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第10話 乱獲開始

「BPはその者の強さを数値化したモノで、そのまま強さに直結する」


第10層の外壁沿いをランニングする者達は講師の言葉を耳にしながら走っていた。

心身共に鍛え上げればBPが上昇するという言葉の通り、半年の講義でBPが7を超えた者だけが挑戦権を得られる。

そこまで鍛える事が出来なかった者は一般市民として9層より下でしか生活が認められていないのだ。

これは長年の経験から定まったルールであり、BPが6以下だと第11層の魔物に簡単に殺されてしまうからである。

その為、塔を攻略する最低条件がBP7と定められたのだ。


「スキルに頼った戦い方が有利な者も勿論居るだろう、だが最低限の力が無ければ有事の際に困るのは仲間だ!」


4人一組でしか挑戦できないとされている第11階層からの塔攻略、この世界に生きる者の目標であった。

普通に働いたとしても収入は専門スキルを所持していなければ雀の涙程である、何処かに移り住もうにもこの塔から外の世界は滅んでいる。

増えすぎた人間は淘汰されるしかない、悲しいがそれが現実なのだ。

だからこそ生まれながらに所持しているスキルは非常に重要とされていたのだ。






「習った事は間違いではないけどそれにしてもこれは異常だよな・・・俺のスキルの効果なのか?」


岩の背後に擬態して隠れようとしたブリガ、だがコータの拳は岩を破壊してブリガの顔面を粉砕していた。

表示された赤文字のダメージ表記は『268』、明らかに異常なダメージ量である。

確実に今朝のコータであれば拳で殴ったところで10も与えれるか微妙なところである。

剣で切りつけたアルマジーニのダメージが28だったのだから完全に異常である。


そもそも、BPはその者の強さを総合的に数値化したものである、力や素早さだけでなく動体視力や感覚まで総合的に計算された数値であると考えられていた。

そして、それを実証するかのようにコータはブリガとの戦いを思い出していた。

幾らブリガにとって不利な地形であったとしても、完全に動きを見切れ、敵の擬態を瞬時に見抜き、そしてノーダメージでの撃破である。

BPが1違えばスキルなしのタイマン勝負では絶対に勝てない、それほどBPの差は実力の差なのである。

それが気が付けばコータは8から17に上がっていたのだ。


「勝った・・・こんな簡単に?」


自分の拳を見ながら呟くコータ、その前ではブリガが粒子になって消えていき、コロンっと魔石が1個転がり落ちる。

その横にブリガの牙が1本一緒に落ちていた。


「あっドロップ!ラッキー」


塔の魔物を倒すと低確率でドロップアイテムと呼ばれる貴重な物が残る場合がある。

これが塔の生活に欠かせない資材として活用されるので非常に高値で買い取ってもらえるのだ。

ブリガの牙は魔物の牙にもかかわらず金属で、刃物や調理器具などにも活用されている。

部屋が元の無機質な空間に戻っていき、岩も分解されるように消えていく中、コータは口にした。


「ステータス」


そして、そこに表示された数値にコータはやはり目を疑った。


HP:72

MP:31

BP:18


「またBPが上がってる・・・どういう事なんだ?」


習った通りであれば、塔の攻略は15階層を超えたあたりからBPは緩やかな上昇を始める。

自身の体に一体何が起こっているのか分からないままコータは透けた部屋の外を見詰めて呟く・・・


「BP上がるなら・・・上げまくってみようかな・・・」


そのままコータは部屋を出て近くの別の部屋に入っていった・・・










第4階層


コータの幼馴染であるユンはコータの家に向かっていた。

キツい言い方をしたが一人でまさかの塔攻略を成し遂げたコータの事を見直していたのだ。


「ま、まぁ別に気にはしてないんだけどね」


そう独り言を言いながらコータが一人で住むアパートの様な部屋まで来ていた。

だが、部屋の明りはついておらずノックをしても誰も出てこなかった。


「実家に戻ったのかな・・・」


自分も初めての稼ぎは両親に渡そうと考えていた。

なのでユンは踵を返して自分の実家へ向かった。

まさか夢にも思わなかったのだ。

今この時間、コータがたった一人で第11階層の部屋を片っ端から攻略しまくっているなど・・・

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