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第5話 コータ、一人で11階層へ進む

第11階層

中央に在る水晶玉に手を乗せたコータが姿を現した。

腰に下げた一本の剣と軽装鎧のみを装備したその姿、とても塔を攻略しようとしている様には見えない。


「ここが魔物の居る階層…」


コータは半年間学んだ事を思い出しながら足を踏み出す。




神の作ったこの塔は全100階層からなり

全人類は最上階を目指すのを目的として居る。

第11階層以降には魔物が各部屋に1体ずつ存在し、それを撃破した者のみが更に一つ上の階層へ上がることが許される。



まさしく学んだ通りだと目の前の通路に目をやる。

水晶を中心に放射状に真っ直ぐに伸びる通路には左右に幾つもの扉が等間隔で並んでいる。

その中のどれでも良いので部屋に入り、中の魔物を倒すことが出来れば良い。

一つの部屋の中へ入れるのは最大で四人までなのだが、一人でここに来たコータには関係が無い。


「ステータス!」


一人コータは声を上げて叫ぶ!

すると目の前に透き通った青色のウィンドウが表示される。


「これが、俺の能力…」


コータ

HP:34

MP:12

BP:8


このステータスは魔物の居る階層のみで使用できる挑戦者へのサービスと言われている。

それぞれその者の体力、魔力、戦闘力を表している。

魔物の居る階層では特殊なルールが世界を支配している、例えばHPが0になると怪我一つ無くとも弱り続け、HPを回復せねば確実に死に至る。

逆にHPが1でも残っていればどんな大怪我であろうと全力で動く事が出来るのだ。


「俺だって…やれるんだ!」


先程、同期の人間に幼馴染みであるユンが奪われる様を見られたコータと組もうとする者は誰一人居なかった。

それを見返してやると意気揚々と単身塔を登ったのだが、その下半身は正直であった。

ドアまで一歩踏み出せば手が届くのだが、その一歩が中々出ない。

そもそも、単身で11階層に挑戦する事自体が自殺行為なのである。

それを理解しているからこそ体は拒絶を示していた。


「大丈夫、ヤバかったら逃げれば良いんだ…」


そう独り言を言い、無理矢理足を進ませ、目の前のドアを押し開けた。

途端に景色は変わり周囲が草原になった。

驚いて辺りを見回していると草が擦れる音が聞こえた。


「えっ?!まさかもう?!」


コータの方へ一直線へ突っ込んできたそれを横へ倒れることでかわす。

その時、その姿が目に入った…


「角の在る…ウサギ?」


自らの額から生えた黄色い角とは違い、灰色の真っ直ぐに尖った角を持つうさぎ『アルマニージュ』であった。

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