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22.まことしやかな噂

「へぇ〜〜〜。本っ当に色んな事があったんだね。」

合宿から戻ってきたアルと共に、久々に朝の鍛錬を終えて芝生の上で休みながら、僕は合宿の事を掻い摘んで話した。肌寒いのかクロはアルの膝の間で丸くなっている。主人は僕じゃないのか…。

「マルゴワール…。確かどこかの省庁の長官の息子じゃなかったかな。まぁほとんど無いような血の繋がりはあるけど、うちは武家だから、家同士の付き合いはあまりないなぁ。」

秋晴れ。そんな言葉が似合うような綺麗な青空が広がっていた。休息日を挟んだりした関係で、魔法科と入れ違いで合宿に出かけたアルと会うのもほぼ一週間ぶりだ。

「エレンフィールとティアラの名前なら知っている。一時、まことしやかな噂と共に聞いた事があるよ。」

「まことしやかな噂?」

僕は眉を顰めた。アルがこういう事を口にするのは珍しい。

「そ!まことしやかな噂。あまり気にしない方が良い。レオは本人たちとちゃんと会って話したんだろ?なら自分の目と耳を信じるべきだ。」

訂正しよう。やはりアルはアルだった。

「それよりも討伐隊が組まれたりはしてないかな?街道に小鬼が出るなんてね。まぁ何もなく逃げて行ったからいいけども。アルの家の方にはそんな話は入ってない?」

やはり気になるのは討伐隊の話だ。クロは小鬼たちの話から討伐隊の編成を推測したがあくまでも推測に過ぎない。

「んー…。さすがに分からないな。親父に聞けば何か知ってるかもしれないが…。基本的にうちの管轄は西方の管理、防衛でね。王都周辺は王直轄軍が担ってるから。王命があれば動く事もあるけど基本的には別々の軍だよ。」

クロの耳がピクピクと動いている。きっと話を聞いているのだろう。

「へぇ…。知らなかった。そんな事情があるんだね。同じ貴族といえどうちは辺境の田舎領主だからなぁ。騎士、と言ってもうちの父さんと兄さんくらいだし。剣よりも鍬を持ってる時間の方が長いかもね。」

なんて冗談めかした。

「レオの方が今はきっと強いな。なんせ火球を腕で払い散らすくらいなんだから。」

「な!どうしてそれを知っているの!?」

アルがニヤニヤと笑っている。その部分の話はしてないはずなのに。

「噂になってるよ。今年の一年生には片腕で火球を払い散らす強者がいるって。さっきのレオの話で繋がった。水臭いなぁ。ちゃんと教えてくれれば良いのに。」

僕は顔が真っ赤に火照るのを感じる。湯気が出そうなくらい…、いや実際に出てたかも…。

クロがアルの膝から飛び降りてにゃあと鳴いた。そろそろ朝食にしようという合図だ。

「ところでレオ、次の安息日空いてる?ちょっと買い物に街に出ようと思うのだけど一緒にどうかな?」

立ち上がりながらアルがこう訊いてきた。

「空いてるよ。僕もちょうど買いたい物があったからいいタイミングだ。」

話が変わって助かった僕も、立ち上がってお尻に着いた草を払う。まぁ僕の買い物はクロの買いたい物なのだけど。

こうして週末の話をしつつ、僕らとクロは食堂へと向かった。風はすっかり秋の匂いを含んでいた。

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