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30.そして…

「俺はレオが選抜を受けてくれると嬉しいし、なんなら剣術部門でもいけると思うけどな。」

「いや、それは…。」

目の前にいる剣の化け物に勝てる気が全くしない。その本人は、そうかな?こんなに毎日毎日鍛錬してる人間は騎士科にもそういないけどな…。などと首を傾げている。

「魔法射撃はエレンが居るから…、参加するなら魔法戦闘部門なんだけど…。」

「…あぁ…確かにあれは…。」

アルも顔を引き攣らせている。声に出さなくても分かる。去年のエレンの試合を思い出しているのだろう。

「でも魔法戦闘部門は俺も賛成だな。冷静に考えて今のレオには相当な体力がある。さっきも言ったが騎士科の人間にも劣らないと思う。」

「そ、そんな事…。」

最近褒められてばかりだ。だがどことなく落ち着かない。

「魔法士と戦う時は、常に足を止めずに狙いをつけさせないこと。そして隙を見て接近戦に持ち込むこと。これが鉄則と騎士科では習う。魔法射撃という言葉がある通り、魔法士の得意分野は大方が遠距離射撃だ。もちろん結界特化型、防御重視の魔法士などの例外もいるがな。」

『まぁ学生の段階でそんな専門特化の魔法士はいないだろうな。』

ここぞとばかりにクロが補足してくる。

「だからこそここまで動けるレオなら魔法戦闘部門の方がいいと思う。どんなに強力な魔法も当たらなければ意味は無いし、完成前に距離を詰めればいい。」

驚いた事にアルはクロと同じ理論だ。

「レオはもう少し自信を持った方がいい。だからこそ競技大会に出て欲しいんだ。選抜を通る実力は十分にあると思う!」

「…アル…。」

力説するアルの隣でクロがほら見ろと言わんばかりの目をしている。尻尾がゆらゆら揺れていた。

「それにほら、俺も励みになるしな!」

自分の力説っぷりが急に恥ずかしくなったのか、アルが妙な照れ笑いを浮かべる。

僕は目を閉じて少し考えてから

「…分かった。僕、頑張ってみるよ…。」

目を開きながらそう答えた。

アルの顔がぱっと笑顔になる。クロはやれやれやっとか、という風に小さく首を振っていた。




それからひと月は瞬く間に過ぎ去っていった。朝の鍛錬にも選抜試験対策に種目を増やした。僕の案、と偽ったクロの案で。夜の輝光石を使った鍛錬も順調に進んでいる。と僕は思う…。クロにはまだまだと発破をかけられるが…。


「あ!次がアルみたいだよ!」

パズが声を上げる。僕らは騎士科の選抜試験を見学しに来ていた。ちなみに魔法科の選抜試験は明日だ。

「まぁ大丈夫でしょう。曲がりなりにも去年の優勝者なわけだし。」

同じ去年の優勝者、エレンは何故か余裕の態度だ。まぁ僕もそう思うのだが、

「去年は選抜試験は無かったからな。今年からはあくまで実力勝負。油断は禁物さ。」

というのがアルの言葉だ。

場所は去年の会場としても使われた演習場。客席は結構埋まっている。パズの話ではアルの応援団だという女生徒の一団もいた。

「ああいうのは私は嫌いよ。」

「もうエレンてば。お願いだから喧嘩はしちゃダメよ。」

ばっさり切り捨てるエレンに釘をさすティア。パズと僕は苦笑するほか無かった。


「よぉレオナード。それにどこぞの成金商人のお坊ちゃん。何?落ちこぼれ同士でつるんでるの?」

嫌な奴が近づいて来た。アルと同じ金髪碧眼、だが肌は青白くどことなく蛇を連想させる雰囲気を醸し出している。そうマルコ、とその取り巻きどもだ。なんだが取り巻きの人数が増えてる気がするが…。

「…何の用よ?」

「おぉ怖い怖い。まさか赤髪の雌ライオンまで居るとは思わなかった。」

エレンが怒りに満ちた表情でマルコを睨みつけている。こんな所で魔法をぶっ放すとは思えないが、それでも肝が冷える…。

「今日はお前には用事はないさ。なぁレオナード、お前、魔法戦闘部門の選抜試験に申請出したんだって?」

「…そ、そうだけど…。」

「…ぷっ…くくっ…。」

僕は精一杯マルコを睨みつける。するとマルコは口を押さえ、肩を震わせる。最後には堪え切れないといった風に大笑いしだした。つられて取り巻き達も一斉に笑い出す。

「…あ〜、可笑しい。お前さぁ、あのラングランの三男坊とかその赤髪とかと一緒に居るからって自分も強くなったつもり?」

笑いはある程度収まったものの、ニヤニヤとした顔のマルコ。僕は黙って睨み続けた。

「そんなあんたは去年、予選敗退じゃない。」

エレンがここぞとばかりに言い返す。マルコの顔が歪む。

「はっ!あんな的に当てるだけのお遊びで本気出すわけないだろ。」

「何ですって??」

エレンの髪の毛が逆立つ。ティアが必死になだめている。

「と、とにかく、レオナード!攻撃系魔法の授業も取ってないようなお前じゃあ試験を受ける前から結果は目に見えているんだ!さっさと棄権するんだな!じゃあな!」

そう言ってマルコは踵を返し去って行った。

『…三流の悪役、そのままだな…。』

クロが嘆息しながら呟いた。

場内から歓声が上がる。どうやらアルが無事に試験を通過したようだ。



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