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第6話 第11階層アルマニージュとの死闘

「うわっ?!こっちくんな!」


一度距離を取って落ち着こうと駆け出したコータ、だがその直ぐ後ろをアルマニージュは一定の距離を保ったまま追い掛ける。

草の長い部分にその体を隠しながらコータが弱るのを待っているのだ。


「くそっ、扉何処だよ?!」


走りながらキョロキョロとコータは部屋から出られる扉を探す。

階層の魔物は扉から外へは出ることが出来ないので、扉から出さえすれば逃げ切ることが出来るのだ。


だが10秒程走って探すが何処にもそれらしき物は見当たらない。

何度目かの舌打ち、それを待っていたかのようにアルマニージュが飛び出した!


「ぐえっ?!」


背中に衝撃!

予想していなかったのもあるが、あの小さな体からはとても想像できない衝撃がコータを襲った!

倒れながら地面を転がりアルマニージュを見るコータの胸の上に『8』と言う数字が浮かんでいく…

これも魔物の居る階層独自のルール、与えたり受けたダメージが数値となって現れるのだ。


「一撃で8?!嘘だろ?!」


自信のHPが先程見た通り34であるならば、今の一撃で残りは26…

後5回同じ攻撃を受ければ自分は死んでしまう。

それを理解したコータは逃げるのを諦めて戦う事を選んだ。

見つからない扉を探し続けて死ぬよりかはマシだと考えたのだ。


「くっそ、こいつっ!」


コータが倒れた事で警戒心が緩んだのか、アルマニージュは顔を草から出してコータを覗き込んできた。

そこをコータは狙った!

引き抜いた剣を倒れた姿勢のまま横凪ぎに振る!


「ギピィ?!」


確かな手応えと感触が手に走りアルマニージュの体から『28』の数字が浮かび上がった。

だがコータはその数字を見て顔を歪める。

学んだ通りであれば第11階層の魔物のHPは最低でも500以上、であればこのままでは勝ち目は無かった。


「くそっ!ならこうだ!『ジャストアタック』」


そう叫んでスキルを発動させ、立ち上がって直ぐに追撃を行う!

怯んでいたアルマニージュの頭部に剣が振り下ろされた!

上手く角の横を通過した剣先はアルマニージュの顔を通過して地面を叩く!


「ギィピィィ!!」


再びアルマニージュの叫び!

本来であれば脳を破壊して死んでいる筈だが、塔の中独自のルールのせいで仰け反るだけに済む。

顔面が血塗れになってるアルマニージュの頭上に赤文字で100と表示された。

コータの最高ダメージを受けたアルマニージュは数歩よろけて…コータに一気に突撃してきた!?


「げぅっ?!」


腹部に衝撃!

胃の中身が上がってきそうな感覚を覚えながら視線をやるとアルマニージュの角が突き刺さっていた。


「ぐぁっ…『ジャストアタック』!!」


口から値を吐きながらアルマニージュの背中に剣を突き立てる!

そのまま地面に突き立てて腹から角を抜いた。


「げはっ…うげっ…くそっこいつめ」


角を抜いたその瞬間から口の中の血が消え去り痛みが消えていく。

その間、串刺しになったままのアルマニージュはジタバタともがき苦しんでいた。

何度も頭上に『4』と一定感覚で表示されているのを見て、剣が刺さってる事の継続ダメージが発生しているのを理解したコータは口にする。


「ステータス!」


HP:9

MP:4

BP:8


自身も継続ダメージで予想以上のダメージを受けていた事に驚きつつも安堵の息が漏れた。

串刺しになったままのアルマニージュは時間は掛かるかも知れないが、このまま放置すれば勝手に死ぬだろう。

だが…


「嘘っだろ?!」

「ギピィギッギギギィピィィ!!!」


なんとアルマニージュは体を貫いている剣を押して自身の体を斬りながら抜け出そうとし出したのだ。

苦痛が混じった叫び声を上げながら、アルマニージュは剣から脱出した。

内臓へのダメージもここのルールにより剣から脱出すれば、瞬時に無かった事になっているのかアルマニージュは再び草の中へ身を隠した。


「ちくしょ…」


剣から距離が有る中、近付けば間違いなく攻撃を仕掛けられる。

残りHPを考えればもうダメージを受けるのはヤバい、更に残りMPからジャストアタックが使えるのは残り1回。

アルマニージュのHPは低く見積もってもまだ200以上は有る筈…

まさに万事休すであった。


がさがさっと草がアルマニージュの接近を知らせる。

コータは地面に落ちていた石を手にし素手よりかはマシだと考え握り混んで構える。


「これが最後だ『ジャストアタック』!」


その叫びに反応したのかアルマニージュはコータに飛び出した!

コータはその顔面目掛けて手にした石を向けた!


ガッ!


自ら石に頭突きをしたアルマニージュはその勢いのままコータの横を飛んでいき草の中へ落ちる。

『100』とダメージが草の中から表示されると共に再びアルマニージュが移動する音。

最後のスキル攻撃でも倒すことが出来ず苦笑いが浮かぶコータ。

そして…


「うげっ?!」


まさかの真横からの一撃!

どうやったのかアルマニージュは途中から音を立てないように移動して回り込んで来たのだ。

勢いが先程よりも弱かった為か表示された数値は5、だがもう一撃食らえば間違いなく待つのは死。

そう考えたコータは焦って叫ぶ!


「うぁぁ!『ジャストアタック』!」


既にMPが0の為スキルは発動しても最低の効果しか発揮しない、それを失念したコータは横腹に角を刺したままのアルマニージュを石で殴った!


ガッ!


表示されるダメージは『1』。

終わった、やはり一人で挑むのは無謀だったのだとコータの脳裏に今までの出来事が浮かぶ…

継続ダメージによりHPが無くなるその瞬間が来る前にコータの心は折れてしまった。

だが…


「えっ?」


ズルリとコータの横腹からアルマニージュの角が抜け、その体が重力に従って落下する。

地面に落ちたアルマニージュは完全に白目を剥いており、ピクリとも動か無いままその体を光の粒子へと変化させ始めた。


「勝った…のか?」


訳が分からないままコータはその光景を唖然と見続けるのであった。

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