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27.手紙

拝啓

この手紙が届く頃にはそちらは雪に包まれているでしょうか?王都は温暖な気候らしく、雪が降ってもほとんど積もる事はないそうです。


僕は故郷の家族に向けて手紙を書いていた。窓の外ではチラチラと雪が舞っているが、手紙に書いた通り積もるほどは降らなさそうだ。雪国育ちなのでこの辺の感覚は鋭い…つもりである。


使い魔にシャ・ノワールを召喚しました。名前はクロ。自分でも名付けが短絡過ぎたと思いますが、お互いなかなか上手くやってます。


そのクロは、流石に出窓だと寒いのか、最近はストーブの前で丸くなっている。


その他にも、アル、パズ、エレン、ティアといった友達もたくさんできました。みんな凄い人達です。特にアルとエレンはこの前の四大王立学園対抗競技大会の新人戦、剣術部門と魔法射撃部門で、それぞれ優勝を果たしました。


そう、アルとエレンはあの後の競技大会で見事に優勝を果たした。

エレンは他の追随を許さない、圧倒的な勝利だった。ちなみにマルコは予選落ちだ。

「あいつを直接負かす事ができないのは残念だったけど、まぁ当然の結果よね。」

と大威張りのエレンだったが

「毎晩毎晩、遅くまで練習してたみたいですよ。叔父様が心配なさってましたわ。別に優勝とかしなくてもいいから、体だけは壊さないでくれって。叔父様ったら、エレンを溺愛してますの。」

とティアがこっそり教えてくれた。負けず嫌いでおてんばな女の子だが、そういう所は好感が持てる。

アルはというと、翌日からあの鎧兜を着て朝の鍛錬をしていた。初日に驚いて守衛が飛んで来たのが、今となっては笑い話だ。

当日、煌びやかな鎧兜の生徒に混じって並ぶアルの姿は観衆の嘲笑を買った。

なんだあのみすぼらしい鎧は。どこの貧乏貴族が出てきた?北校の質も落ちたものだと。

試合では伝統に則り、選手は名前のみ、家名は呼ばれない。これは様々な事情に配慮してのことらしい。特に新人戦の場合、注目度も低く、名前だけでどこの子息かを当てられる事はまずない。

応援席で隣に座ったどこの誰か分からない貴族の息子を、危うくエレンが燃やしてしまうところだったのを、パズとティアが必死で宥めていた。僕は黙ってクロと一緒にアルを見守り続けた。試合が進むに連れ、観客は拍手や喝采すら忘れた。それくらいに圧倒的で一方的な試合展開だった。

結局アルは一本も取られる事なく、全ての試合を勝ち越した。その反動か、決勝で最後の一撃が決まった後の大喝采は全ての試合を含め、今回一だったと評された。そして表彰式にて、アルの家名がラングランだと明かされた時、アルを馬鹿にしていた連中の青褪めた顔は本当に見ものだった。今思い返しても頬が緩むのを止められない。


来年からはいよいよ本格的に魔法の勉強が始まります。まだ少しだけ悩んでいますが、僕は生活応用魔法を習得しようと思っています。


僕は最終的に生活応用魔法を学ぼうと考えていた。自分なりに学園を卒業した後、どうしたら故郷のみんなの、家族の役に立てるか、僕なりの『強さ』とは何なのか?を考えた結果だ。まだまだ完全な答えには程遠いのだけど…。


それでは体に気をつけて。聖霊の加護があらん事を。


愛を込めて、レオナード。


僕は手紙を書き終えて筆を置いた。いつのまにか外の雪は止んでいた。

『…書き終えたのか?』

クロが顔を上げていた。

「あぁ…、明日、街まで出しに行かなきゃな。パズに年越しの宴に呼ばれているからそのままそこに行こうか?」

悪くない。と短く答えてクロが再び丸くなった。たが尻尾がパタパタと揺れている。本当は楽しみなのが丸わかりだ。

僕はその黒い背中に微笑みかけた。クロと出会ってから色んな事があった。ずっと悩まされてばっかりだけど…。それでも下を向いていたあの頃の自分よりは、よっぽど今の方がいい。

(ありがとう。そして来年もよろしくな。)

『ん?なんか言ったか?』

クロが再び顔を上げる。

「別に。なんでもないよ。」

『そうか…。来年もよろしくな。』

そしてまた丸くなった。きっと照れ隠しだ。

僕は小さく声を出して笑った。

アルもさすがにこの冬休みは実家に帰った。新年の宴と挨拶が済んだらすぐ戻ってくるから。と言い残して。

昨日あたりから寮も閑散としている。夏の時よりもだいぶ人も少ない。冬休みと夏休みと同様に二ヶ月間もある。だが寂しくはない。俺にはこの頼れる黒い師匠がいるから。


これにて、一年生の部は終了となります。お読みいただき誠にありがとうございました。色々と考えたのですが競技大会のエピソードは今回は割愛し、軽く触れる程度に留めました。もともとアルとエレンが優勝する予定調和でしたし…。競技大会のエピソードは二年生、三年生の部で描く構想です。そうすれば現在ほとんどない戦闘シーンも描けるのではないかと…。そもそも筆者に戦闘シーンを描くセンスがあるのか…。まぁキャラの動いていくまま、生きていくままに任せたいと思います。

次章からは二年生の部が始まります。後輩キャラを作るか作らないか迷っているところ…。主要キャラだけでも書ききれてないことだらけなのに。

それでは引き続き、『猫になった魔王様』の応援をよろしくお願いします。かしこ。

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