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19.懇親会

戸惑う僕をよそに、やぁ。と片手を上げて気軽に挨拶しているパズ。

「レオ、こちらはティアラさん。んでこちらが…。」

「エレンフィールよ。エレンと呼んで頂戴。」

「あの…パズさん…私もティアで、いいです…。」

ハキハキと喋るエレンとおどおどしたティア。実に好対照な二人だ。僕ら二人も簡単に自己紹介をする。

「実は君たち三人が連行された後にね、ティアちゃんが困ってたから僕とクロでお相手をさせてもらってたわけさ!」

なんてにこやかに話すパズと、ティアの足に擦り寄るクロ。私ネコ大好き!なんてエレンも屈みこんでクロの頭を撫でている。確かにエレンの足元には澄ました顔のペルシャ猫が座っていた。毛色は深い色合いの赤。鮮やかなエレンの赤髪と良くあっている。

しかしこいつらいつのまに…。パズもなかなか抜け目が無い。こう言うところははやり商人向きなのかもしれないな。

「その…、助けてくれてありがとうね!まぁ()()()余計なお世話だったけど!」

エレンのお礼に聞こえないお礼に僕ら他の三人、と一匹は首を傾げる。

「…あ、もしかしてエレンて入学してすぐの時もマルコと喧嘩してた?」

「喧嘩じゃないわよ!あいつが勝手に絡んで来るのよ!ほんといい迷惑だわっ!でもあなた、あの時より少し雰囲気変わったわよね?日焼け?した?」

僕は入学したてのころにマルコと女の子の喧嘩の間に割って入った事がある。その時はこんな大ごとにはならなかったのだけれども…。


君たち、少し静かに。と先輩に注意され、僕らは首をすくめて小さく謝った。

「ところで君たちも医療系魔法に?」

幾分声を落としてパズが尋ねる。

「私じゃないわよ。ティアがね。…何よその顔?」

「べ、別になんでも…。僕もレオの付き添いだし…。」

そんなパズとエレンのやりとりにティアがクスクスと笑っている。

「でも、あんた医療系魔法に興味あるの?火球を素手で吹き飛ばすくらい大雑把なのに?」

「大雑把って…。ええとね…。」

僕は手短に実家の事情といくつかの魔法分野で選択を悩んでいる事を説明する。ついでにパズも自分の事情を説明した。

「なるほどねぇ…。あんたたち本当に真面目ね。まぁ私も家の事情で軍事魔法とか戦術魔法の授業を選択するから人の事言えないか。なによ、そのやっぱりって顔…。」

僕とパズは慌ててかぶりを振る。こんなところで黒焦げにされては敵わない。

「じゃあティアも家の事情かなにかで?」

僕はティアへと話を振ってみた。エレンがまだ何か言いたそうな顔をしていたが無視だ。

「…私は…ほら、こんな性格だから…攻撃魔法はからきしで…。」

確かにこの少女が攻撃魔法をバンバン撃つ姿は想像できない。

「そういえばティアの使い魔は?部屋でお留守番?」

「それは…家の事情で…。」

「ご、ごめん!本当にごめんよ!」

小さくなってしまうティア。隣から恐ろしい顔でエレンが睨んで来る。

魔法士は使い魔を連れている事がほとんどだ。出来ることの幅も広がるし、主人に変わって様々な事を行ってくれたりもする。例えばパズの使い魔、鳩のアスールは手紙の配達などお手の物だ。普通の伝書鳩は帰る事は出来ても目的地へと飛ばす事は出来ない。まぁ中には人語を話して主人を鍛える使い魔もいたりするのだが…。

「気にしないで。でもちょっと皆んながが羨ましいかな…。」

そう言って寂しげに笑うティア。そんなティアを見てか、クロとエレンのペルシャ猫が二匹揃って足に戯れついている。

確かに使い魔を連れている事が絶対ではない。宗教的な考えで使い魔を持たない魔法士もいる。特に厳格な聖神教徒は使い魔とはいえども魔物を忌諱することが多い。だがそういう家の子は神学校に進む事が多いからやはり王立学園の魔法科では稀だった。頭にベールを掛けているのだから気づくべきだった。本当に軽率だったな。

「あら?私たちの番が来たみたい。その…せっかくだしレオ君とパズ君も一緒に…どうかな?」

そんな事を悶々と考えていた僕にティアが遠慮がちにそう提案して来た。空気を変えようとしてくれたのだろう。優しい心遣いだ。

「僕らにお断りする理由はないよ。むしろ喜んで!」

「そうよ!むしろこんな美人二人と同席できるんだからもっと喜びなさい!」

尊大に胸をそらすエレンに、ははぁ、とパズがかしこまった。それを見てまたティアがクスクスと笑った。



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