98.密会
暗くジメジメとした場所だった。
「おい!いるんだろう!」
乱暴な声が響く。声の主は金髪に碧眼。この国では《王家の色彩》と呼ばれている組み合わせだ。
路地の奥から目深にフードを被った人影が姿を現わす。
「…連絡の必要がある時はこちらからする、と言わなかったかしら?」
声からするにフードの人影は女のようだ。
「そんなこと知るか。それよりも協力しろ。」
「…。」
位高げな声の主にフードの女は呆れたような空気を醸し出す。
「ちゃんと腕輪をあげたはずよ?あれじゃご不満かしら?」
「ああ…、もっと強いやつを寄越せ。金ならいくらでもくれてやる。」
そう言って金髪碧眼の人影は皮袋を放り投げた。ガシャリと音がする。フードの女は深くため息をつく。
「…何があったか、だいたい知っているけれど、あなたにその腕輪以上の物は扱えないわよ?」
「黙れ!」
女の言葉に金髪碧眼の人影は怒りを露わにした。
「なんならお前がこの腕輪の威力を味わうか…?」
周囲の気温が一つ上がる。
「…剛毅なのは良いことだけれども…。しょうがないわね…。じゃあこれをお待ちなさい。」
女はあっさりと折れた。どこから取り出したのか、一つの香炉のような物を手にしている。
「なんだこれは!こんな物なんの役にたつ!?」
その香炉に満足がいかなかったのか、金髪碧眼の人影は怒りを露わにする。
「ふふふ…、これはね…、という風に使うのよ。」
金髪碧眼の人影に耳を寄せ、その女は呟いた。
「…なるほどな…。貰ってやるよ。」
金髪碧眼の人影が偉そうにそう言って香炉を受け取った。フードの下で女が馬鹿にしたように笑うのにも気付かずに…。




