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結界を張ろう

「喧嘩してんじゃねえよ」


扉を蹴り飛ばし、兄弟の家に入る。なりはその勢いにビクっと身体が跳ねた。


おさなは、何て事無く落ち着いてこちらを見据えている。


砂希羅さきら


「何?」


「ああ、助けておいた、俺これからちょっと仕事するから、出てくるなよ」


幼の一言で寄って来た成と、その後ろから顔を出す幼に、砂希羅を預ける。


そして俺はまた外に行き、少し広めに円を描く。それは円陣だ。


砂希羅と兄弟の家を括り、結界を張る。少し強めに。今までとは違うタイプの結界を張った。


「終わったぞ、取りあえず、これで安全だと思うが、心配だったら言え」


「あの・・・有難うございました、砂希羅を助けて頂いて」


兄弟の部屋のベッドに砂希羅は寝かされていた。まだ意識は戻っていない様だ。


深々と頭を下げ、礼を言う幼。成は、何も言わないが目がそれを物語っていた。


だから良しとした。それより、少し眠くなった。この後、もし万が一『都市とし』の連中が来たとしても、此処は安全だ。一端小屋に戻って少し休むとしよう。


「じゃ、また日が明けたらぜんを連れてくるからな、それまでお前等も休んでおけ」


外に出て、『都市』の方を見つめる。気配は沢山している。俺の存在を知らせてしまったのは不味かったかも知れない。


だが、あの二人が行ってしまっては、元も子もないからな。


この後、もし連中が来たとしても、間違いなくばれない。後は小屋の辺りにも結界を張っておこう。


俺の気を探って来るかも知れない。そうした時、何より膳が心配だ。念には念を入れておこう。


「膳?」


小屋をそっと覗いて声を掛けてみる。膳は返事をしない。まだ良く寝ている様だ。


それに安心してまた外に出る。『都市』がこちらに向かって来ている。急がないといけない。


刀を地に突き立てて円陣をまた描く。この小屋と子ども達の家は離れている為、一緒に円陣を

書く事は出来なかった。


だから此処は此処で結界を張らないと、此処が狙われてしまう。俺は気配を幾らでも消せるが、膳は違う。


嘗てはあの武器を二つとも使いこなし、立ち振る舞った。体力は人並み以上にあったということになる。


少なくとも、あの兄弟より、どれだけ弱ってもまだ膳の方が強い。まして秘石に入っていて能力まで得てしまった。


それを『都市』の連中に嗅ぎ付かれては困る。あと一年だ。隠し通してやる。


「さてと、もう一眠りするか」


小屋に入る俺の耳に、『都市』の連中のざわめきが聞こえる。


その声は、慌てふためいている様に聞こえる。それはそうだろう。そうなるよう、俺が仕組んだのだから。


稜威りんい様!大変です!』


『どうした、騒々しい』


『村が、村が無くなっておりました!』


『・・何?』


連中の騒ぎ方は、俺の想像を超えていた。まあそりゃあそうだろう。


起きたら、子ども達にも説明をしておこう。そうしないと、全く意味を成さない事になってしまうから。


今日は能力を使い過ぎた。膳の事は言えないな。そんな事を思いつつ、瞼が下がる。



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