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第11話 成長限界と換金

部屋の前に置かれた袋に魔石を入れて隣の部屋へ移動するコータ。

既に袋の中は魔石とドロップアイテムでいっぱいになりつつあった。


「次で最後にするかな・・・ステータス」


HP:85

MP:43

BP:24


表示されたステータスを見てため息を一つ吐くコータ。

それも仕方ないだろう、第11階層の部屋を片っ端から攻略し続けているが、ブリガを倒してBPが24になってからBPが一切上がらなくなっていたのだ。


「それでもBP24ってのは凄いよな・・・」


習った通りであるならばBPが20を超えているパーティであれば第21階層をクリアする事も不可能ではない。

実感は無いがコータの実力はたった1日で異常なほど上昇していたのである。


ガチャっと扉を開いて本日最後の第11階層の部屋に入る。

そこに居たのは今日一体何匹目かもう分からないアルマニージュである。


「最後にお前って縁があるのな」


そう口にして小さく笑ったコータ。

そんなコータに向かってアルマニージュは額の角をこっちに向けて一気に突撃してくる!

昨日までのコータであれば防ぐ事も無理な勢いのある突撃、だが一切焦る事無くコータはその角を左手で掴んだ!


「あっ悪いっ!」


慌ててコータは手を離した。

するとそのまま真下にアルマニージュは落ちてビクビクっと痙攣していた。

その角はコータの手の形に握り潰され、角の付け根が千切れ掛けていたのだ。

赤文字で表示されたダメージは482、突撃を止める為に角を握っただけでのダメージである。

HPが約500と言われている第11階層の魔物、今のコータには最早相手にはならなかった。


「えっと・・・今楽にしてやるよ・・・えいっ」


そう言って痙攣して泡を吹いているアルマニージュに対し、コータはしゃがんでチョップを当てた。

ペチッと当てただけのチョップだったのにも関わらず、ビシャっと周囲に血が飛び散る。

そこにアルマニージュの姿は残っていなかった。


「あーやりすぎたなぁ・・・」


表示されたダメージは862、素手で攻撃と認識して当てるだけでこのダメージである。

部屋が無機質な物に変化していく中、慣れた手つきでドロップした魔石と毛皮を拾って袋に仕舞う。

今日はこれで終わりにしようとコータは部屋を出て階の中央へと向かう。


「さて、一体いくらくらいになるかな?」


袋の中を覗きながら水晶に手を触れて第10階層へ移動するコータ。



第10階層

夜も更け、初日と言う事でサバスが換金の受付を行っていた場所にはその姿は無く、コータは換金所と呼ばれる建物へと足を踏みいれた。

赤いレンガの様なこの建物は塔の上層から持ち帰ってきた全ての挑戦者の換金を行っている施設として24時間稼働している。

真夜中だというのにも関わらず数組のパーティが監禁に訪れており、入ってきたコータへ視線が一瞬集まった。


「おや?新人君かな?こんな夜中に一人とは・・・」


上半身が屈強で下半身が蛇のラミアと呼ばれる種族の男性が声を掛けてきた。

見た事ないコータが一人で訪れたのを見て、初挑戦での換金を押し付けられたのだと考えたのだ。

実際に4人でパーティを組んで塔を攻略するのが基本、むしろ一人で挑戦するのは不可能、そう考えられているからこそコータが一人で魔物を倒してやって来たとは思いもしなかったのだ。


「君も大変そうだけど、頑張りなよ」


優しさからなのか、見も知らぬ男性にそう声を掛けられてちょっと戸惑ったコータであったが・・・


「あっどもっ」


そう返して受付へと移動した。

そこに立っているのは猫耳の獣人の受付嬢、夜行性の種族らしく真夜中だというのに元気そうに笑顔でコータを迎えてくれた。


「お疲れ様、初めて見る顔だね?」

「あっはい、今日が初挑戦だったので・・・」

「そうかそうか、無事に攻略出来たようでおめでとう。命は一つしかないんだから無理しないようにね」

「ありがとう・・・ございます・・・」


親しい異性と言うのがユンしかいないコータ、意外と初心であった。

そんなコータはカウンターの上に持ってきた袋を置いて告げる。


「これ、換金お願いします」

「はい、預からせてもらいますね」


この袋は見た目の数倍もの量が収納でき重さも軽減されるという挑戦者に一つずつ持たされる特殊な物で、受付嬢もドロップアイテムと魔石が入っているのだろうと自然な形で受け取ったのだが・・・


「えっ・・・?」


その中を覗いて固まった・・・

中には袋いっぱいの魔石とドロップアイテムが大量に入っていたからだ。


「こ・・・これ今日一日で?」

「はい、頑張りました!」


受付嬢はまだ知らない、この袋の中身全てがコータのパーティではなく、一人で収穫されたという事を・・・

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