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俺の名前は 大川 裕也中学3年生だ。
どこにでもある普通の公立中学に通い
特にこれと言った、不満もなく日常を過ごしている。
最近、俺には異性として気になる子が居た。
初めて出会ったのは小学校に入学した時
その頃から仲が良く、よく一緒に遊んだ記憶が懐かしい
今、その子とはクラスも一緒で席も隣
名前は 桜衣 百合という可愛らしい同い年の女の子だ。
現在は、授業の真っ最中だが俺は授業を受ける百合の横顔を
眺めていた。
すると、百合がジト目で俺の方を見てくる
「さっきから何?見られてるとなんか集中できないんだけど?」
百合に怒られてしまった。
「いや、悪い悪い。真面目に授業受けてんなぁって思ってさ」
苦しい言い訳だと自分でも思った。
「裕也こそ、真面目に授業受けないとダメなんじゃないの?1学期の期末テストも赤点だらけだったじゃない」
ぐさっ!
うぅ、、、百合の言う通り俺はかなりの勉強嫌いでいてそして苦手だ
「なら、百合が教えてくれよ」
「あのね、私は裕也の家庭教師でもなんでもないんだけど」
「いや〜、百合に教えてもらったらきっと赤点回避しまくっちゃうだろうなぁ」
「なんで赤点回避だけの最低限なのよ。」
まあ、こう言っても教えてくれわけないか
百合の言う通りそろそろ真面目に勉強に力を入れておかないとマズイ時期に突入している
普通の中学3年生だったらもうとっくに受験勉強に明け暮れている時期だろう
もう、9月も終わりに差し掛かり2学期の中間テストが目の前に控えている
「まあ、良いわよ。私が勉強教えてあげる」
「え?」
今のは聞き間違いか?
「だから、私が勉強教えてあげるって言ってるの」
どうやら俺の聞き間違いではなかったらしい
どういう風の吹き回しだ?
「その代わり、私が教えるからには全教科80点以上は取ってもらうわよ?」
「え?さすがにそれはキツイぞ?」
ちなみにこの学校での赤点は40点 百合はその倍の80点を要求してきた。
「なに?文句でもあるの?」
「いや、えっと」
しかし、これで百合が勉強を教えてくれるとなれば百合と一緒にいれる時間が多くなるというメリットがある
それとテスト80点以上を取るというのを天秤にかける
この先まだ長い人生においてこの天秤は些細なものかもしれないが
俺が本当はどうしたいのかで決めるべきか
俺は百合と一緒に居たい。そう思った
「よし、わかった。80点でもなんでも取ってやる」
「それで、よろしい」
ふぅ、なんとか百合に勉強を教えてもらう事が出来そうだ
「それじゃ、今日から私の家で勉強教えてあげるから」
「え?今なんて?」
「私の家で勉強教えてあげるって、それとも裕也の家が良いの?」
「いや、、、俺の家は」
「裕也の家の事情は分かってるわよ、だから私の家の方が良いでしょう?」
俺の家はこの世界では代々続く魔法使いの家系 日本ではその家系を「巫女家」と呼ぶ
俺はその巫女家の息子で男の性をもって生まれた。
巫女家で男として生まれると親の魔法を引き継いで「両性巫女」となる
この呼ばれ方の通り俺は女性化することもできる魔法を持って生まれ
そして、巫女家では「両性巫女」は邪魔者にされる風潮がある
その為、俺は家ではあまり良い扱いを受けていない
幼い頃から知っている百合はその事情を理解していた
両性巫女の高校生活の方は迷走中でございます