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#4

『おい、お前どこから来た?見たところ余所者だよな、名前は?』



固まっている俺の目前まで来て問いかける。心なしか楽しそうに見えるのは気のせいだろうか?口元は笑って


いる。しかし、目は笑っていないかも知れない。その奥は、鋭い物が光を発しているような気がする。



「南の館、こことは異なる空間から来た、名はガート・ジルヴァントだ」



『へえ、本格的な余所者なんだな、面白い、オレはほのう、紅蒼の焔、お前能力が強いみたいだから


分かってるみたいだが、とりあえず能力ちからは持ってる』



確かに、分かっていた。その目も髪も、全てで焔の凄さを、能力の強さを表している様だった。



『そんでな、テントん中で腐ってる奴、仲間っつっても肩書きだけなんだよ』



「?どういう意味だ?」



能力の違いや、動き、纏っている空気。どれを取っても焔との共通点なんて見当たらない。でも、さっきは


仲間と言った。でも、違う。肩書きとはどういう事だ?



『オレ、お前と同じなんだ、余所者なんだよ、一匹狼な性分でな、住みかだけ借りてるようなものだ、役割としては


殺し屋・・と言ったほうが響きがいいかな』



笑いながらさらりと言い放つ焔。その目は先ほどとは違う、強い光を持つ。野生の、獣の目だ。少しでも


動いたら、俺は焔と一戦交えなければならない。そんな気がした。嫌な汗が出てくる。



『そんなに身構えるなよ、確かにここに来ている余所者を掃除してくるように言われたけどさ』



その言葉に、少し考えた。何時ここに来たのがばれたのだろう。まさか、テントの中の奴に何か発信機でも付いていたのだろうか?それが何か衝撃を受けたら、本部に連絡が行くような何かが。



『ガート、一応言っておくが、オレは奴が死んで、それから飛んできたんだ、お前も同じだろう?飛べるな?


あいつら脳内にチップが埋め込まれてるんだ、だから脈が止まったその時点で連中は気が付く、まあ、オレが


殺した、と取る場合もあるかも知れないけどな』



どうやら、焔はその仮の仲間と相性が悪いらしい。だがあの程度の相手では、焔の準備運動にすら


ならないだろう。死に損だ。それでは。



「俺も、殺すんだろう?」



『は?何でさ、殺さないぞ?』



間抜けな一言だったのだろう。目を丸くして返してきた。その返事には俺も不思議だった。



『だってガートは強い、これからもっと強くなる、今こんなところで潰してもつまらない、勿論、今もし


戦ったとして、オレだって無傷では済まないだろうし、無駄な事に体力を使うのはオレのポリシーに


反する』



腕を組み、鼻息を荒くして答える焔。やはり少し変わり者のように思える。



「だが、上からの命令なんだろう?逆らっていいのか?」



『知ったことか、あいつらオレには勝てない、そうだな、頂点に居る奴なら、オレでも負けるか、だが


やばくなったら逃げる、逃げるが勝ちって言うだろう?』



そう言って笑う。その表情は幼く見える。これが殺し屋の顔だろうか?本当に自ら選んだ道だろうか?




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