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23.何気ない休日

夏のパレードの時ほどでは無いにしろ、やはり街は活気に溢れていた。

派手なレストランは落ち着かない。とアルが言うので、僕らはこじんまりとした食堂に来ていた。こういうところは本当にアルらしい。焼きたてのパンと、収穫されたばかりだという木苺の入ったソースを、燻製にした豚の肉にかけたものを昼食にしていた。アルの故郷の料理らしい。芳ばしく少し煙の臭いの残る肉の後味に、甘酸っぱい木苺のさっぱり感が絶妙に合っていて思いのほか美味しかった。

「今度、実家のほうに遊びに来なよ。色々ご馳走するよ!」

アルの実家といえば西方公のお屋敷という事になる。王都の別宅でも凄かったのだからどんな家なのか…僕なんかには想像もできなかったで、当たり障りなく答えておいた。


アルの買い物はちょっとした日用品と鍛錬用の剣だった。それも鉄製の。

「レオも買えば?」

「え??僕も??でも危ないんじゃあ…、それに高そうだし…。」

「大丈夫だよ。訓練用だから刃先も潰されてるし、刃も研がれてない。芯が鉛だから値段も安いよ。」

僕は恐る恐る値札を見てみた。

「…あ、本当だ。思ってたよりも全然安い。これなら買えるな。」

値段は思いのほか安かった。ずしりとした重さが夏に一度だけ持った本物の剣を思い出させる。

「でもなんで訓練用の剣なんか?木剣じゃダメなの?」

僕は素直な疑問を口にする。

「色々あってね…。正式にはまだ決まってないんだけど、秋の競技大会に出ることになりそうなんだ。」

「え!!凄いじゃないか!!おめでとうアル!!」

まだ秘密にしといてくれよ。もし違ったら恥ずかしいし。と苦笑いするアル。


「ところでさ、競技大会の代表ってどうやって決めてるの?夏前に先輩たちが選抜試験だって大騒ぎしてたのは知ってるけど…。一年はなかったよね…?」

お昼もひと段落したところで、食後のお茶を啜りながら僕はアルに尋ねてみた。

「あぁ、言う通り二、三年の先輩方は選抜の試験があり、そこを勝ち抜けば本戦に出られる。一年生はこの時期に教師達が決めて打診してくる。入学してすぐ厳しい試験を課すわけにもいかないからな。」

なるほど、それにアルが選ばれたというわけか。

『その競技大会とやらは実際にはなにをするんだ?』

クロが念話で問いかけてきた。意外に興味があるらしい。

「えーと…、正式には四大王立学園対抗競技大会、だっけ?」

アルが頷いた。

「レオも知っていると思うが、東西南北の四つの王立学園の生徒が集まって、その力を競い合う競技会だな。」

そこで僕にふと疑問が浮かんだ。

「なんでアルは西校に行かなかったの?」

僕らが通う王都の王立学園は東西南北で言えば北校にあたる。北に実家のある僕と違ってアルからしたら西校の方が絶対近いはずだ。

「言ったろ?親父も上の兄貴二人もここの学園の卒業生だ。男たる者、家を出て一人武者修行をせよ。なんて家風の家なのさ。」

そう言って肩を竦めるアル。

「それに西校は実家と隣接しててね。落ち着かないんだよ。」

「なるほどね。家の隣が学校はやだね。」

そう言って僕らはひとしきり笑った。

『そ、れ、で、学生が集まっていったい何を競い合うんだ?』

クロの少し苛ついた声が聞こえた。

「あー、えーと…。競技は剣術と魔法射撃だっけ…?」

「そうだな。一年生は騎士科が剣術、魔法科は魔法射撃だ。新人戦と呼ばれている。二年生からは、これに無差別武術、要は武器は何でもあり。魔法戦闘、武器は使わない純粋な魔法戦。そして三年生からさらに総合戦闘が加わる。これは学科の括りなしの純粋な総合力勝負だ。これらが加わる。」

僕の質問にアルが細かく説明してくれる。アルが競技大会のことに詳しくて助かった…。クロはこの答えに満足したのか、それ以上に質問は無かった。

「さてと、では次はアルの目当てを買いに行こうか。」

「ごめんね。付き合わせちゃって。」

お茶もすっかり飲み終わったところで僕らは移動をすることにした。

「なに、最初に付き合ってもらったのは俺だからな。気にするな。」

アルが朗らかに笑う。ロイヤルカラー(金髪碧眼)で男前のアルが笑うとそこだけパッと華やぐ。周りの女子たちの視線が僕には痛かった。



総合戦闘部門を三年生からに変更しました。

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