのだ。そちらは何か聞いてないか?」

リトエルスとリールフェルトは互いに顔を見合わせた後、和泉と尾束親子をいったん部屋の外に出し合図をしたら入るよう伝える。

『どうぞ。』

「一体なn「「ボク、○nダヨ!!!!」…泡吹いて失禁して、座ったまま失神してる。尾束さん、馬魅、あなた方は何も見なかった。良いですね。連合艦隊司令長官の名誉のために。」

尾束親子がうなずいたのを見て、失禁だけをきれいにしたリトエルスはリールフェルトに気付けの合図を出す。

「ほ。何が。」

「今のが、来社時に高遠会長が出くわした出来事です。」

「あの黄色いのは何だ。」

北海道のローカルテレビ局のマスコットキャラクターである。某番組のファンからは親しみを込めて、北の黄色い憎いやつだの北の黄色いあんちくしょうだの、はたまた央野人の名字で呼ばれることもある。ひどいときには(当該局名)の黄色い悪魔。というのもあった。

「まーたファンを増やしたよあの番組。制作陣も出演者も死んで何年経つ?」

「ざっと200年は経つ。最後の一人が死んだのが皇紀27300年だから。」

黄色いマスコットを華麗に操る俳優とそこに見事な突っ込みを見せるもじゃっけがトレードマークの俳優。そして、それをいじって馬鹿笑いする制作陣の掛け合いは、番組名を冠したスタイルとして、一躍あまたの動画投稿者にとって編集セオリーと化しそれは、200年経った現在も色あせない。そんな番組に和泉もはまった。


[あちゃー。長官もはまったか。]

「なににはまったんだ?」

[セカンド発進だと思ってそれなりに。]

「あーわかった。とりあえず学校には今週いっぱい休ませると言っておいた。それと、馬魅じゃないが、隣の阿呆が本当にミサイルぶっ放したぞ。あちらは国産ロケットだと言い張っているが、衛星写真から見るにどう見てもICBMだ。」

瑞穂はICBMより、SLBMの方が発達している。まあ、正確に言えばICBMに転用可能な、液体燃料ロケット技術は150年前に世界的には成熟状態となり、現在宇宙開発における推進機構の主流は核融合炉からの反重力機構と空間跳躍に移行している。そのため液体燃料ロケットはあまり使われなくなってきていることからICBMという兵器は徐々に過去の産物と化し始めている。

それでも隣国が敵国攻撃用にICBMの開発を続ける理由は、安定した発射プラットホームがICBM用しか用意出来なかったから。

そして、超音速で宇宙空間から落ちてくる物体の迎撃なんていくら瑞穂でも出来ないと高をくくっていたから。

実際には瑞穂は空対空ミサイルや空対宙ミサイル、地対宙ミサイルなどで、あまたの超音速で落下してくる隕石や、衛星などを破壊してきた実績がある。だがこれは全て北米広域行政府においてのことで有り、隣国は北米大陸が瑞穂領であると未だ認識できていないことから、瑞穂空軍、陸軍の実績を理解できていない。

また、皇紀2660年代/聖歴2000年代に自前でロケット打ち上げに固執して失敗して以降20年に一度ロケット打ち上げを強行し失敗してきた。いつの頃からか、このフェアリングになんでか爆薬を詰め込む阿呆をかまし出し、これが他国からICBMだと言われるゆえんである。

ロケットの商用化に失敗し、また、国産ロケットの技術は確立できたが打ち上げる衛星がない。と言うか、作っている途中で、代わりに同じぐらいの重さのものということで、何をとち狂ったか爆薬を選定した。これに対し、瑞穂は瑞穂界に展開した海軍艦から艦対空ミサイルを発射。瑞穂領空に入ったと同時に破壊し、隣国からの抗議が来る前に、フェアリング内に爆薬を詰め込んだロケットはICBMと見なされて当然で有り、自国防衛のため領空侵犯と同時に破壊したと発表。英仏独露の4カ国を始め欧州各国や東南アジア諸国がこれを支持。隣国が、ロケットの打ち上げを邪魔されたと発表してもだーれも見向きもしなかった。

聖歴区分で24世紀となる現在、ニュートン力学を用いた科学推進で宇宙へと出ようとする方式は、改正された宇宙条約において非常に厳しい制限が課せられている。にもかかわらず、隣国は新たな世代である、反重力機構と空間跳躍ではなく、この科学推進でのロケット開発を推進している。

その理由は、お得意の瑞穂などから技術をぱくろうとしたが、出来ないため反重力機構や空間跳躍機構の製造が出来ないから。


「まさか本当に撃つとはな。おかげで開発部にも迎撃用車両の技術開発命令が下ったよ。」

[まあ、現状迎撃衛星の配備が過剰といえるレベルで、瑞穂上空の防備を固めているから良いんじゃない。陸軍も海軍も北米行政府で訓練を重ねてたし。

そういえば、おとうさん、今、おばさんって北米行政府のどこら辺にいるか知ってる?]

「え?確か東海岸にいるって行っていたな。何だっけなお菓子みたいな名前の。チェルキー?チュリス?ボストンのすぐ側って言ってた。なんでだ?」

チェルシー市か。そう納得して、鈴ヶ森学園の建て替えを行う間、私たちがボストンにある、姉妹校に行くことになったと話すと、

「じゃあ、ボストンに行こうか。」

は?コノオジサンイキナリナニイッテルノ?

「ボストンに行けば統間も両親に会えるだろうし、おまえたちも、少し精神的に安心できるからのんびりボストン楽しめるだろ。恵利も結構良いアイディア手に入るだろうし。俺も向こうの営業部を見たいからな。」

そんなりゆうかよ。この親父は全くもう。

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